動物病院での診察は自由診療です。そのため、治療費は全額自己負担となりますが、ペット保険に加入していれば経済的な負担を軽減でき、安心して治療を受けられます。
一方で、愛犬が元気であることや、治療費の全額が補償されないからもったいないという理由でペット保険に入らない飼い主さんがいることも事実です。犬のペット保険に「入る」と「入らない」の選択は、どちらがよいのでしょうか?
そこで今回は、ペット保険に「入ったほうがよい人」と「入らなくてもよい人」の特徴をはじめ、ペット保険に対する誤解、ペット保険が役立った事例などを解説します。
もくじ
ペット保険に入るべきかどうかを考えるときに、まず理解しておきたいのが、ペットが病気やケガをしたときにかかる治療費のことです。
そもそもペットには人のような公的な健康保険制度がなく、動物病院での治療費はすべて飼い主さんの負担となります。
近年は動物医療の発展により、ペットにも高度な治療ができるようになった半面、治療費が高額になるケースもあります。また、昨今の経済情勢の影響を受け、治療にかかる薬代や処置にかかる材料代なども高騰しています。
ペット保険は、補償対象となる治療費の一部が保険金として支払われるため、飼い主さんの経済的な負担を軽減するものです。ペットの治療にかかる費用が以前よりも高額になっている傾向を考えると、負担が軽くなるペット保険の重要性は増しているといえるでしょう。
万が一ペットが病気やケガをした際、少しでも治療費の自己負担額を減らしたいと考えるのであれば、ペット保険への加入を前向きに検討すべきでしょう。
特に、次のような飼い主さんにはペット保険への加入をおすすめします。
今は元気なペットも、いつ病気やケガをするか分かりません。手術や入院が必要な場合には数十万円を超える治療費が必要になるケースもあるため、万が一に備えたい場合は、ペット保険に加入しておくと安心です。
ペット保険に加入する際は、健康状態や年齢などの加入条件を満たす必要があります。ペットが若く健康なうちは加入しやすいため、保険に入るのであればできるだけ早めに検討をしておくことをおすすめします。
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飼い主さんの経済的状況や考え方によっては、ペット保険に入らなくてもよいケースがあります。
ペット保険に入らなくてもよい飼い主さんの特徴は次の通りです。
治療費の相場は地域や病院によって異なりますが、例えば、放射線治療の場合、100万円近い高額の治療費がかかることもあります。(※)また、術後数年間は定期的に受診する必要があるため、その都度通院費も発生します。
これらの費用はあくまで一例ですが、経済的に余裕があり、万が一の場合もペットの治療費を全額自己負担できるのであれば、ペット保険に入る必要はないでしょう。
また、積み立て貯金をしておいて、いざというときに治療費に充てる方法もあります。十分な金額の積み立てができれば、この場合もペット保険は必要ありません。ただし、積み立てを始めてすぐの時期に病気やケガをしたときには、治療費をカバーしきれない可能性がある点には注意が必要です。
「ペット保険に入らなくてもよい」という人には、次のような誤解が見られることがあります。
ここからは、それぞれの誤解について詳しく見ていきましょう。
ペット保険に入らなくてもよいと考える人の中には、「ペット保険は補償範囲が狭く損をすることが多い」と誤解している人が少なくありません。
飼い主さんとしては動物病院でかかる費用のすべての補償を期待しがちですが、ペット保険の補償対象となるのは、病気やケガの通院や入院、手術をした際にかかる治療費です。また、補償対象外となる傷病もあるため、飼い主さんによっては「補償範囲が狭い」と感じることもあるかもしれません。
しかし、補償範囲は保険商品によって異なるものの、補償対象となる傷病も近年は増えている傾向にあります。今後、今まで支払えなかった保険金を受け取れるようになる可能性もあるでしょう。
ここからは、ペット保険の補償範囲について、以下の2つの視点でもう少し詳しく見ていきましょう。
基本的に、ペット保険で補償対象となるのは通院、入院、手術に関わる治療費です。
ペット保険は、これらの3つをカバーするフルカバー型と、「通院のみ」「入院と手術のみ」「特定の傷病のみ」など補償範囲を限定した特化型の大きく2種類に分けられます。
また、補償対象となる通院・入院・手術に関わる、次のような費用が対象になります。
補償内容の詳細は保険会社によって異なります。夜間診療や休日診療などでかかる時間外診療費を補償してくれる保険会社は少ないため、重要事項説明書や約款などで確認しておきましょう。
ペット保険は前提として病気やケガの治療費が補償対象となります。そのため、ワクチン接種や予防接種、健康診断、去勢・避妊手術など健康体への処置はペット保険の補償の対象外です。ワクチン接種によって防げる病気も、正しく予防をしていなかった場合、補償対象外となるのが一般的です。
補償対象とならない細かな条件は、パンフレットや重要事項説明書、約款などに「保険金をお支払いできない治療費(免責事由)」などとして記載されているため、あらかじめ確認しておきましょう
「愛犬が元気だから保険は必要ない」と考える飼い主さんもいます。現在、ペットが元気だったり、これまで飼ったペットに大きな病気やケガがなかった場合には、保険の必要性を感じないこともあるでしょう。
しかし、犬の病気やケガは、たとえ予防を心がけていても完全に防ぐことはできません。若いうちは元気なペットでも、加齢に伴って病気やケガのリスクは高まります。
犬全体の平均寿命は14.62歳といわれており、10年前に比べて約1歳延びています(※1)。犬の1年は、人の4年に換算できるといわれており、犬にとっての寿命がこの10年間で大幅に延びたことが分かります。
寿命が延びるのは飼い主さんにとって喜ばしいことですが、一方で、シニア期に入ると体力や免疫が下がり、皮膚炎や悪性腫瘍(ガン)、心臓病のリスクが高まります。これらの病気は治療が長期にわたるため、治療費の総額も高くなる傾向があります。そのため、将来に備える意味でもペット保険は必要といえるでしょう。
※1 令和5年全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人ペットフード協会)
「治療費が全額補償されないからもったいない」と感じ、ペット保険に入らない飼い主さんも少なくありません。しかし、ペット保険を考える際は、損得ではなく、愛犬が万が一病気やケガになってしまった場合の備えとして捉えることが大切です。
動物病院の診察は、自由診療(※)です。そのため、医療設備の整った病院で高度な治療を受ける場合などは高額になりやすいでしょう。
ペット保険に入っていない場合、高額な治療費でも全額自己負担になります。場合によっては治療を諦めたり、飼い主さんが支払える可能な範囲での治療を選択したりする飼い主さんもいます。
一方、ペット保険に加入していれば自己負担額を30%や50%に抑えられるため「最善の治療を選択できた」「突然の病気やケガに対する出費にも安心して対応できた」という声も少なくありません。
※同一の病気やケガであっても動物病院によって異なる料金設定が可能です。
ペット保険に入らない場合のよくあるリスクとしては、主に次の3つが挙げられます。
ここからは、それぞれのリスクについて解説します。
ペット保険に入らない場合によくあるリスクは、治療費が支払えなくなることです。
動物病院での診療は自由診療のため、場合によっては高額になります。ペットの病気やケガは突然発生するため、十分な準備がされていなければ、治療費が支払えなくなるケースも考えられます。治療費を用意できず、ペットに適切な治療を受けさせてあげられないこともあるかもしれません。
あまりに高額な治療費になった場合には、飼い主さんの生活に影響が出たり、今後のライフプランを見直したりする必要が出てきます。実際に、ペット保険に加入しておらず後悔したという飼い主さんもいます。
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ペット保険に入らない場合、ペットの体調異変に気づいても、すぐに動物病院に連れていきづらくなる可能性もあります。
例えば、皮膚疾患などの慢性疾患は、治療が1回で終わらず定期的な通院が必要になります。ペット保険に加入していれば、継続的に治療が必要になったときでも経済的な負担が減るため、通院がしやすくなるでしょう。
一方、ペット保険に入っていない場合、毎回の治療費がかさむことが気になってしまい、動物病院に連れていきづらくなるかもしれません。対応が遅れてしまうことで、健康状態がさらに悪化する可能性もあります。
ペット保険に入りたいと思ったときに入れなくなる可能性がある点も、ペット保険に入らない選択をするリスクといえます。
保険は加入者同士の相互扶助で成り立っているため、公平性の観点から、保険加入時にペットが健康体であることが前提となります。健康状態に限らず、新規加入可能な年齢に上限が定められている保険も少なくありません。
必要なときに満足のいく治療を受けるためにも、ペットが若くて健康なうちに保険に加入することをおすすめします。
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ここからは、治療費の自己負担額が減り、ペット保険が役に立ったという事例を見ていきましょう。ここでは当社の『げんきナンバーわんスリム』に加入していた場合の支払い事例を紹介します。