犬はもともと群れで生活をする動物。子犬はもちろん、成犬でも、トレーニングなしにお留守番をすることはできません。とはいえ、飼い主さんの仕事や買い物などでお留守番が必要になるのはやむを得ません。飼い主さんは、子犬がお留守番中に不安を感じながら過ごしていることを理解し、少しでも精神的な負担を減らせるよう環境を整えましょう。
もくじ
フードの切り替えが完了するまで(生後3~4カ月未満)は低血糖などの体調の急変リスクが高いため、短時間であっても子犬のお留守番は避けた方がよいでしょう。
この時期にどうしてもお留守番が必要な場合には、親戚や友人宅、ペットシッターや犬の幼稚園、ペットホテルや動物病院の利用を検討しましょう。
お留守番トレーニングは環境への順応性が高い社会化期、生後3か月頃のスタートがおすすめです。
いつからお留守番をさせて大丈夫かは個体差があり、トイレトレーニングが完了しているかがポイントになります。
留守が長いとうんちを踏み荒らす、食糞する、トイレシートにいたずらするなど別の問題が発生しやすいのでトイレトレーニングの進み具合や体調等を加味した上で少しずつ始めましょう。
子犬の性格、消化機能の発達、排泄コントロール時間には個体差があるため、○ケ月で何時間のお留守番ができるとは一概にいえません。お留守番は体調や個性に合わせて短時間から始め、少しずつ伸ばしていきましょう。
一般的に、子犬の排泄リズムは間隔が短く、トイレの場所の認知と便意のコントロールは生後6か月ごろからできるようになるといわれています。成長するにつれて排尿頻度は減っていきますが、月齢が浅いほど長時間のお留守番は避ける方が良いでしょう。
6か月を過ぎると、月齢の時間(例えば生後6か月で6時間)は排泄を我慢できるようになるといわれています。しかし、子犬の食事回数は、生後3~6か月までは1日3~4回、生後6か月~1歳頃までは1日2~3回が目安です。
お留守番をさせたとしても、なるべく早く帰宅するように心がけましょう。
一般的に、健康な成犬の場合は8~12時間はお留守番ができるといわれています。しかし、トイレを外でしかできない犬や不安を感じやすい犬の場合は、健康であっても長時間のお留守番は難しい場合があります。
最大の待てる時間は個体差がありますので、犬に負担にならない程度の時間で帰宅するようにしましょう。
お留守番のときだけケージやサークルに入れようとすると、入るのを嫌がるようになることがあります。普段からケージやサークルに慣らし、「いつもの居場所」と認識して抵抗せずに入れるようにしておきましょう。
子犬期にトイレをまだ覚えていない状況で、サークルなどにトイレシートを敷き詰めてお留守番させると、食糞をしたり、トイレを覚える時期を逃したりすることがあります。
子犬をお迎えした初日からトイレトレーニングを始め、トイレトレーニングが終了してからお留守番をスタートしましょう。
お留守番のときだけ遊べる特別なおもちゃや、お気に入りのおもちゃを用意してあげるのもおすすめです。お留守番が終わったら回収し、愛犬に特別なおもちゃと認識させましょう。
耐久性があり、犬が飲み込めないサイズのものを選んでください。
心身ともに満たされ、心地よい疲労感がある状態なら、落ち着いた気持ちでお留守番できるようになります。排泄を済ませておくためにも、お留守番前に散歩に出たり一緒に遊んだりしておくとよいでしょう。
子犬は体温調節がうまくできません。夏は熱中症の危険があるため、子犬が苦しそうな呼吸をしていないか、ぐったりしていないか様子を確認しながら、暑すぎないよう室温を調整しましょう。
冬場は冷えによる免疫細胞の活動性の低下が懸念されるため、子犬が震えたり、体を縮めたりしていないか様子を確認しながら、寒すぎない室温に調節するとよいでしょう。
直射日光やエアコンの風が直接当たると、設定温度よりも暑かったり寒かったりする可能性があります。ケージやサークルは、直射日光やエアコンの風が直接当たらない風通しがよい場所に設置しましょう。
窓から離れたところであれば、外を通りがかる人や犬、車の音にストレスを感じたり、無駄に吠えたりすることも防げます。
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【獣医師監修】ケージとクレートの違いは?子犬のケージの選び方やクレートトレーニングの方法を解説
お留守番中の子犬の様子が心配な飼い主さんには、見守りカメラの設置もおすすめです。スマートフォンと連携すれば、外出先でも子犬の様子を確認できます。
スマートフォンからカメラのアングルを変えたり、カメラ越しに話しかけたり、フードやおやつをあげたりできる機能が搭載されたものもあります。
家の前を通り過ぎる人、大きな車やトラックの音、隣家の犬の吠え声など、問題行動のきっかけとなりうる刺激をより正確に特定する際にも役立ちます。
見守りカメラとあわせて自動給餌器も活用しましょう。犬がうろうろ動き回るのが確認されたらフードが出るようにすれば、問題行動の予防にも役立ちます。
本格的なお留守番に向け、生後3か月頃から次の手順でトレーニングを進めましょう。
子犬をサークルの中に入れ、部屋を出ます。普段からサークルに慣れていれば、子犬は自分の居場所として落ち着いて過ごせます。
最初は1分くらい離れてすぐに戻ります。子犬が鳴いたり吠えたりせず待っていられたら、褒めてあげましょう。
1~2を数回繰り返し、2分、3分…と少しずつ離れる時間を長くします。子犬が鳴いたり吠えたりする前に戻りましょう。
吠えたり鳴いたりせずにお留守番できたら褒めましょう。徐々に自信がうまれ、「飼い主さんは必ず戻ってくる」ことを理解し、お留守番に慣れてきます。
お留守番トレーニングはごく短時間から始め、犬が吠えたり鳴いたりする前に部屋に戻るのがポイントです。
「待っていれば飼い主さんは必ず戻ってくる」ことを覚えさせながら、安心感を与えつつ徐々に離れている時間を延ばしていくとよいでしょう。
ひとりで過ごすことに慣れていない子犬は、長時間のお留守番が不安やトラウマとなる可能性があります。
トラウマは、飼い主さんの不在時に、遠吠え、無駄吠え、トイレ以外への排泄などストレスに起因した問題行動につながる場合があります。
お留守番の練習は、子犬の様子を見ながら短時間から始めていきましょう。
お留守番中は飼い主さんの目が離れているため、子犬が誤飲してしまう危険性があります。犬が口にすると危険なものは事前に片づけておきましょう。
お留守番中は、サークルなどで行動範囲を制限しておくとより安心です。
知らないうちに外出したほうがスムーズな犬と、声がけしたほうが納得してお留守番できる犬がいます。
前者の場合、着替える、鞄を持つ、お化粧をする、靴を出すといった準備の様子で外出することが伝わり、不安を高める可能性があります。子犬の意識がおもちゃなどに向くよう工夫し、子犬に気づかれないよう準備をしましょう。
声をかけると甘えるタイプの子なら、不安を感じさせないためにそっと玄関から出ることも方法のひとつです。
帰宅後、もしも子犬がうんちまみれになっていたり、サークルやケージの中が散らかったりしていても、飼い主さんは慌てたり怒ったりせずに淡々と片づけましょう。
飼い主さんがイライラすると、子犬に不安や嫌な気持ちを植え付けてしまい、お留守番が苦手になる可能性があります。
分離不安症とは、飼い主さんへの依存度が高く、ひとりになると不安感でいっぱいになる心の病気です。吠え続けたり、物を壊したり、トイレ以外のところで粗相をしたり、自分の体をなめ続けたりといった行動が見られます。
子犬期に上手に社会化できなかったこと、甘やかしすぎて自立心が育たなかったことなどが原因と考えられています。
飼い主さんがいるときとお留守番中の雰囲気の差が大きいと、犬の分離不安症につながることもあるため注意しましょう。
子犬はトレーニングなしにお留守番することはできません。お留守番トレーニングは、生後3か月頃の社会化期のスタートがおすすめです。
はじめはごく短時間のトレーニングから始め、「待っていれば飼い主さんは必ず戻ってくる」ことを覚えさせることが重要です。
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