「耳が臭う」「頭を振っている」「顔を傾けている」愛犬がこのような行動をとることはありませんか。もしかすると外耳炎のサインかもしれません。外耳炎は早期発見・早期治療がとても重要です。万が一、発見が遅れてしまうと手術が必要になることもあります。外耳炎の症状や原因を知って、愛犬を外耳炎から守りましょう。
もくじ
犬の外耳炎とは、文字通り外耳(耳の穴の入り口〜鼓膜まで)に起きる炎症のことをいいます。
犬に比較的多くみられる病気で、動物病院への来院理由として「外耳炎」は常に上位にランクインしています。また、若齢から高齢までどんな年齢でも罹患する可能性があります。
食物アレルギーがある犬の半数以上が、外耳炎の既往歴をもっています。その約1/3は、皮膚の症状が出るよりも前に、外耳炎の症状が先に出ていたとの報告もあります。
耳がかゆくなったり、痛くなったりするため、外耳炎になると愛犬に次のような症状がみられることが多いです。
愛犬に上記のような症状が見られた場合、早めに獣医に相談しましょう。あまりにもかゆみが強いと、掻きすぎて耳の毛が抜けたり、傷がついて出血したりすることもあるため、注意してください。
外耳炎の原因には、次のようなものが挙げられます。
耳には、自分自身で耳垢を排泄する力(自浄作用/マイグレーション)があります。そのため、正常な耳でも、耳垢があることは普通です。耳垢が完全にないことが健康とは限りません。
先にご紹介したような原因で自浄作用がうまく働かなくなると、耳の中の環境が悪化し、その結果外耳炎が起こります。
また、綿棒を使用した耳洗浄は耳介や外耳を傷つけ、外耳炎が悪化してしまう可能性があります。耳の洗浄液が合わずに外耳炎を引き起こしたり、病状が悪化したりすることもあります。自宅での綿棒を用いた耳洗浄は控え、見える範囲の耳垢をコットンでぬぐう程度にしましょう。
耳の形状(垂れ耳、狭い耳道、耳毛が多い)や遺伝的要因により、外耳炎になりやすい犬種も存在します。代表的な犬種は次の通りです。
もちろん、これ以外の犬種でも外耳炎になることがあります。
定期的に耳洗浄することが、外耳炎の治療の基本です。その際、耳垢検査やオトスコープ(耳鏡)検査を実施することで原因を探ります。
耳の中を綺麗にした上で、原因に応じて点耳薬を投与することもあります。また、炎症や感染がひどい場合には、抗炎症薬や抗生剤、抗真菌薬などの内服薬を用いることもあります。
耳の炎症が軽度であれば数週間程度で外耳炎は改善しますが、治療期間には個体差があります。耳垢が減ってきたからと飼い主さんの判断で投薬をやめてしまうと、症状が再発することがあるため注意しましょう。
また、慢性的な外耳炎の場合は、長期間の治療が必要になります。
炎症が外耳にとどまらず、鼓膜のさらに奥の中耳や内耳に炎症が波及すると、中耳炎や内耳炎を起こすこともあります。難治性になると、耳道を摘出する外科手術が必要になることもあります。
そうならないためにも、早期発見、早期治療が大切です。
外耳炎の予防のために、愛犬の耳や顔まわりを日常的に触る習慣をつけましょう。定期的に耳を触り、観察することで、異常がないか確認してください。また、定期的に適切な耳洗浄を行うことも大切です。
ただし、あやまった方法での耳掃除が原因で外耳炎になることもあるため、獣医師に相談し適切なお手入れの方法を学んでおきましょう。