猫を初めて飼う場合、1匹ずつお迎えすることが多いと思います。しかしながら、複数の子猫を飼うことは、人だけでなく猫の孤独感も軽減され、幸せに暮らせる選択肢のひとつです。
また保護団体から保護猫を受け入れる際に、できれば1頭ではなく兄弟複数頭で受け入れてあげてほしいと提案されることもあるでしょう。
多頭飼いは猫たちにとって素晴らしい選択肢ではありますが、メリットばかりではありません。子猫を多頭飼いする際に、注意すべき点を、一般的な多頭飼いの注意点と共に説明します。
もくじ
猫は独立心が強く、単独で過ごすことが好きな動物として知られている通り、猫の多頭飼いにはメリットだけでなく、デメリットもあります。
猫の多頭飼いはメリット・デメリットを十分に理解したうえで検討しましょう。
相性のいい猫同士であれば、猫同士の交流を好む傾向があります。多頭飼いをすることで、猫同士のコミュニケーションが活発になり、ストレス解消につながることが期待できます。
猫は1匹で運動することが少ないため、運動不足に陥ることがあります。また、室内飼育の猫は十分な食事が与えられるため、獲物を探し回ったり狩りをしたりする必要がありません。
消費カロリーが少ないと肥満になりやすいです。一緒に遊んだり追いかけっこしたりする相性のよい相手のいる多頭飼いなら、運動不足や肥満を防げるでしょう。
独立心が強い猫ですが、人に懐いている猫で飼い主さんが留守にしがちな家庭では、飼い主さんと過ごす時間が減って孤独を感じることがあります。
しかし、相性の良い猫同士であれば安心感を得られ、孤独感を軽減することができるでしょう。
猫は縄張り意識が強く、自分のテリトリーを守るために、ほかの猫とトラブルを起こすことがあります。特に、性格が異なる猫同士を一緒に飼う場合は注意が必要です。
犬と違って猫は、食べ物を少しずつ頻回に食べる動物のため、「1日2回食事の時間を決めて…」という習慣をつけることが難しいです。
常に餌を食べられる環境にしてしまうと、多頭飼いでは個別での食事量管理が難しくなるでしょう。
トイレが清潔でなければ猫がストレスを感じ、トイレ以外の場所で排泄したり、ストレス性の膀胱炎になったりする可能性があるため、猫のトイレは常に清潔にしておくことが求められます。
また、ほかの猫が使ったトイレを嫌がる猫もいるため、多頭飼育では「飼育頭数+1個以上」のトイレ設置が推奨されます。その分トイレの掃除も大変になってくるでしょう。
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飼い主さんの留守中に嘔吐や下痢、血尿といった形跡が見られても、多頭飼いではどの子が体調を崩しているのか判断できないことがあります。
様子をみていて受診が遅れたり、すべての子を動物病院に連れていって確認してもらったりしていると、診断や治療までに時間がかかってしまう可能性も。多頭飼育の場合は、ペットの見守りカメラを設置するなどして、異変に気付きやすい環境を整えておくことも重要です。
十分なスペースと食事、トイレといった環境があれば、複数の猫が同居することも可能ですが、猫同士の相性が影響してきます。猫同士の相性は、一般的に以下のような要素が影響します。
未避妊の場合、オス同士よりもオスとメスの組み合わせやメス同士のほうが一般的にうまくいきやすいとされています。
しかし、去勢手術をすればオス同士でもうまくいったり、避妊手術をすることでメス同士が対立関係になったりすることもあるようです。
猫同士の年齢差が大きいと、上下関係がはっきりしてトラブルが生じやすいとされています。高齢の猫よりも、若くて年齢の近い猫同士のほうが順応性はあり、うまくやっていける可能性が高いです。
猫にも個性があり性格もさまざまです。穏やかで社交的な猫同士ならうまくやっていける可能性が高くなります。一方、攻撃的な猫や臆病な猫と、穏やかで社交的な猫を一緒にすると、問題が生じやすいとされています。
過去にほかの猫と一緒に暮らした経験がある猫は、新しい猫との共同生活に慣れやすくトラブルが生じにくいとされています。猫の社会化期である2~9週齢の間に親猫や兄弟猫と過ごしていることも重要です。
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一般的に生後2~9週齢までが猫の社会化期と考えられており、その時期に兄弟猫や母猫と一緒に過ごすことで猫としての社会性が身につくといわれています。生まれてから一緒に過ごしてきた兄弟猫であれば、成長後の相性も比較的問題ないでしょう。
また、社会化期に人と触れ合い、人への警戒心がない猫のほうが飼育しやすい傾向があります。成猫がいる家庭でも、新たに迎えるのが子猫なら、先住猫が警戒しにくく受け入れてくれやすいでしょう。
ただし、成長にともなって性格が変化し、縄張り意識が芽生えることで猫同士の関係性が変わる可能性があります。猫の関係性に注意しつつ、なるべく適切な時期に避妊・去勢手術を行い、ストレスのない生活を送らせてあげることも重要です。
上でも述べた通り、月齢・年齢が近い猫同士のほうが相性はあいやすく、子猫同士のほうが順応性も高くよりうまくいきやすい傾向にあります。
猫同士の月齢・年齢が近くライフステージが同じであれば、食事管理がしやすいです。病気や肥満などで療法食を与える必要がある場合を除いて、同じライフステージ向けの食事を与えることができます。
ライフステージが同じであれば、ワクチン接種や避妊・去勢手術も、ほぼ同じタイミングで問題ないでしょう。
猫の多くは高齢になると慢性腎臓病になり、市販の総合栄養食に比べて高額な療法食が必要になります。また、高齢になると体調不良や病気などで医療費がかかってくる傾向にあり、ライフステージが同じであればその時期が重なります。
将来、金銭的な理由で必要な食事管理や医療を受けさせてあげられないということにならないよう、医療費などを考慮して多頭飼いを考えましょう。
高齢になると何らかの介護が必要になる猫も多いです。慢性腎臓病であれば、毎日の投薬や皮下点滴などが必要になり、飼い主さんに負担がかかってくるでしょう。
また、同年齢の猫であれば看取りの時期が同時に来てしまうことも覚悟しておく必要があります。
猫の多頭飼いにはメリットもデメリットもあります。これまでお伝えした要素を考慮しつつ、新しい猫を迎え入れる場合は、猫同士を慎重に紹介しましょう。
どんな猫でも、初対面であればまずは警戒して威嚇します。猫同士がうまくやっていけるように、時間をかけてゆっくりと紹介し、猫同士に適切なスペースや環境を提供することも重要です。
多頭飼いの利点は、猫たちが互いに遊び、交流し、ともに時間を過ごせることで孤独を感じずストレス軽減にもつながるといった点です。しかし、それぞれの個性や好みにしたがってコミュニケーションをとることも大切です。
自由に移動し、好きな場所でくつろげるよう、猫たちが気軽に出入りできる場所を設けるなど、それぞれが自由に動き回れる広いスペースを確保しましょう。
また万が一、相性の合わない猫がいる場合、お互いがストレスを感じない距離をとる必要があるため、自由に身を隠せる場所も必要です。それぞれ自由に動き回れる広いスペースを確保しましょう。
多頭飼いの場合、「飼育頭数+1個」を目安に十分な数を設置しましょう。好みの猫砂が異なることもあるため、それぞれに適したものを用意してください。
ストレスにより膀胱炎を起こす猫もいるため、血尿などの変化に気づきやすいようなトイレにするとよいでしょう。
猫の年齢や健康状態に応じて、食事のケアが必要です。少量の食事を頻回に食べる猫は、犬のようにその場で与えた食事をすぐに完食してくれるわけではありません。猫同士で食べ物を奪い合ったり、1頭が食べ過ぎて肥満になったりすることもあります。
病気などで療法食を食べる猫がいるなど、多頭飼育のうち1頭が食事管理を必要とする場合、ほかの猫にもその食事を与えて大丈夫か、あるいは隔離して個々に食事を与える必要があるのかなどを考えましょう。
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猫の多頭飼いのメリット・デメリットや多頭飼いの際の注意点などを解説しました。多頭飼いをする際には正しい知識を身につけ、猫の気持ちになって入念に準備をしましょう。新しい猫を迎えた後も、根気強く見守ることが大切です。
先住猫と新しく迎え入れた猫が共に幸せになれるよう、またその家族がより豊かに生活できるよう、しっかりとポイントを押さえて迎えましょう。
新しい猫を迎えるにあたって、この記事が猫や飼い主さんの豊かな暮らしの一助となれば幸いです。
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