犬が何かを舐めている様子は日常的によく見かけるのではないでしょうか。舐めるという行為にはさまざまな「理由」が隠されていることがあります。舐めるという行為が問題ないものなのか、病的なものなのかを考え、愛犬が過ごしやすい環境を作ってあげましょう。
もくじ
犬が飼い主さんや好意のある人、動物を舐めることもあります。この場合は嬉しいなどの犬にとってポジティブな感情を抱いて舐めるという行為をしている可能性が高いです。
犬が人にかまってほしい時にも人を舐めることがあります。
中には、犬が飼い主さんの手を舐めていると飼い主さんが舐めないように声をかけてくれる(かまってくれる)ということを学習して、飼い主さんを舐める子もいます。
一般的には飼い主さんを舐めすぎてしまうことで犬にとっては問題ありませんが、ハンドクリームを塗った後など、舐められると困ってしまうような状況の場合は舐めさせるのをやめるようにしましょう。
犬の嗅覚は人よりも圧倒的に優れており、においを感じる細胞の数は人の40倍近くもあります(犬:18~150個/cm²、人:2~4個/ cm²)。
人よりも視覚が劣るため、食べ物を食べるときは嗅覚が大きな役割を果たします。
見た目で美味しそうと判断するのではなく、においで判断するため、犬にとって魅力的なにおいがする物や場所を舐める傾向があります。
病的な要素は全くなく、ただ単純に暇を持て余して舐めていることもあります。留守番の時や寝る前にこういった行動をとることが多いです。
この場合、皮膚そのものに症状はありませんが、舐めすぎてしまうことで問題がなかった皮膚にトラブルが生じる場合もあります。
舐め続けてしまっている場合は舐めることから気をそらすようにしましょう。
自分を舐めることで、「思うように運動ができない」「飼い主さんにかまってもらえない」などのストレスを発散している可能性もあります。
その行為が本当にストレスによるものなのかをきちんと判断するためには、ストレス以外の原因を全て排除する必要があります。
一度にすべての原因を取り除くことはい難しいため、可能性として考えられるものを1つずつ排除してみて、舐める行動に変化が無いか観察するようにしましょう。
犬が何かを舐めているときに最も気をつけなければならないのが、体調の悪化によって舐めていないかどうか判断することです。
うずくまって同じ場所ばかり舐めている場合、その舐めている部位に痛みや違和感を抱えている可能性があります。
痛みを感じている場合は舐めている場所を飼い主さんが触ろうとすると怒る、嫌がる、もしくはかばうような仕草をすることがあります。
痛みほどの強い感覚はなくとも、なんとなく気になるという違和感があって舐めていることもあります。
この場合は舐めることをやめさせようとしても再度舐め続け、症状が悪化した場合には痛みが出た時と同じような行動をとります。
舐めている部分に切り傷があるなど、見るからに痛そうであれば飼い主さんも対処がしやすいのですが、関節炎など目視で確認できない痛みの場合、発見が遅れることも少なくないので注意しましょう。
痛み、違和感に近いですが、かゆみがあって特定の部位ばかりを舐めることもあります。
かゆみがある場合は、皮膚が赤くなったり湿疹があったり、ただれたりしているなど、目に見えて分かる状態になっていることが多いです。
人の場合はかゆみがある場所を掻き続けると、物理的な刺激によってさらにかゆみが悪化する可能性を理解できますが、犬の場合はそうはいきません。
かゆければ自分の感覚に正直に舐め続けたり、掻き続けたりしてしまいます。舐める行為によってさらに皮膚の状態を悪化させる可能性があることを理解しておきましょう。
愛犬の舐めるという行為の原因が、病気である可能性もあります。病気に気づかず治療が遅れてしまうことを防ぐためにも、舐め始めたタイミングで原因がなにかを考えるようにしましょう。
愛犬が何かを舐めているときに考えられる病気には次のようなものがあります。
特定のものを食べた後に毎回お尻の周りを舐める、毎年同じ季節になると皮膚を舐める、といった場合はアレルギーが考えられます。
舐めるだけでなく皮膚が赤くただれたり、フケが出たり、強いかゆみが出ることが多いです。場合によってはおなかの調子を崩すこともあります。
皮膚に異常はないものの毎回同じ場所を舐めている、今までに比べて寝ている時間が長くなった、散歩に行きたがらなくなったなどの変化がある場合、舐めている場所に痛みがある可能性があります。
関節炎は動き方や歩き方がぎこちなくなってから気づくことが多いですが、その前のサインとして特定の関節を舐めるということがあります。特にシニアの犬では注意して観察してあげましょう。
気持ち悪い、吐きそう、おなかの調子が悪いといった違和感で床や物を舐めることもあります。
舐める以外にも、食欲が落ちている、そわそわしている、おなかがキュルキュル鳴っているようであれば、この可能性が高くなります。
あまりにも食欲がない場合は、ほかに症状がなくても緊急性が高い病気が隠れている可能性があるため、早めの受診を検討しましょう。
においに敏感な犬は、擦り傷や切り傷、肛門腺の破裂などのトラブルで自分からいつもと違うにおいがすると、非常に強い執着心をもって舐め続けることが多いです。
必ず舐めている部位に見た目の変化がないかを確認しましょう。
愛犬が何かを舐めている際に最も重要なのは、舐めている原因を把握、排除することです。
犬が自分の体を舐め続ける場合、最初は病的な理由がなくても続けるうちに皮膚トラブルにつながることもあります。
病気の場合は動物病院での診断と治療が最優先ですが、病気以外の原因が考えられる場合は、生活環境や行動を改善してみましょう。
皮膚の汚れを自分で舐めて落とそうとすることが、かゆみの原因になる可能性があります。
定期的なシャンプーで皮膚、被毛を清潔に保ちましょう。ぬるま湯で毛を濡らすと皮膚が見やすくなり、トラブルがないかの確認ができます。
毛が長い子は毛が絡まって違和感や痛みをともない、皮膚トラブルにつながることがあります。ブラッシングも忘れずに行いましょう。
皮膚の乾燥を防ぐことも重要です。乾燥によって皮膚のバリア機能が落ちるとかゆみにつながる可能性があります。保湿で乾燥を防ぐようにしてください。
特定のものを食べると必ず舐める、毎年同じ季節がくると舐めることが増える、出かけた後など特定のタイミングで舐めるなど、どんなものをいつ舐めるか傾向を確認しましょう。
病気が隠れている場合もそうでない場合も、舐めるという行為の傾向が分かれば対策に役立ちます。
また、愛犬が舐めている様子を動画に撮っておくと、動物病院受診時に先生の参考になる場合もあります。
犬が何かを舐めることには、明確な原因がある場合とそうでない場合があり、何かを舐めているからといって必ずしも病気とは限りません。
舐めている原因が病気でなければ、日常生活を変えることで改善することもあります。
皮膚の表面や歩き方の変化など、体調面で気になることがある場合は一度動物病院で相談すると安心です。