子犬が突然吐くと、驚く飼い主さんは多いかと思います。犬はどのような原因で吐くのでしょうか。いざというときに慌てないよう、子犬が吐いたときに考えられる原因、嘔吐の症状がある病気、対処法を知っておきましょう。
もくじ
子犬は消化機能がまだまだ未熟なため、消化吸収がうまくできず健康でも吐くことがあります。しかし、何度も吐く場合は注意が必要です。
病気の症状のひとつとして吐くことも多いため、飼い主さんは嘔吐物をよく観察したり、写真や動画に残したり、嘔吐した時間や回数など状況を記録しておくとよいでしょう。
一口に吐くといっても、「嘔吐(おうと)」と「吐出(としゅつ)」があります。
飼い主さん自身が見分けるのは難しいかもしれませんが、余裕があれば愛犬の吐いた時のお腹の動きや吐き出される様子を観察してみましょう。
「嘔吐」はお腹に力が入り、オエッ、オエッとお腹を凹ませ絞るような行動をともないます。胃が収縮した後に口から食べ物や液体をゲボッと吐き出します。
「吐出」は食べ物や液体を飲み込んだ後、胃に到達する前に逆流し口から出てくる現象で、嘔吐のようにお腹を絞るような行動は見られません。突然ゲーッと吐き出されます。
嘔吐と吐出の違いによって、考えられる病気や病院を受診した際に行われる検査が異なります。
吐き出したものがどんなものだったかは、診断に役立ちます。様子を見ていてよいものか、血が混ざっているなど緊急性の高いものかどうかを確認するためにも、吐いたものを確認しましょう。
子犬が吐きだすものの代表的な例については、「該当見出しリンク」で詳しく解説します。
1日の嘔吐回数、食事との間隔を記録しましょう。記録することで、症状の様子が把握しやすくなります。1日に何度も吐いている、何日も続いて吐いている場合には病院を受診しましょう。
また、記録内容は病院を受診した際にも診断に役立ちます。
元気や食欲があるかどうか、確認しましょう。
下痢、食欲不振、悪心、流涎、発熱など、ほかにも症状がないか確認しましょう。症状がある場合は、様子を見ずに動物病院へ連れていきましょう。
犬が吐き出すものの中で、代表的なものや特徴は以下の通りです。
換毛期など毛の抜けやすい時期には、抜けた毛を飲み込んでしまうことがあります。毛は消化されないため、便と一緒に排泄されるか吐き出すかで体外に出されます。
ドロドロしていたり、フードの塊が混ざっていたり、フードのにおいがしていれば、食べたフードがうまく消化されなかった可能性があります。
食欲があって元気な様子が見られる、吐く回数が増えていないようであれば、様子をみてよいでしょう。
犬は草を食べるとその刺激で嘔吐を起こしたり、植物の種類によっては中毒を起こしたりして吐くことがあります。
犬はおなかの調子がよくないときに草を食べるという説がありますが、理由ははっきり分かっていません。あまり積極的に食べさせないよう注意しましょう。
吐き出された黄色い液体は「胆汁(たんじゅう)」です。長時間にわたって胃が空の状態が続くと、胆汁が胃に逆流し「胆汁嘔吐症候群」を引き起こすことがあります。
透明な液体や泡の正体は、水か胃液、唾液の可能性が高いです。勢いよくたくさんの水を飲むことが原因となることが多いため、一気飲みしないよう様子を見ながら少しずつ与えましょう。
胃液を吐くのは、胆汁(黄色い液体)を吐いたときと同じく、空腹で胃酸が多く分泌されることが原因です。
フードが消化されて液状になっているにもかかわらず、嘔吐物が茶色い場合は、血液が混ざっている可能性もあります。胃や腸の病気が原因で出血し、血液が酸化することで茶色くなります。
食欲や元気がなく、その後も吐く回数が増えるようであれば、動物病院を受診しましょう。
赤い色の液体は血である可能性があります。肺や気管支などの呼吸器から出血しているとき、重度の胃潰瘍(いかいよう)や食道の病気があるときなどに血を吐くことがあります。
また、口の中のケガによって嘔吐物に血が混ざり、ピンク~赤色の液体を吐くこともあります。
子犬は好奇心が強いため、おもちゃの破片や果物の種、骨、串、ひも、ボタン、ビニール、人の薬、タバコなどを間違って飲み込むことがあります。嘔吐物に普段食べていないものが混入していたら、誤飲の可能性が考えられます。
誤飲の場合、中毒症状が現れたり、胃内異物が刺激となって体内から排出されるまで何度も嘔吐を繰り返したり、何も出ないのに吐くしぐさをしたりすることがあります。
異物が胃から腸へと移動して腸に詰まると腸閉塞(ちょうへいそく)を引き起こし、放っておくと命に関わる危険性があるため、すぐに動物病院に連れて行きかかりつけの先生に相談しましょう。
中毒を引き起こしている場合、食べたものによって対処方法や治療法が異なるため、誤飲したものの種類、成分、量、時間などを記録しておきましょう。
次の症状・様子が見られた場合は、様子を見ずに動物病院へ連れていきましょう。
なお、子犬の場合は容体が急変しやすいため、フードの変更や食べ過ぎによる消化不良など、原因が明確な場合以外は基本的には受診をお勧めします。
子犬が吐く原因は次のものが考えられます。
【環境や生活スタイルによるもの】
【病気によるもの】
抵抗力の弱い子犬がかかると、症状が重くなる感染症があります。次の感染症は、混合ワクチンで予防が可能になります。獣医師の指示どおりにワクチンを受けましょう。
食べ物ではないものを飲み込んでしまった場合、嘔吐が現れることが多く見受けられます。また、中毒症状を起こす食べ物や、食べ物以外のものを食べてしまって嘔吐することも多いので気をつけましょう。
【中毒を起こす恐れがある食べ物】
ブドウ、キシリトール、チョコレート、タマネギ、ネギなど
【中毒を起こす恐れがある植物】
シクラメン、ポインセチア、アイビー、カラーなど
胃や腸にトラブルが生じているときに胃の中にものが入ってくると、再度、胃腸運動が起きて状態が悪化する可能性があります。
元気で食欲があり、症状も軽く、様子をみているうちに治まるようであれば、少し時間が経ってから、水やフードを少量から与えてみましょう。食べても吐かなければ、徐々にいつも通りの量に戻して与えてください。
犬が吐く原因が何らの病気である場合は、食べたり飲んだりする度に吐いてしまう可能性があります。嘔吐が続くと体力を消耗して弱ってしまうため、早めに動物病院を受診して対処してもらいましょう。
食器や給水器を工夫しましょう。早食いをする場合は、1食分を一度に器に入れず、食べるスピードに合わせて少量ずつ足しながら与えるとよいでしょう。
胃が空の状態が長時間続くのを防ぎましょう。
といった対応をし、それでも吐く頻度や量が増えるならば、かかりつけの先生に相談しましょう。
毛を吐くときには、被毛の飲み込みを防ぐことが重要です。ブラッシングをして抜け毛を除去し、毛玉の飲み込みを予防しましょう。換毛期にはこまめに掃除機をかけ、室内に被毛が落ちていない状態を保つことを心がけてください。
消化器が未発達な子犬は、成犬よりも嘔吐しやすくなります。子犬が吐くときに考えられる原因、嘔吐の症状がある病気、対処法を知り、いざというときに備えましょう。
吐いたあと元気がない、吐き気が続いているなど、ほかに症状がみられるようであれば、病気の可能性もあります。早急に動物病院へ連れていきましょう。
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