野良猫らしき子猫を発見した際、「どうやって保護すればよいか分からない」「お迎えするために準備しておくべきことを知りたい」という人は多いです。屋外で暮らす猫は、寄生虫や感染症など、健康上の問題を抱えていることがあります。野良猫を保護する前の心構え、保護してからすべきことや注意点を解説します。
もくじ
野良らしき子猫を見つけたら、家に連れて帰る前に次の点を確認しましょう。
子猫が1匹でいる場合、下記の可能性があります。
周囲に親猫や兄弟猫がいないか、世話をする人が本当にいないのか観察しましょう。
首輪がついているなら、迷子になった飼い猫であると考えられます。飼い主さんが見つかりやすいよう、保健所や保護団体、警察に連絡するとよいでしょう。
野良猫を保護するということは、「子猫の命を預かる」ということです。
など、保護した後のことも考えておきましょう。
一時保護したけれど迎え入れる先がないため元の場所に戻してしまうと、状況によっては「愛護動物を遺棄した」として動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)44条3項に違反する行為とみなされる可能性がありますので、十分な覚悟もって対応しましょう。
参考:環境省「動物愛護管理法(虐待や遺棄の禁止)」
環境省「動物の愛護及び管理に関する法律第 44 条第3項に基づく 愛護動物の遺棄の考え方について(平成26年12月12日環自総発第1412121号)」
野良猫を一時保護した場合でも、不妊手術やワクチン接種、病気の治療などに医療費がかかる可能性があります。命を守るために金銭的な負担がかかることも覚悟しておきましょう
触れることができる猫ならば、捕まえてキャリーに入れましょう。タイミングが間に合わず、キャリーケースを準備できなかった場合には、お家にあるもので代用しましょう。
その場合には、洗濯ネットが便利でおすすめです。網目が細かく、チャックが付いているため脱走防止に使えます。洗濯ネットに入れた後は、耐久性のあるダンボールやかごの中に入れて移動する方法がよいでしょう。
しかし、洗濯ネットもダンボールも、猫が快適に過ごせるように作られているものではないため、あくまでも一時的な使用にとどめ、一時保護や家族に迎え入れる場合には早急にキャリーケースを準備しましょう。
野良猫がよく現れる場所に捕獲器を設置して捕まえる方法が一般的です。捕獲器が手元にない場合は、愛護団体やボランティア団体、動物病院などで借りられるか問い合わせてみてください。
捕獲器を設置する場所は、人の気配が少なく日陰で安全な場所がよいでしょう。
設置した捕獲器は定期的に確認し、保護対象の猫が捕獲器に入っていることが確認されたら、捕獲器からキャリーケースに移します。その際、興奮して暴れることもあるため、ある程度落ち着くまで捕獲器を開けずに様子を見ましょう。
キャリーケースへ移すのが難しい場合、無理せず捕獲器のまま連れて帰ることをおすすめします。
元気そうに見えていても、自宅へ連れ帰る前に動物病院へ連れて行きましょう。
栄養不足で衰弱していたり、ノミやマダニ、回虫などが寄生していたりする可能性があります。そのまま連れて帰ると、先住猫に感染する心配もあるため、まずは保護猫の健康状態をしっかり把握しましょう。
動物病院では、子猫を保護したときの状況や猫の様子を伝え、年齢、性別、マイクロチップの有無を確認してもらってください。健康状態の確認、猫白血病や猫エイズなどのウイルスチェック、寄生虫の検査と駆除もしてもらうと安心です。
子猫が生後2カ月を過ぎているようであれば、最初のワクチン接種が必要です。健康状態がよければ、不妊手術も検討しましょう。不妊手術をすることで発情を防げ、多くの場合マーキング行為も改善します。
これらの情報や対応は、里親を募集する際にも役立ちます。
保護した子猫と一緒に暮らすことを決めたら、次のようなアイテムを購入し、生活環境を整えましょう。
保護した子猫が体調を整えられるよう、最低でも、安心して休めるスペース、栄養バランスのよい食事と新鮮な飲み水、清潔なトイレを用意し、静かで落ち着ける環境を提供しましょう。
お住いの自治体の動物愛護センターに連絡してみましょう。多くの自治体では、地元の動物愛護団体(NGOやNPOなど)などと連携を取り、殺処分を減らす取り組みがされています。
また、地元の動物愛護団体(NGOやNPOなど)に直接連絡し相談してみてもよいでしょう。動物愛護団体では、保護された野良猫や飼育放棄された猫たちと里親とを結ぶ譲渡活動や地域猫活動が行われています。
猫を飼ったことがある知人など、信頼のおける身近な人に子猫を飼える人がいるか相談してみましょう。子猫の健康状態や性別、ワクチンや不妊手術の状況なども伝えると親切です。
最近は、保護猫と里親を繋ぐマッチングサイト(里親募集サイト)も増えています。インターネットやSNSで多くの人に知ってもらうのもよいでしょう。
ただし、不特定多数の中から里親に適した人を探すのは簡単ではありません。何度か連絡を取り、相手が信用できる人か、しっかりお世話をしてくれる人かを見極めましょう。
里親になってもらう前に一度、実際に子猫に会って相性を確認してもらったり、数日間お試しで一緒に過ごしてもらうトライアル期間を設けたりするのもよいでしょう。
野良猫らしき子猫を見つけたら、迅速かつ適切な対応が必要です。一時的な保護でも、子猫の命を預かることに変わりありません。子猫の保護は、命への大きな責任が生じるということを忘れず、覚悟をもって向き合いましょう。
子猫を自分で飼えない場合もすぐに放棄せず、信頼できる人や動物病院、動物愛護団体などに相談したり、知人を通して里親探しを始めたりするなど、責任をもって対応してあげてください。
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