子猫でも、小さくとがった歯で噛まれると想像以上に痛いものです。「可愛いから」と許していると噛み癖がつく可能性があるため、早めに対策しましょう。また、猫に噛まれることで、飼い主さんが感染症にかかるリスクもあります。子猫が噛む理由や噛まれないための対策、噛み傷の対処法、感染症について解説します。
もくじ
子猫は生後1か月で乳歯が生えそろい、生後3~6か月で永久歯に生え変わります。この時期の子猫は口の中に違和感があり、歯ぐきがムズムズとかゆくなるため身近にあるものを噛んでしまいます。
子猫も狩猟本能を備えており、母猫や兄弟猫とじゃれあってハンティングの技を身につけます。その過程で、お互いを噛み合いながら「噛まれると痛い・噛むと相手が怒る」ということを学び、社会性を身につけていきます。
しかし、生まれて間もなく親猫から離されて一匹で過ごしてきた子猫は、残念ながら猫としての社会性や噛む加減を知らずに育ち、噛み癖がつく傾向があります。
飼い主さんが手や指を使って猫と遊ぶことも、噛み癖の原因になるといわれています。
猫は動くものに反応してじゃれつきます。猫じゃらしやねずみのおもちゃと同じように、飼い主さんが手や指を使って遊ぶと、猫は「手は楽しい遊び道具だ」と認識して噛むようになることがあります。
子猫と遊ぶ際はおもちゃを使い、手で遊ばせるのはやめさせましょう。
猫じゃらしなどのおもちゃで機嫌よく遊んでいたのに、突然足に華麗な猫パンチや猫キックをお見舞いされることもあるでしょう。
これは、おもちゃを上手く「狩り」できずに不満が溜まり、足に絡みついてくると考えられています。猫がおもちゃに飽きたり、猫のプライドを傷つけたりしないよう、楽しく遊んであげましょう。
また、長時間なでられたり、触ってほしくない場所を触られたり、力加減が気に入らなかったりすると「もうやめて!」と噛むこともあります。猫の機嫌をしっかり観察しましょう。
猫はストレスを感じると、無関係の人やものに八つ当たりをしてイライラを解消する「転嫁性攻撃行動」をとることがあります。
というときに見られます。猫が落ち着くまでは近づかないようにしましょう。
危険を感じると猫は動きを止めますが、追い詰められると攻撃に転じることがあります。これを成功体験として学習すると、次に同じ状況に陥ったときに猫が攻撃をするようになります。
おもちゃを与えて「噛んでもいいもの」と教え、噛む欲求を満たしてあげましょう。
歯ぐきがかゆい子猫には柔らかいおもちゃがよいでしょう。おもちゃを使ってエネルギーを発散することで甘噛みを減らす効果が期待できます。
子猫と遊ぶときは手や指で遊ばず、持ち手が長いおもちゃで距離をとりながら遊びましょう。
ただし、毛糸や紐のような細長く柔らかいものは、遊んでいるうちに子猫が飲み込んでしまう可能性があります。糸や毛糸が消化管の中で引っかかると、傷つけたり詰まったりして腸に穴が開く恐れがあります。
飲み込む危険性のあるものは、子猫のおもちゃとして遊ばせないようにしてください。
なですぎるなど、過度なスキンシップを不快に感じる子もいます。
など、不快に思っている反応を見逃さないようにしましょう。これらの反応を見たらすぐに触るのを止めてください。
攻撃するまで猫を追い詰めないことも大切です。適切な距離をとりつつ、子猫の時期からさまざまな人・動物・環境に慣らしていくとよいでしょう。
噛みついてきたらそこで遊びを一旦止め、悲鳴を上げたり騒いだりはせずに、すぐに「あっ!」や「ダメ」など短い言葉で叱りましょう。このとき、名前を呼ばないことが大切です。
子猫が顔を背けたら、毅然とした態度で子猫から見えない場所へ移動します。「噛むと飼い主さんはかまってくれない」「噛んだら遊んでもらえなくなる」ことを覚えさせましょう。
怒鳴ったり、たたいたり、たたくふりをして恐怖を与えるしつけはしないでください。「痛いことや嫌なことをする人」と判断し、飼い主さんとの信頼関係が崩れてしまいます。
噛まれる可能性があることは行わない、噛まれるような状況を作らないように工夫することが大切です。
猫の口腔内には雑菌がたくさんいるため、たとえ小さな噛み傷であっても放置すると腫れたり化膿したりすることがあります。まずは、流水で傷口をしっかりと洗いましょう。
傷が深かったり痛みがひどかったりする場合は、すぐに病院で診てもらってください。
バルトネラ菌(Bartonella henselae)が原因の感染症です。
バルトネラ菌をもったノミに猫が吸血されて感染します。
猫は無症状ですが、保菌している猫に人が噛まれたりひっかかれたりすると、嚙まれた部分が赤く腫れたり、化膿したりします。発熱や痛みをともない、リンパ節まで腫れることがあるため要注意です。
健康な猫や犬の口腔内に常在するパスツレラ菌が原因の感染症です。
嚙まれた部分の皮膚が化膿します。猫は無症状ですが、噛まれたりひっかかれたりした部位が炎症を起こし、蜂窩織炎(ほうかしきえん:皮膚の深層部から脂肪組織にかけての炎症)を起こすこともあります。
悪化すると肺炎、気管支炎、副鼻腔炎に発展することも。免疫細胞の活動性が下がっている場合に発症すると、敗血症や骨髄炎など全身重症感染症を引き起こす可能性もある病気です。
猫の口腔内に生息している3種類の菌(C.canimorsus、C.canis、C.cynodegmi)が原因の感染症です。
発熱、倦怠感、腹痛、吐き気、頭痛などを起こします。重症化すると敗血症や髄膜炎を起こし、死に至ることもあります。
生まれて間もなく親猫から離されて一匹で過ごすことになった子猫は、猫としての社会性や噛む加減を知らずに育ち、噛み癖がついてしまう傾向があります。
乳歯から永久歯に生え変わる頃は、歯ぐきがムズかゆく周りのものを噛みがちな時期です。愛猫に噛まれることは、痛いだけでなく感染症にかかるリスクもあります。噛み癖がついてしまう前に、早めに対策しましょう。
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