猫を飼っていても、ペット保険の加入が義務付けられているわけではありません。そのため、「うちは完全室内飼いでケガをする心配もないのでペット保険は不要では?」と考える飼い主さんもいることでしょう。
しかし、ペット保険が不要かどうかは、加入した場合のメリットとデメリットを理解した上で判断することが大切です。
今回は、猫のペット保険に加入するメリットとデメリットをはじめ、ペット保険に加入していないことで後悔する例や、ペット保険選びのポイントなどを解説します。
もくじ
ペットには、人のような公的な健康保険制度がありません。そのため、病気やケガで動物病院を利用した際の治療費は、飼い主さんが全額負担する必要があります。
猫の病気やケガにかかる治療費を、手術・入院・通院別に見てみると次のようになります。
<犬猫の1回あたりの平均治療費>
手術費 | (犬)20万0,515円 (猫)19万1,571円 |
入院費 | (犬)10万0,495円 (猫)10万1,397円 |
通院費 | (犬)1万3,739円 (猫)1万2,402円 |
ペット保険へ加入しておけば、補償対象となる病気やケガの治療費に対して、補償割合に応じて保険金を受け取れます。経済的な負担が軽減されることで安心して治療に専念できるため、万が一に備えたい飼い主さんにとっては、ペット保険は必要なものといえるでしょう。
一方、猫が病気やケガをした際の治療費を、貯金などで全額カバーできる飼い主さんにとっては、ペット保険は不要かもしれません。
このように、飼い主さんが考える「いざというときの備え方」によって、ペット保険が不要かどうかの判断は変わります。ただ、愛猫が病気やケガをしたときに、安心して治療を受けることができるよう、十分な備えをしておくことが大切です。
猫のペット保険に加入するメリットは次の3つです。
以下では、それぞれのメリットについて解説します。
ペット保険に加入していない場合、動物病院での治療にかかる費用は全額自己負担です。負担を減らしたい場合は、あらかじめペット保険に加入しておくという選択肢があります。
猫の治療費を積立貯金などで準備する飼い主さんもいますが、十分な金額が貯まる前に、入院や手術が必要な病気にかかってしてしまうことも珍しくありません。ペット保険へ加入しておけば、飼い始めてすぐなど積立額が十分でないタイミングに病気やケガをしても、補償対象の治療費であれば保険金を受け取れます。
猫の病気やケガによっては、数十万~百万円の治療費が必要になるケースもあります。十分な備えがない場合、経済的な理由で治療を諦めざるを得ない可能性もあるでしょう。
ペット保険に加入しておけば、治療費の一部を保険金でまかなえるため、安心して愛猫を治療できます。経済的な不安が軽減された状態で治療方法を選べることから、症状や進行状況に合った最適な方針がとれるなど、治療の選択肢が広がります。
ペット保険への加入は、病気やケガの早期回復・早期発見につながる可能性もあります。愛猫に小さな体調の変化でも経済的負担をあまり気にすることなく、すぐに動物病院を受診できるようになるためです。
猫特有のかかりやすい病気やケガがあることを知っておくと、早期発見につながります。例えば、猫は次のような病気やケガにかかりやすいとされています。
猫に多い病気・ケガ |
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● 歯周病などの歯科疾患* ● 異物誤飲 ● 腎不全 ● 尿路結石症(尿石症) ●心筋症 ● ガン ≪先天性・遺伝性の可能性がある病気≫ ● 多発性囊胞腎(のうほんじん) ● 肥大型心筋症 ● 骨軟骨異形成症 |
腎不全やガン、心筋症などは、早期発見・早期治療が大切です。歯周病などの歯科治療は、ペット保険によっては補償対象外の場合もあるため、加入する前に補償内容をしっかり確認しておきましょう。
また、0~3歳などの若齢の場合、先天性・遺伝性疾患を発症する可能性もあるため、幅広い病気に備えておきたい場合は補償対象となっているか確認しておくとよいでしょう。
猫のペット保険に加入するメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。
以下では、それぞれのデメリットについて解説します。
飼い主さんによっては、保険を使わないまま保険料が「無駄になった」と感じることがあります。ペット保険は掛け捨てであり、愛猫が健康で保険金請求の機会がないと、支払った保険料に見合うメリットを感じにくいためです。
しかし、これまで健康だった愛猫でも、将来にわたって病気やケガをしないという保証はありません。犬や猫が「病気にかかった経験」の割合は、7歳以上から急増するという調査データもあります。
また、若くてもケガや病気のリスクはあります。例えば、お迎えしてすぐは環境の変化で体調を崩しやすく、通院をすることは比較的多い点です。また、異物誤飲や飛び降りた際の骨折などは、若いうちによく見られるケガです。
<犬猫が病気にかかった経験>
7歳未満 | 7歳以上 | |
犬 | 39% | 80% |
猫 | 40% | 60% |
そもそもペット保険は損得で考えるものではなく、万が一に備えるためのものです。突発的に高額な治療費の支払いが必要になり、経済的に苦しい思いをしないためにも、あらかじめペット保険で備えておくことが大切です。
ペット保険には補償対象外となるものがあります。例えば、次のような理由で発生した費用に関しては補償されないのが一般的です。
また、ペット保険によって補償対象となる傷病は異なります。加入前に補償内容をしっかり確認しておかないと、万が一の際に十分な保険金を受け取れない可能性もあるでしょう。
飼い主さんが納得できるペット保険に加入するためには、保険料と補償内容を総合的に検討することが大切です。
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ペット保険加入時のトラブルとは?
猫のペット保険に入らなかった場合、さまざまな理由で「入っておけばよかった」と感じる飼い主さんもいます。ここでは、よくある後悔の例を3つご紹介します。
猫の治療費はすべて飼い主さんの自己負担です。高額な治療費が必要になった場合、ペット保険に加入していなければ、飼い主さんが全額を用意しなければなりません。必要な貯蓄を切り崩さなければならなくなることもあります。
「以前、猫を飼っていたときにペット保険に入っておらず、高額な治療費の支払いに苦労した」と後悔した飼い主さんも少なくないのです。
ペット保険は基本的に健康体でなければ入れません。加入時に健康であったとしても、病歴によっては加入できない可能性があります。
また、ペット保険には年齢制限が設けられていることがほとんどです。7歳や8歳を超えると加入できるペット保険の選択肢が少なくなってしまいます。そのため、ペット保険は、愛猫が若くて健康なうちから加入しておくほうが安心です。
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ペット保険の加入条件とは?既往歴、年齢、年収など
ペット保険の補償内容はどれも同じというわけではなく、ペット保険によって異なります。補償対象外の病気やケガの治療費は保険金が受け取れないため、必ず加入前に補償内容を確認しましょう。
また、補償割合や1日あたりの限度額などによっては、思っていたような保険金額が支払われないこともあります。補償割合とは、補償対象となる治療費に対して保険金が支払われる割合のことで、一般的には50%と70%のプランがあります。
例えば、補償対象となる治療費が10万円だった場合、受け取る保険金は補償割合によって次のようになります。
このように、加入したペット保険の補償割合によって保険金が異なる点に注意が必要です。
猫のペット保険に入るべきかどうか悩んだときは、そもそもペット保険がどのようなものかについての理解を深めてみましょう。飼い主さんや愛猫にとって、必要か不要かの判断がしやすくなるはずです。
ここでは、ペット保険の補償内容について詳しく解説するとともに、ペット保険の仕組みや使い方をご紹介します。
ペット保険で補償されるのは、基本的に補償開始後に発症した病気やケガの治療費です。加入前や待機期間中に発症した病気やケガについては補償されません。
ペット保険によって補償対象となる治療費は異なりますが、当社の『げんきナンバーわんスリム』の場合、対象となる治療費は以下の通りです。
ペット保険の中には、例えば、時間外診料は補償対象外になっているものもあります。また、補償対象となる病気は保険によって異なる点について詳しくは後述するものの、猫は若いうちから歯周病にかかりやすい傾向があり、歯科治療が補償対象外の場合もあります。
一般的にペット保険で対象外となるのは、病気予防の目的で行うワクチン接種や健康診断、治療に該当しない避妊手術・去勢手術の費用など、症状がなく健康体に行う処置はペット保険の補償とはなりません。