愛猫の爪切りは、多くの飼い主さんの悩みのひとつ。しかし、子猫のうちから正しく対処できれば、爪切りが「大好きな飼い主さんとのコミュニケーションタイム」になることもあります。「爪切りの仕方は?」「動物病院で切ってもらえる?」など、猫の爪切りの方法やコツを解説します。
もくじ
「爪とぎをしているのに爪切りをする必要があるのか?」「爪を切らない方が自然だ」とお話しされる飼い主さんもいらっしゃいますが、爪とぎは爪先を短く丸くする行動ではありません。
お家の中で、爪をしっかり使って登る運動ができる場所を用意してあげるなど、爪を使った猫らしい行動ができるように工夫してあげることが理想です。
家具や家電の蝶番部分に尖った爪が引っかかって根こそぎ折れるような事故を防ぐために、日常的なケアとして爪切りをして短く整えることをおすすめします。
しかし、猫は四肢を触られることが苦手です。子猫のうちから日常的に触れられることに慣れていると、全身状態のチェックも簡単にできます。小さな怪我もすぐに発見してあげることができるでしょう。
爪切りをさせてくれない猫が高齢になってくると、爪とぎをしているようでも研げておらず、分厚く伸びた爪が肉球にゆっくりと刺さってしまいます。出血するようになってからようやく爪が伸びていたことに気付くケースが多いです。
高齢になってから新たに爪切りを始めるより、子猫のうちから楽しく爪切りに慣れておくとで、未来のストレスを軽減させてあげましょう。
生後2~3週齢あたりで子猫の爪はしっかりしてきて、生後3週齢過ぎると爪を出し入れできるようになります。
爪切りは、どんなことでも受け入れてくれやすい社会化期(生後2~3週齢から9週齢ごろまで)にスタートしておけると理想的です。
無理に押さえつけて爪切りをすると、爪切りが嫌な思い出になってしまいます。骨折させてしまう場合もあるので丁寧に実施しましょう。
「逃げないようにするためには」「嫌がったらどうしたらいいか」と悩むのではなく、おやつを舐めてもらいながら美味しく楽しく爪切りを乗り切ってもらえるよう工夫しましょう。
はじめから爪切りをするのではなく、数日間は手先をちょっと触ったら、液体おやつなどのご褒美を与えるなどして、手先を触られることにしっかり慣れてもらいましょう。
爪切りの器具にも慣れてもらう必要があります。爪切りを床に置き、子猫が興味をもって近づいたり触れたりしたらおやつを与え、爪切りの器具によい印象をもってもらいます。
爪切りで手先に優しくトントンと触れるなどして、爪切りが子猫に触れることにも慣らしましょう。
愛猫が寝ている間に爪切りをする飼い主さんも多いです。猫との関係性がしっかりできているなら「絶対にダメ」ではありませんが、愛猫にとって「安心して眠れない家」になる可能性があるためおすすめできません。
ゆっくりゆっくり練習して、爪切りに慣れてもらいましょう。
爪切りは、飼い主さんが使い慣れた器具を使用するとスムーズです。しかし、猫の爪は縦に割れやすいため、なるべく負担のかかりにくい形で、切れ味のよいものがおすすめ。ギロチンタイプの爪切りがよいでしょう。
器具を新しく購入したら、器具の握り方や手首の使い方など、愛猫の爪切りをイメージしながら何度も練習してから使用しましょう。
猫の爪切りについて、よくある質問について解説します。
猫の爪には、うっすらと見えるピンクのところに血管があります。そこに到達しない位置までは切れますが、切り過ぎると出血させてしまうことがあります。
痛い思いをさせて爪切りが嫌になってしまうことがないよう、先端だけをこまめに切りましょう。
爪切りが嫌なものにならないように、習慣づけることがポイントです。
1日1~2本の爪切りを毎日実施し、例えば10日で全部切り終えたとしたら、11日目は一番最初の爪をちょこっと切るような形で習慣づけられると理想的です。
肉球は力を入れず、優しく触りましょう。四肢を触れる練習の段階から、どのように触ると爪が出てきやすいか観察しておくとスムーズです。
「爪切り頑張ったらおやつあげるからね」は猫には理解しづらいです。
猫が成功報酬を理解するのは0.5秒以内といわれており、すべての爪を切り終えてからおやつを与えても、「爪切りをしたらおやつをもらえる」とは繋がりにくいです。
液体タイプのおやつを舐めてもらいながら爪を切るなど、爪切りと同時におやつを与えるのがおすすめです。
一度にすべての爪を切ると、だんだん嫌になってしまいます。おやつを美味しく食べている間で切れるよう、爪切り本数は1~2本を目安にしましょう。
爪のケアをしつつ、毎日楽しい触れ合いの時間をもってみてください。
爪切り中のご褒美おやつは、置く場所に注意しましょう。床におやつを置くと猫のあたまが下を向いてしまい、猫の頭が邪魔して前あしの爪が切りにくくなります。
猫が前を向いた姿勢でおやつを舐められるよう、牛乳パックに液体おやつを塗ってブックエンドなどに固定するなど、おやつの高さを調節してみてください。猫のあたまが邪魔になることなく、前あしの爪を切ることができます。
爪切りをする人と、おやつを与える人の2人で爪切りをしてもよいでしょう。
どんなやり方なら猫に嫌な思いをさせず、愛猫と飼い主さんにとって爪切りしやすいか工夫しながら実践してみてください。
爪切りをしてみたものの失敗したとなると、爪切りが子猫にとって嫌な思い出、嫌な時間になってしまいます。爪切りをスタートする前に動物病院へ相談し、飼い主さんが爪切りのレクチャーを受けるのもよいでしょう。
ただし、爪切りを依頼されると動物病院は全部しっかり切ってしまいがちです。「子猫の体の支え方、爪の出し方、切る場所を教えてほしい」「ゆっくり慣らしながら1本ずつ家で切っていきたい」といったことを動物病院に伝えましょう。
液体おやつを持参して、おやつを与えながら実施したいなど、細かく要望ができるとなおよいです。
どうしても爪切りが難しい場合は、動物病院にお任せするのもひとつの方法です。しかし、爪切りでこまめに通院していると、「動物病院=爪切りされる嫌なところ」と愛猫に認識される可能性があります。
愛猫の体調が悪くて受診したにもかかわらず、「爪切りされる嫌なところに連れてこられた」とならないよう、できればお家で楽しく爪切りしていただきたいです。
動物病院でスタッフに液体おやつを与えてもらいながら爪切りを実施し、愛猫が動物病院もスタッフも爪切りも大好きになれるようであれば、動物病院での爪切りもよい習慣でしょう。
お家での爪切りは、飼い主さんが毎日愛猫を触るよい機会になります。
飼い主さんが爪切りを持ったら「美味しい楽しい時間だ!」と愛猫がわくわくするようになることを目指し、子猫のうちから一緒に楽しみながら爪切りにチャレンジしていきましょう。
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