犬の多頭飼いにおいて、ケージは食事や留守番中、多頭飼育での安全管理など、さまざまなシチュエーションで役立ちます。飼い主さんも愛犬も過ごしやすい環境を作れるよう、使用用途によってケージの種類や大きさなどを適切に選び、活用しましょう。
もくじ
ケージ(cage)とは「かご・箱」のこと。犬や猫などの飼育ケージの場合、床、天井、側面のある常設型、据え置き型のものを指すことが多いです。
また、ペットを隔離するためのアイテムとして、囲いがあって天井の空いたものをサークル、移動用のものをクレート、キャリーと区別していることが一般的。しかしその定義は明確ではなく、さまざまな製品がさまざまな呼ばれ方で販売されています。
ケージがない状態で人と一緒に過ごしていると、犬は家全体を自分のテリトリーだと思うことがあります。すると、犬自身が許容していない人(家族や来客者)がテリトリーに入ろうとしたときに危害を加えたり、吠えたりすることがあります。
そうならないようケージを提供し、ケージ内を犬が安心できるテリトリーと認識させることで、人も犬も落ち着いて生活ができるようになるでしょう。
旅行や災害避難時などに、狭い空間でおとなしく過ごせなければ、大きな問題になることがあります。日ごろからケージといった限られた空間にいることに慣れておけば、万が一の際も安心でしょう。
狭い空間で大人しく過ごすためには、練習が必要です。ケージに入るのが苦手な場合、数分からでもケージに入る習慣を身に着けて、おやつなどのご褒美を利用し、徐々にケージの中にいる時間を延ばしていく訓練をしましょう。
人の目がない就寝中や留守番中、家の中で自由に放していると、知らない間に食べてはいけないものを口にしてしまうことがあります。また、テーブルにのって人の食事を盗んだり、人が落とした食べ物を足元で狙ったりすることも。
犬の体調不良時に、誤飲をしたのか、何を食べたのか飼い主さんに心当たりがない場合、診断に時間がかかることがあります。ケージに入れることで誤飲を避けるとともに、体調不良の原因から誤飲を省いて診断できるでしょう。
掃除中、仕事中、来客中など、犬に邪魔をされたくないときにもケージは役立ちます。
多頭飼いの犬が同じ場所で食事をすると、自分の食事以外のものを口にする可能性があります。
しかし、それぞれがケージの中で食事をすることを習慣にすれば、お互いがお互いの食事を盗み食べることをなくし、落ち着いて食事を摂らせることができます。
犬のケージ選びのポイントを解説しましょう。成長期にある子犬の場合は、成長後の体格を想定したサイズ選びをすることが大切です。
犬のケージを購入する際は、最低限、犬が横になれるサイズよりも大きいものを選びましょう。留守番することが多いなど、ケージ内で過ごす時間が長い場合は、トイレを設置できる空間もあったほうがよいでしょう。
天井部分が開いているサークルタイプのものなら、犬がジャンプしても飛び越えられない柵の高さが必要です。
木製のケージはかじって破壊することがあり、金属製だと噛みついて歯が欠けたり口の中を傷つけたりと一長一短です。ケージの素材は、用途や愛犬の性格などを考慮して選びましょう。
多頭飼育の場合は、1頭につき1つのケージを用意するのが原則です。1つのケージの真ん中に仕切りが入っていて、2頭を別々に入れられる大きなケージもあるため、飼育スペース的に2つケージを置くのが難しい場合は選択肢に加えてみてください。
ケージという限られたスペースの中では、暑かったり寒かったりしても犬が自ら移動して場所を変えることができません。飼い主さんは、よく考えたうえでケージの設置位置を決めましょう。
エアコンの設定温度や室内温度と、ケージを設置した場所の温度が必ずしも同じとは限りません。ケージが設置してある部屋全体の温度だけでなく、ケージの設置場所の温度にも気を配りましょう。ケージの横に温度計を置いておくと、その場所の温度がわかりやすいです。
また、暑そう・寒そうだからといって、エアコンが直風であたることも避けるようにしましょう。
直射日光があたる場所は季節や時間によって変わりますし、窓の近くは窓からの熱気や寒気が伝わりやすいです。朝は大丈夫でも、留守番中にケージ周りの温度が変わってしまうことも考えられます。ケージは窓から離して設置したほうが無難でしょう。
ケージの中から手を出して、周辺においてあるものをケージの中に引き入れることもあります。ケージの周辺には、ものを置かないようにしましょう。
犬の体が大きかったり力が強かったりする場合、ケージに体当たりしてケージ自体をずらしたり、倒したりすることもあります。場合によっては、ケージを固定することも考えましょう。
ケージを置く場所は1頭でも多頭飼育でも基本的に変わりません。しかし、犬の性格によっては、お互いの姿が見えないようにするとそれぞれの犬がより落ち着いてすごせるでしょう。
新しい犬を迎える際、先住犬からすると自分の生活環境に後から別の犬が入ってくるわけです。突然やってきた新しい犬と同じスペースに入れられることは、どちらかまたは両方の精神的なストレスとなる可能性があります。
また、自分のものだと思っているものを新しい犬に与えられたり、新しい犬のために自分の場所を移動させられたりすることで、新しい犬との関係性を悪くさせる可能性も。ケンカに発展すれば、ケガをしてしまうこともあるでしょう。
これらのことを避けるため、多頭飼いの場合でもケージは1頭に1つずつ用意しましょう。
さらに、新しく迎え入れた犬が寄生虫を外部から連れてきてしまうことも考えられます。新しい犬を迎え入れた際は、新しい犬を1週間ほどケージの外に出さず、先住犬は新しい犬と接触をさけ、自宅に慣れさせるのと検疫もかねてケージの中で過ごさせましょう。
先住犬との触れ合いはケージ越しにお互いがなるべく不快に思わないようにゆっくりと時間をかけて行う必要があります。
先代犬が使用していたケージは、先代犬の匂いがついています。新しく迎え入れた子にとっては、ほかの犬の匂いがついているケージに入れられることがストレスになる可能性も。流用する場合は匂いが残らないようきれいに洗ってください。
また、古くなったケージは留め具が緩んでいたり、壊れていたりすることもあります。破損がないかチェックしてから使用するようにしましょう。
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