ペット保険は、補償される保険金の支払い限度額(上限金額)が決められています。支払い限度額の金額はペット保険によって異なるため、加入する前に確認をしておくことが大切です。
そこで今回は、ペット保険で定められている「保険金の支払い限度額」とは何かを解説するとともに、ペット保険の種類や保険金の支払い事例、選び方のポイントなどを紹介します。
もくじ
「保険金の支払い限度額」とは、最大で補償される保険金額のことで、「補償限度額」といわれることもあります。例えば、ペット保険の年間の支払い限度額が50万円の場合、年間で最大で50万円までの保険金を受け取ることができます。
また、ペット保険の支払い限度額は、大きく3種類に分けられます。
年間の支払い限度額内(下記の表の場合70万円まで)であれば1日あたりの治療費の金額や治療区分(通院、入院、手術)にかかわらず保険金を受け取れる。
治療区分 | 1日(1回)あたりの支払い限度額 | ①治療区分ごとの年間の支払い限度額 | ②年間の支払い限度額(最大補償限度額) |
通院 | 無制限※1 | 無制限※1 | 70万円 |
入院 | 無制限※1 | 無制限※1 | |
手術 | 無制限※1 | 無制限※1 |
※1 年間の支払い額(最大補償限度額)まで
治療区分(通院、入院、手術)ごとに決められた保険金額まで受け取ることができる。(下記の表①)
年間の最大補償限度額(下記の表②)は各治療区分の補償限度額(下記の表①)を合算した金額で記載されることが多い。
治療区分 | 1日(1回)あたりの支払い限度額 | ①治療区分ごとの年間の支払い限度額 | ②年間の支払い限度額(最大補償限度額) |
通院 | 無制限※2 | 20万円 | 70万円 |
入院 | 無制限※2 | 20万円 | |
手術 | 無制限※2 | 30万円 |
※2 ① 治療区分ごとの年間の支払い限度額まで
1日(1回)あたりに受け取れる保険金の上限金額が決まっているタイプ。
治療費が年間の補償限度額内(下記の表①②)でも、1日あたりの支払い限度額までの保険金の受取りとなる。
治療区分 | 1日(1回)あたりの支払い限度額 | ①治療区分ごとの年間の支払い限度額 | ②年間の支払い限度額(最大補償限度額) |
通院 | 1万円/1日 | 20万円 | 70万円 |
入院 | 1万円/1日 | 20万円 | |
手術 | 15万円/1回 | 30万円 |
このように、保険金の支払い限度額をどのように定めているかは保険商品によって異なるため、保険料だけでなく、保険金の支払い条件についてもよく確認しておくことが大切です。
多くの場合、ペットの通院や入院、手術は1日(もしくは、1回)単位でカウントされます。ここでは分かりやすく「1日あたりの支払い限度額」という視点で詳しく見ていきましょう。
それぞれどのような違いがあるのか解説します。
1日あたりの支払い限度額がないペット保険は、年間の支払い限度額だけが決められているペット保険です。仮に、1日の通院でかかった治療費が高額になったとしても、年間支払い額の範囲内であれば全額補償されるのが特徴です。
年間の支払い限度額はペット保険によって異なりますが、当社の『げんきナンバーわんスリム』の場合は70万円です(※)。
※プラン70の場合
*2023年4月時点の内容です。今後の商品改定等により、変更となる場合があります。最新の内容はホームページよりご確認ください。
<1日あたりの支払い限度額がないペット保険の例>
治療形態
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1日(1回)あたりの支払い限度額
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支払い回数の上限
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年間の支払い限度額
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通院 | 無制限(年間支払い額の上限まで) | 無制限 | 70万円 |
入院 | 無制限(年間支払い額の上限まで) | 無制限 | |
手術 | 無制限(年間支払い額の上限まで) | 無制限 |
この場合、1回の通院で5万円、1回の手術で40万円の治療費がかかった場合でも、年間支払い限度額の70万円までは保険金が支払われます。1日あたりの支払い限度額を気にすることなく、安心してペットを治療できるでしょう。
1日あたりの支払い限度額があるペット保険は、1日あたりの支払い上限金額を超えた分は自己負担となります。次のような条件の場合で考えてみましょう。
<1日あたりの支払い限度額があるペット保険の例>
治療区分
|
1日(1回)あたりの支払い限度額
|
支払い回数の上限
|
年間の支払い限度額
|
通院 | 1万円/1日 | 無制限 | 70万円 |
入院 | 1万円/1日 | 無制限 | |
手術 | 10万円/1回 | 無制限 |
例えば、1回の手術で40万円の治療費がかかった場合、受け取れる金額は手術1回あたりの上限金額の10万円までです。残りの30万円は自己負担になってしまいます。
このように1日あたりの支払い限度額があるペット保険は、治療費が高額になった際に、自己負担額が増えてしまう可能性がある点を覚えておきましょう。
ペット保険の中には、補償額の上限ではなく、年間の保険金の支払い回数に上限を設定しているものもあります。
<年間の支払い回数に制限を設けているペット保険の例>
治療内容
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1日(1回)あたりの支払い限度額
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支払い回数の上限
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年間の支払い限度額
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通院 | 1万円/1日 | 年間20日まで | 20万円 |
入院 | 1万円/1日 | 年間35日まで | 35万円 |
手術 | 10万円/1回 | 年間2回まで | 20万円 |
例えば、上記の例では、通院を年間25日行った場合、通院の年間支払い限度額の20万円に達していなくても、20日を超える通院費は全額自己負担となってしまいます。
通院や入院などの日数が増えた場合の負担が心配であれば、1日あたりの支払い限度額だけでなく、年間の支払い回数の上限も確認しておくことが大切です。
支払い限度額や年間の支払い回数も大切ですが、ペット保険の加入を検討する際は「自分のペットに合っているか」を基準にしましょう。「自分のペットに合っているかどうか」を考えるポイントは次の2つです。
それぞれ詳しく解説します。
高額な治療費がかかる病気やケガに備えたい場合は、1日あたりの保険金の支払い上限金額がないものや、1日あたりの上限金額が高いものを選ぶのがポイントです。
また、通院、入院、手術それぞれの支払い回数制限の有無や、年間の支払い限度額も確認しておきましょう。病気やケガの種類によっては1年のうちに何度も通院が必要になることもあり、不安な場合は、通院補償が手厚いペット保険を選んでおくと安心です。
1回あたりの平均治療費を目安に、年間の限度額がどれくらいあれば安心かを考えてみましょう。
<犬猫の1回あたりの平均治療費>
手術費 | (犬)20万0,515円 (猫)19万1,571円 |
入院費 | (犬)10万0,495円 (猫)10万1,397円 |
通院費 | (犬)1万3,739円 (猫)1万2,402円 |
ペットによって、かかりやすい病気やケガは異なります。自分の飼っているペットがどんな病気やケガにかかりやすいかを調べておくことで、自分のペットに合った保険を選びやすくなるでしょう。
犬に多い病気・ケガ | 猫に多い病気・ケガ |
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・歯周病などの歯科疾患* ・椎間板ヘルニア ・異物誤飲 ・骨折 ・僧帽弁閉鎖不全症 ・ガン ≪先天性・遺伝性の可能性がある病気≫ ・膝蓋骨脱臼(パテラ) ・特発性てんかん ・若齢性白内障 ・股関節形成不全 | ・歯周病などの歯科疾患* ・異物誤飲 ・腎不全 ・尿路結石症 ・心筋症 ・ガン ≪先天性・遺伝性の可能性がある病気≫ ・多発性囊胞腎(のうほんじん)症 ・肥大型心筋症 ・骨軟骨異形成症 ・進行性網膜萎縮症 |
ペット保険によって補償内容は異なります。例えば、ペット保険の中には、膝蓋骨脱臼(パテラ)や歯科治療を補償対象外にしているものがあります。
犬や猫は若齢でも歯周病になりやすく、治療費も高額になりやすいため補償対象となっているか確認をするとよいでしょう。
犬の場合、小型犬は膝蓋骨脱臼(パテラ)、大型犬はガンにかかりやすいなど体の大きさによってもかかりやすい病気は異なりますので、飼っている品種のかかりやすい病気も知っておくと安心です。
ここでは当社の保険金支払い事例を紹介します。症状や事例によって治療費には差はあるものの、一例として参考にしてみてください
異物誤飲のため、夜間診療にて動物病院を受診。1日間の通院で、催吐処置、注射、点滴、内服薬の処方などを行いました。
通院1日間、手術1回
治療総額 | 3万0,250円 |
ペット&ファミリー損保のペット保険、「げんきナンバーわんスリム プラン70」に加入していた場合、自己負担額例は以下の通りです。
お支払い保険金 | 1万9,075円 |
自己負担額 | 1万1,175円 |
※免責金額(3,000円×1日=3,000円)
※治療費全てが保険金の対象となる場合。請求事例をもとに簡易的に保険金支払い額を算出
※当社の保険金支払い事例に基づくデータであり、一般的な水準を提示するものではありません
*2023年4月時点の内容です。今後の商品改定等により、変更となる場合があります。最新の内容はホームページよりご確認ください。
生後7ヵ月のときに右膝蓋骨脱臼で8日間入院治療をし、1歳1ヵ月のときに左膝蓋骨脱臼で8日間入院治療を行いました。
入院16日間(手術2回)
治療費 | 45万0,286円(入院1回あたり約20万円) |
ペット&ファミリー損保のペット保険、「げんきナンバーわんスリム プラン70」に加入していた場合、自己負担額例は以下の通りです。
お支払い保険金 | 28万1,600円 |
自己負担額 | 16万8,686円 |
※免責金額(3,000円×16日=4万8,000円)
※治療費全てが保険金の対象となる場合。請求事例をもとに簡易的に保険金支払い額を算出
※当社の保険金支払い事例に基づくデータであり、一般的な水準を提示するものではありません
*2023年4月時点の内容です。今後の商品改定等により、変更となる場合があります。最新の内容はホームページよりご確認ください。
歯肉炎の治療のため1日間通院し、全身麻酔にて処置を行いました。
通院1日間
治療総額 | 3万7,070円 |
ペット&ファミリー損保のペット保険、「げんきナンバーわんスリム プラン70」に加入していた場合、自己負担額例は以下の通りです。
お支払い保険金 | 2万3,849円 |
自己負担額 | 1万3,221円 |
※免責金額(3,000円×1日=3,000円)
※治療費全てが保険金の対象となる場合。請求事例をもとに簡易的に保険金支払い額を算出
※当社の保険金支払い事例に基づくデータであり、一般的な水準を提示するものではありません
*2023年4月時点の内容です。今後の商品改定等により、変更となる場合があります。最新の内容はホームページよりご確認ください。
ペット保険を選ぶ際は、支払い限度額以外にも確認すべき点があります。特に確認しておきたいのは次の点です。
それぞれ詳しく解説していきます。
ペット保険は、ペットの年齢とともに保険料が上がるのが一般的です。加入時点の保険料だけではなく、将来の保険料も考慮して「トータルでいくらかかるか」を判断することが大切です。ペットの平均寿命を参考に、一生涯でかかる保険料を算出して比較してみましょう。
犬も猫も、人と同じで高齢になればなるほど病気のリスクが高くなります。「保険料が高くなったから乗り換えたい」と考えても、病歴がある場合や高齢の場合、新規加入ができない可能性があるため、加入のタイミングにも注意が必要です。
ペット保険は、申込みをしてすぐに補償が始まるわけではありません。多くの場合、待機期間と呼ばれる「補償の対象にならない期間」が設けられています。そのため、保険金の支払い対象となる期間がいつから始まるのかも確認しておきましょう。
ペット保険の中には待機期間がないものもありますが、そのようなペット保険でも、保険の開始日までに一定の期間を設けているのが一般的です。待機期間がないからといって、必ずしも補償の開始が早いわけではないという点にも注意が必要です。
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ペット保険は加入してすぐに補償が受けられる?待機期間について解説
ペット保険によっては、契約更新時に条件を定めているものもあります。利用状況によって保険料が割り増しになったり、補償対象となるケガや病気に制限が付いたりする場合もあるため、事前に更新時の条件も確認しましょう。
ペット保険は加入時にさまざまな条件が設けられています。年齢や健康状態によっては加入できない可能性もあります。
基本的に、ペット保険は健康体でなければ加入できません。また、健康体であっても、病歴や現在の治療状況によっては加入を断られる可能性もあるため、できるだけペットが若くて健康なうちから加入するのがおすすめです。
ペット保険には、50%、70%といったプラン別に補償割合が定められています。例えば補償割合が70%の場合、10万円の補償対象となる治療費に対して支払われる保険金は7万円、自己負担額は3万円です(※)。補償割合が高いと自己負担額が減りますが、保険料も高くなるのが一般的です。
補償割合は「どちらが良い」と断定できるものではありません。どちらの場合も自己負担額は発生するため、保険料と自己負担額に対する飼い主さんの考え方に合った補償割合を選びましょう。
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※治療費の全てが補償対象の場合
保険金の請求方法も確認しておきましょう。ペット保険には、主に次の2つの請求方法があります。
窓口精算のほうが手間はかかりませんが、対応しているペット保険や動物病院が限られてしまいます。後日精算は日本全国の動物病院で利用可能です。
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ペット保険とは?動物病院を受診する前に知っておきたい使い方や選び方
ペット保険には支払い限度額が設定されているため、「補償限度額以上の治療費が必要になったらどうしよう…」と不安に感じることもあるでしょう。
その場合は、次の3つの対処法が考えられます。
それぞれ詳しく解説します。
ペット保険の支払い限度額に不安を感じた場合は、別のペット保険に乗り換えるという方法があります。
例えば、「1日(1回)あたりの限度額があるペット保険」を契約している場合には、「1日(1回)あたりの限度額がないペット保険」に乗り換えれば、1日にかかる治療費が高額になった場合でも年間の限度額を超えなければ補償されるので、不安を和らげることができるはずです。
詳しくは以下の記事で解説しています。
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ペット保険の乗り換えや見直しで知っておくべき5つの注意点!方法やタイミングも解説
ペットは自分の不調を言葉にして訴えることができません。小さなことでも、気になることがあればその都度動物病院に連れていきましょう。早期発見できれば、結果的に治療費を抑えられる場合もあります。
また、体重や栄養管理にも気を使うことも大切です。特に、肥満はさまざまな病気につながりやすく、体重が増えると心臓や関節への負担が大きくなります。さらに糖尿病の原因にもなるため注意が必要です。
加入する保険によっては補償を手厚くするために、ペット保険の掛け持ち(複数契約)が可能です。
ただし、掛け持ちをすると当然ながら契約数に応じた保険料を支払う必要があり、結果的に保険料の負担が高くなってしまう場合もあります。そのため、「ほかのペット保険に乗り換えられない」など特別な事情がない限り、十分な補償内容を受けられるペット保険を1つ見つけることをおすすめします。
ペット保険の掛け持ちについては、各社で条件が異なるため、検討する際は契約条件の確認が必要です。
ペット保険によって支払い限度額は異なります。限度額を超えた分のペットの治療費は全額自己負担となるため、ペット保険を選ぶ際は上限金額の仕組みをよく確認して検討をしましょう。
また、ペット保険は支払い限度額だけでなく、ペットがかかりやすい病気やケガ、生涯にわたってかかる保険料を確認することも大切です。細かい違いも比較しながら総合的に判断をし、自分のペットに合った保険を選びましょう。