【獣医師監修】ケージとクレート(キャリー)の違いは?子犬のケージの選び方やクレートトレーニングの方法を解説
2023.11.21 作成

【獣医師監修】ケージとクレート(キャリー)の違いは?子犬のケージの選び方やクレートトレーニングの方法を解説

獣医師/ペット栄養管理士

森井知里

森井知里

ケージやクレートは、愛犬と飼い主さんとの快適な生活に役立つツールのひとつ。子犬を迎え入れるにあたり準備しておきたいものです。利用する際は、子犬がクレート(狭く囲まれた場所)でも落ち着いていられるよう、クレートトレーニングも欠かせません。子犬の留守番や飼い主さんとの外出など、いざというときのために練習しておきましょう。

もくじ

    ケージとクレート(キャリーケース)の違い 

    【獣医師監修】ケージとクレート(キャリー)の違いは?子犬のケージの選び方やクレートトレーニングの方法を解説
    (Jus_Ol/shutterstock)

    どちらも全面を囲われており、犬が安全に過ごせる場所(ハウス)として使用することができますが、ケージは室内で据え置きで使用し、留守番時でも快適に過ごせるように一定の広さのあるものが多いです。

    クレート(キャリー)は、動物病院やお出掛けなど移動時や室内でのハウスとしても使用されます。

    ケージとは?

    ケージとは?
    (Christine Bird/shutterstock)

    ケージとは、天井から床までがすべて柵で覆われているタイプのハウスのことをいい、据え置きで使用することが多いです。

    犬は、自分のテリトリーが決まっているほうが安心できます。迎え入れてしばらくは、子犬はケージの中で過ごし、睡眠や食事、排泄をするのが一般的です。

    ケージを利用するメリット・デメリット

    ケージの利用には次のようなメリット・デメリットがあります。

    【メリット】

    • 子犬に自分の安心できる場所を提供できる
    • 子犬の行動範囲を制限することができる
    • 脱走する心配がない
    • 同じ室内で小さい子供と犬を離し互いに近づかないようにできる
    • スチールや金網製の商品は頑丈で壊れにくい
    • 留守中の誤飲防止が期待できる

    【デメリット】

    • スチールや金網製の商品は重くて移動しづらい
    • 狭いケージを選んでしまうと身動きがとりにくい

    ケージ選びのポイント

    ケージは、子犬にとって安心できる居場所であることが大切。快適に過ごせるよう、犬が横になれて壊れにくいもの、成犬になっても窮屈にならないよう十分なスペースがあるものを選びましょう。

    詳しい選び方は下記をご覧ください。

    【獣医師監修】犬のケージはどう使う?留守番や多頭飼いで役に立つケージの使い方を知ろう
    【獣医師監修】犬を多頭飼いする際、ケージはどうしてる?選び方や置き方を解説

    ケージの設置場所

    ケージはなるべく危険から遠ざけ、日当たりや風通しのよい場所に設置します。ケージをサークルなどで囲うとよいでしょう。

    また、直射日光が当たらない場所、暗くて寒い場所、人の出入りが多い場所などは避け、家族の目が行き届くところがおすすめです。

    クレート(キャリーケース)とは?

    クレート(キャリーケース)とは?
    (Reshetnikov_art/shutterstock)

    クレート(キャリーケース)は、全面が囲われていて、持ち手と扉のついた持ち運びが可能な箱型のハウスのこと。プラスチック製のものが一般的ですが、持ち運びやすい布製のものもあります。

    色やデザインが豊富で迷いがちですが、犬が中で方向転換できる程度の大きさのものを選ぶとよいでしょう。

    クレートの詳しい選び方は下記をご覧ください。
    【獣医師監修】どんなクレートがおすすめ?選び方とクレートトレーニングのメリット

    犬のうちからクレートトレーニングをするメリット

    子犬がクレート(キャリーケース)の中でも静かにリラックスして過ごせるようにするトレーニングを、クレートトレーニングといいます。

    寝床と習慣づけて子犬が自分から入るようしつけておくことで、安心して休めるだけでなく、さまざまな問題行動の予防にもつながります。

    【クレートトレーニングのメリット】

    • 短時間の留守番の安全
    • 来客時にもリラックスできる場所ができる
    • 車での移動中の安全
    • 旅行(新幹線・飛行機)やペットホテルでの安全・安眠
    • 災害時の避難所生活の対策

    子犬をお迎えしてから1週間ほど経ったら、クレートトレーニングを始めてみましょう。

    クレートトレーニングの注意点

    クレートトレーニングでは、「クレート(キャリーケース)内は安全で安心できる自分の居場所」と思えるように教えることが大切です。

    嫌なことが起きるとき(動物病院に行くときだけ)にクレートを使うということはやめましょう。

    「クレートに入る=動物病院に連れていかれる(嫌なことがある)」とネガティブな印象を与えると、リラックスして過ごせなくなってしまします。

    クレートトレーニングの方法・やり方

    クレートトレーニングの方法・やり方
    (SM-BG/shutterstock)

    1.体のサイズにあったクレートを用意する

    狭すぎると窮屈になり、広すぎると安心できません。子犬が成長した後のサイズも考慮して、ゆったり「伏せ」ができる大きさを選びましょう。子犬が動いてもへこまない強度のものを選んでおくと安全です。

    また、サークルやケージの中にクレートとトイレを離して置き、クレートは寝床として活用しましょう。

    2.まずはクレート内で食事を与える

    最初はごはんを手前(入り口側)に置き、子犬が顔を入れて食べるのを待ちます。顔を入れて食べるのに慣れてきたらフードボウルを少しずつ奥へ移動させ、クレートの中に入ってごはんを食べさせるようにしていきます。

    これを繰り返すことで、子犬にとってクレートは、ごはんが食べられる印象のよい場所になります。

    3.慣れたらおやつもクレート内で与える

    子犬が楽しんでクレートの中に入れるよう、クレートの外から中に向かっておやつを並べて置きます。おやつを食べながら中に入ったら「いい子」と声をかけて褒めてあげましょう。

    繰り返し行うことで、クレートはおやつが食べられる楽しいところと認識させましょう。

    4.クレート内でおもちゃ遊びをする

    子犬が安全にひとり遊びできる安全なおもちゃをクレートの中に入れ、自分から中に入って遊ぶのを待ちましょう。楽しんで遊んでくれるようになれば成功です。

    5.扉を閉めて、クレート内で過ごす時間を徐々に伸ばす

    クレートの出入りに慣れ、クレート内でも気にせず遊べるようになったら、扉を閉める練習を始めます。

    最初は一瞬だけ扉を閉めて扉越しにおやつをあげ、すぐに扉を開けます。扉のカギはかけずに子犬が押せば開くようにしておき、少しずつクレート内で過ごす時間を増やしましょう。

    クレート内で嫌な経験をしなければ、安心して過ごせるようになるはずです。

    犬に「ハウス」をしつける方法

    犬に「ハウス」をしつける方法
    (F Armstrong Photography/shutterstock)

    掛け声でクレートなどのハウスに入れるようにしつけておくと、来客時や災害時にも役立ちます。また、抵抗なくクレートに入れるようになれば、病院に連れて行くときやお出かけの際にもスムーズな移動が可能になります。

    1. 好きなおもちゃや食べ物で気を引く

    興味のあるおもちゃやおやつで子犬の気を引きます。

    2. クレートまで誘導して「ハウス」と声をかけ中に入れるようにする

    おもちゃやおやつに興味を示したら、「ハウス」と声をかけながらクレートの中へ誘導します。中に入ったら褒めてクレートの中でごほうびのおやつやフードをあげましょう。

    3. ケージから出てきたら、再び気を引きクレートに誘導するのを繰り返す

    子犬がおもちゃをくわえて出てきたら、再度おもちゃやおやつで気を引きながら「ハウス」のかけ声とともに誘導することを繰り返します。

    クレートトレーニングの注意点 

    クレートトレーニングの注意点
    (ilona.shorokhova/shutterstock)

    むりやり押し込んで入らせない

    子犬にとって「クレートに入るのは怖く嫌なもの」になってしまうと、トレーニングが難しくなります。「閉じ込められる嫌な場所」ではなく「入ってみたら楽しかった場所」と思ってもらうことが大切です。

    無理やり押し込んだりはせず、子犬のペースでトレーニングを行いましょう。

    クレートをお仕置きには使わない

    叱ったときのお仕置きとしてクレートに入れることはやめましょう。クレートに対して嫌なイメージを持ち、クレート内で安心して過ごせなくなってしまいます。

    子犬の機嫌や体調がよいときに行う

    「トレーニングは楽しい」と思わせることも大切です。機嫌や体調が悪いときは無理をせず、トレーニングをお休みしましょう。

    快適な場所にクレートを置いてトレーニングする

    緊張したり、怖さや不安を感じたりするような場所でのトレーニングは避けましょう。楽しい気持ちで安全に練習することが大切です。

    クレートにポジティブなイメージをもたせる

    掃除や動物病院など、子犬が嫌がることをするときだけクレートを利用するのも控えましょう。子犬の気持ちを考えず、飼い主さんの都合だけでクレートを利用していると、クレートが嫌いになってしまいます。

    まとめ

    ケージやクレートは、子犬と人の快適な生活に役立つツールのひとつです。子犬に「安心して過ごせる自分の居場所」と思ってもらえるようにするため、クレートトレーニングは重要です。クレートトレーニングを行うことで、子犬の留守番、飼い主さんとのお出かけや災害時の避難などがスムーズに行えます。いざというときのために練習しておきましょう。

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    著者・監修者

    森井知里

    獣医師/ペット栄養管理士

    森井知里

    プロフィール詳細

    所属 yourmother合同会社
    (獣医師によるオーダーメイドの手作り総合栄養食や療法食レシピをお届けする「DC one dish」の運営)

    日本ペット栄養学会

    略歴 1992年 三重県に生まれる
    2011年 麻布大学獣医学部動物応用科学科に入学
    2013年 麻布大学獣医学部獣医学科に転学科
    在学中、料理教室で講師を務める
    2018年 獣医師国家資格取得
    2018年 東京都内動物病院に勤務
    2019年~2021年 千葉県内動物病院に勤務
    2022年~2023年 東京大学附属動物医療センターで内科系研修医として勤務
    2023年4月~ yourmother合同会社に勤務

    資格 獣医師免許
    ペット栄養管理士

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