新しく子犬を迎えるにあたり、避けては通れないのが犬のしつけです。適切なしつけができていないと、一緒に暮らしていく中で人と犬の関係が上手くいかず、せっかくお迎えしたのに楽しく過ごせなくなってしまうかもしれません。また、しつけには時間がかかり飼い主さんの根気が必要です。適切な方法を学び、愛犬と一緒に楽しい生活を始めましょう。
もくじ
しつけをする際の基本として、次の点を意識してください。
同じことをしても飼い主さんの態度が毎回違うと、犬はその行動の良し悪しを認識しづらくなってしまいます。
また、上下関係を教えるために力ずくで犬を服従させるやり方では、犬が飼い主さんを怖がるようになり、適切な関係を築けなくなる可能性が高いため控えましょう。
以前は、犬のマズル(口吻)を掴んで叱り、犬と飼い主さんの間に上下関係を作るマズルコントロールがよく用いられていました。この方法はしつけとして一定の効果はあるものの、タイミングと力加減が難しいです。
現代ではこのような嫌悪刺激はしつけに用いるべきではないという考え方から、マズルを掴んだり恐怖心を与えたりするようなマズルコントロールは望ましくないという流れになっています。
子犬のころからマズル周りを触れられることに慣らしておけば、歯磨きや口の中のチェックがしやすくなります。歯周病の予防や口腔内腫瘍(しゅよう)の早期発見に繋がることもあるため、マズル周りは優しく触って慣らすようにしましょう。
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褒めてしつけるのが基本とはいえ、甘やかし過ぎるのもよくありません。褒めてばかりで、ダメなことをしたときに適切に叱らないと、犬はすべての要求を通すために気に入らないときは威嚇したり、所かまわず排泄したりするようになることもあります。
小型犬ならそれほど迷惑にならず、しつけは要らないだろうという飼い主さんもいるかもしれません。しかし、飼い主さんですらコントロールできない犬は、充分な獣医療を受けられない可能性もあります。
3~12週齢を社会化期と呼び、子犬が社会に馴染む大切な時期と考えられており、動物愛護法では8週齢(生後56日)を過ぎるまでは子犬・子猫を販売してはいけない決まりとなっています。
これは、あまりに早く親兄弟と離されてしまうと、犬同士のコミュニケーションができなかったり、体の弱い子になったりする可能性があるからです。
社会化期の子犬は好奇心が警戒心を上回り、新しい刺激にも順応しやすいです。8~12週齢の子犬を迎え入れたら、動物病院に連れて行ったり少しだけ外に出してみたりして、さまざまな刺激に慣らしておくとよいでしょう。
ただし、8週齢ではまだワクチン接種プログラムが完了していないため、見知らぬ犬との接触は避けてください。
子犬は何にでも興味津々なため、ときには危ない行動をすることもあります。子犬が室内の危険な場所へ行かないよう、階段の前に柵を設けるなどの対策はしておきましょう。
また、電化製品のコードや観葉植物など、噛むと危ないものは子犬の行けるスペースに置かないようにしてください。スリッパや本なども、かじり始めると癖になることがあるので、置かないほうが無難です。
具体的には、次の点をしつけておくとよいでしょう。
順番にしつけの方法を解説していきます。
人を噛むようになってしまうと、
といった可能性があります。人を噛んではいけないということは、充分に理解させる必要があります。
噛み癖をつけないために、次の点を心がけてください。
飼い主さんが手を使って遊ばせていると、人の手を噛んでもよいものだと認識してしまう可能性があります。しつけを覚えるまでは、おもちゃを使って遊ぶようにしましょう。
遊んでいる最中に歯が手に当たったら、“あっ”と声を上げ、遊ぶのを中断し、犬をハウスに戻してしばらく構わないようにしましょう。この際、上げる声は何でもよいですが、何かひとつに統一し、「こういわれたときは叱られている」と認識させる必要があります。
ただし、名前を呼んで叱ると名前を呼ばれるのが嫌になることもあるため避けましょう。これは他のしつけにおいても同様です。
子犬の噛み癖をつけないためのしつけ方法はこちらの記事でも紹介しています。
【獣医師監修】子犬の甘噛みは成長過程のひとつ!噛み癖がつく前にやっておきたいしつけの方法
トイレをさせたい場所にその子自身の排泄物のニオイをつけ、その場所でできたときには思い切り褒め、トリーツ(おやつ)を与えるというのを繰り返します。不適切な場所で粗相してしまった時には、叱ることはせずペット用の消臭剤を使ってニオイを取り除きましょう。
ニオイが残っていると、再びそこで粗相をしてしまうかもしれません。排泄をしそうなそぶりがあったら、トイレまで連れていき、そこで排泄するよう誘導することも大切です。
梅雨時など散歩に出にくいときや、万が一の災害時にも対応しやすいので、家の中で排泄できるように慣れておくとよいでしょう。
飼い主さんがいないと不安になり、身の回りのものを壊したり、手足を過剰に舐めたり、繰り返し鳴いたりするといった問題行動を起こさないよう、子犬のうちから留守番に慣れさせましょう。
最初は10秒~5分程度の短い留守番を長短織り交ぜながら繰り返し、1回の練習時間は20分程度にしてください。犬が慣れてきたら、飼い主さん不在の時間を少し延ばし、1~30分ほどの外出を長短織り交ぜながら繰り返します。
留守番に慣れるまでのスピードはその子によって違います。なかなか上手くいかない場合は、動物病院で相談してみましょう。行動学に詳しい先生がいる病院だとなおよいと思います。
愛犬を留守番させる時のポイントはこちらも参考にしてみてください。
犬と人がお互いに幸せに暮らすためには、犬の習性を充分に理解しつつ、犬に人との生活に慣れてもらう必要があります。決して犬に無理強いさせることなく、よい関係を保ちながらしつけをしていきましょう。
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