ペット保険には「50%」「70%」といった補償割合があります。加入後に補償割合を変更することは難しい場合があるため、事前に「どっちを選ぶべきか?」を決めておく必要があります。
そこで今回は、ペット保険の補償割合についての基礎知識をはじめ、それぞれのメリット、向いている人の特徴などを解説します。
もくじ
補償割合とは、補償対象となる治療費の何%が保険金として支払われるかを示す数字のことをいいます。一般的には50%か70%のいずれかに設定されていることが多く、補償割合が大きくなるほど支払われる保険金が増え、自己負担額が減るという仕組みです。
<補償割合別の自己負担額>
補償割合 | 70%の場合 | 50%の場合 |
自己負担の割合 | 30% | 50% |
補償割合が高くなるにつれ、保険料も高くなります。例えば、1歳の小型犬(体重7.2kg以下)が当社の『げんきナンバーわんスリム』に加入する場合、保険料は次の通りです。
<1歳の小型犬(体重7.2kg以下)の保険料>
補償割合 | 70%の場合 | 50%の場合 |
月払 | 1,530円 | 1,360円 |
年払 | 15,870円 | 13,830円 |
*2023年4月時点の内容です。今後の商品改定等により、変更となる場合があります。最新の内容はホームページよりご確認ください。
このような特徴を踏まえた上で、ペット保険を選ぶことをおすすめします。
ペット保険の補償割合は50%や70%のものが一般的で、それ以外の補償割合は少数です。そのため、ペット保険を比較検討する際には、補償割合が50%か70%のいずれかで選ぶことが多いでしょう。
ここからは一般的に多く見られる50%と70%補償プランについて説明します。
50%補償プランとは、補償対象の治療費の50%が補償されるプランのことです。補償と自己負担が50:50の割合、つまり半分になるため、「どのくらい支払われるのか」「自己負担額がいくらになるのか」が計算しやすくなります。
保険料は70%補償プランと比べて安い傾向にあります。
70%補償プランとは、補償対象の治療費の70%が補償されるプランのことです。自己負担額が30%になるため、50%補償の場合よりも治療費の負担が軽減されます。そのため、より安心してペットに治療を受けさせることができます。
保険料は50%補償プランと比べると、高くなる傾向があります。
50%補償プランと70%補償プランのどちらが自分に合っているかを判断するためには、それぞれのメリットを比較することがおすすめです。
ここからは、50%補償プランと70%補償プラン、それぞれのメリットを紹介します。
70%補償プランのメリットは以下の通りです。
それぞれのメリットについて解説します。
ペットの病気やケガの治療費は全額自己負担となるため、「人の病気やケガの治療費よりも安いだろう」と考えていると、思いもよらない高額な治療費に驚かされることが少なくありません。70%補償プランであれば3割負担で済みます。
例えば、10万円の治療費がかかった場合、70%補償プランの保険金の支払い額と自己負担額は次の通りです。(※)
このように、自己負担額を抑えられる点が70%補償プランのメリットといえます。高額な治療費にできる限り備えたいという場合には70%補償プランがおすすめです。
※治療費の全てが補償の対象だった場合
補償割合が高いと自己負担額が減るため、万が一の際の経済的な不安が軽減され、より安心してペットと暮らせます。自己負担額が減ることから動物病院にも連れて行きやすくなり、病気やケガを早期に発見できる可能性も高くなるでしょう。
そのため、「高額な治療費が必要になったらどうしよう」と不安に感じる場合には、70%補償プランがおすすめです。
ペットの治療費は高額になることもあります。ガンなどの重い病気だけでなく、異物誤飲をしたり、歯周病が悪化したような場合、数十万円程度の治療費がかかる可能性もあります。
例えば、30万円の治療費がかかった場合、70%補償プランの場合なら、自己負担額は30%の9万円となります。一方、50%補償プランの場合は、治療費の半分の15万円が自己負担額となります。(※)
70%補償と50%補償で比較した場合、万が一の際にまとまった出費を避けることができるのは70%補償プランといえるでしょう。
※治療費の全てが補償の対象だった場合
50%補償プランのメリットは以下の通りです。
それぞれのメリットについて解説します。
50%補償プランは70%補償プランに比べて保険料が安いため、月々の出費を抑えたい場合は魅力的といえます。
例えば、当社の『げんきナンバーわんスリム』に、小型犬(体重7.2kg以下)が0歳から5歳まで加入する場合、月々の保険料は以下のようになります。
70%補償プラン(①) | 50%補償プラン(②) | 差額(①-②) | |
0歳 | 1,790円 | 1,550円 | 240円 |
1歳 | 1,530円 | 1,360円 | 170円 |
2歳 | 1,640円 | 1,440円 | 200円 |
3歳 | 1,820円 | 1,560円 | 260円 |
4歳 | 2,140円 | 1,800円 | 340円 |
5歳 | 2,280円 | 1,900円 | 380円 |
総額(※) | 134,400円 | 115,320円 | 19,080円 |
※0~5歳までの保険料×12ヵ月の合計
*2023年4月時点の内容です。今後の商品改定等により、変更となる場合があります。最新の内容はホームページよりご確認ください。
このように、50%補償プランのほうがトータルの保険料は安くなります。ただ、万が一の場合は、治療費の自己負担額が70%補償プランよりも高くなってしまう点に注意が必要です。
50%補償プランは70%補償プランと比べて保険料を抑えられることから、その分のお金を、ペットの暮らしのために使うことができます。
例えば、次のようなものにお金をかけることができるでしょう。
限られた予算内で、ペットの病気やケガに備えながらも、バランスよくペットの生活環境も充実させたいと考える場合は、50%補償プランがおすすめです。
50%補償プランの場合、保険金と自己負担額が50:50と半分であるため、「どれだけ補償されたか」「どれだけ自己負担したか」を比較的計算がしやすいでしょう。
また、計算が簡単だからこそ、計画を立てやすいというメリットもあります。例えば、犬を飼育する上で「1回は手術や入院、通院が必要になるだろう」と考えたとしましょう。
犬の場合、1回あたりの平均治療費は以下の通りです。
手術費 | 175,589円 |
入院費 | 79,345円 |
通院費 | 11,123円 |
合計 | 266,057円 |
※ペット&ファミリー損保調べ。2020年4月~2021年3月の保険金請求データより算出
合計額の26万円超を目安にして「半分はペット保険で補償されるから、13万円以上は自己負担額として確保しておこう」と計画を立てやすくなります。
ただし、必ずしも治療費が想定通りになるとは限りません。万が一を考え、余裕を持った貯蓄額を検討することが大切です。
ペット保険によって、補償割合を途中でアップグレード/ダウングレードできるもの、できないものがあります。加入するペット保険が「途中で補償割合を変更できるものかどうか」を事前に確認することが大切です。
途中で変更できないペット保険に加入したあとで「補償割合を変更したい」と考えた場合は、再度、別のペット保険に加入しなおさなければならないこともあるでしょう。加入しなおす場合は新規加入と同じように告知が必要になるため、健康状態や病歴によっては加入できない可能性もあります。
50%補償プランと70%補償プランのどちらを選ぶべきなのか迷った場合は、支払い事例を参考に判断する方法もおすすめです。
ここでは犬と猫に分けて、当社の支払い事例を紹介します。
椎間板ヘルニアの治療のためレーザー治療を行いました。
入院2日間
治療費総額 | 52,660円 |
50%補償プラン、70%補償プランの自己負担額例は以下の通りです。
70% | 50% | |
お支払い保険金 | 32,662円 | 23,330円 |
自己負担額 | 19,998円 | 29,330円 |
※免責金額(3,000円×2日=6,000円)
※治療費全てが保険金の対象となる場合。請求事例をもとに簡易的に保険金支払い額を算出
※当社の保険金支払い事例に基づくデータであり、一般的な水準を提示するものではありません
*2023年4月時点の内容です。今後の商品改定等により、変更となる場合があります。最新の内容はホームページよりご確認ください。
歯周病による下顎骨骨折で手術を伴い、通院治療を行いました。
通院1日間、手術あり
治療費総額 | 87,285円 |
50%補償プラン、70%補償プランの自己負担額例は以下の通りです。
70% | 50% | |
お支払い保険金 | 59,000円 | 42,143円 |
自己負担額 | 28,285円 | 45,142円 |
※免責金額(3,000円×1日=3,000円)
※治療費全てが保険金の対象となる場合。請求事例をもとに簡易的に保険金支払い額を算出
※当社の保険金支払い事例に基づくデータであり、一般的な水準を提示するものではありません
*2023年4月時点の内容です。今後の商品改定等により、変更となる場合があります。最新の内容はホームページよりご確認ください。
ここからは具体的に、50%補償プランと70%補償プランに向いている人の特徴を紹介します。プラン選びに迷っているという方は、ご自身がどちらに当てはまるのかをチェックしてみてください。
70%補償プランが向いている人の特徴は以下の通りです。
70%補償プランは50%補償プランよりも保険料が高い一方で、自己負担額を減らせることから「突発的な支出に備えたい」という人におすすめです。補償対象の治療費であれば自己負担額が30%になるため、万が一のときでも安心できます。
また、通院や入院、手術が多くなった場合に不安を感じる人にもおすすめです。例えば、垂れ耳の犬はそうでない犬よりも外耳炎になりやすいとされており、場合によっては通院の回数が多くなる可能性もあるでしょう。このような場合を心配する方は、70%補償プランで備えていたほうが安心できるでしょう。
50%補償プランが向いている人は以下の通りです。
50%補償プランは月々の保険料の支払いを抑えつつ、万が一に備えたい人に向いています。70%補償プランよりも自己負担額が増えることから「貯蓄があるため保険金の支払いは少なくてもよい」と考える人も、50%補償プランのほうが合っているでしょう。
ペット保険を選ぶ際には、補償割合とともに以下のポイントを確認しましょう。
それぞれのポイントについて解説します。
ペット保険を選ぶ際には、補償内容をチェックすることをおすすめします。まずは以下の点を確認しましょう。
ペット保険の中には「入院・手術のみ補償対象」という特化型のものと、「通院・入院・手術が補償対象」というフルカバー型に分かれます。ペットの治療費の大半は通院治療となり、犬猫に多い異物誤飲や骨折などは入院や手術が必要となることも少なくありませんので、通院・入院・手術の3つが補償される保険の方が安心度は高いと言えるでしょう。
次に、「犬や猫に多い病気が補償されるか」も確認しましょう。
犬に多い病気・ケガ | 猫に多い病気・ケガ |
---|---|
・歯周病などの歯科疾患* ・椎間板ヘルニア ・異物誤飲 ・骨折 ・僧帽弁閉鎖不全症 ・ガン ≪先天性・遺伝性の可能性がある病気≫ ・膝蓋骨脱臼(パテラ) ・特発性てんかん ・若齢性白内障 ・股関節形成不全 | ・歯周病などの歯科疾患* ・異物誤飲 ・腎不全 ・尿路結石症 ・心筋症 ・ガン ≪先天性・遺伝性の可能性がある病気≫ ・多発性囊胞腎(のうほんじん)症 ・肥大型心筋症 ・骨軟骨異形成症 ・進行性網膜萎縮症 |
歯科治療や椎間板ヘルニア、小型犬に多い膝蓋骨脱臼(パテラ)などは補償対象外になっているペット保険もあります。必ず事前に確認しましょう。
また、上記の病気だけでなく、「ご自身のペットがかかりやすい病気が補償対象か」も大切です。あらかじめ、ご自身のペットにどのような病気のリスクがあるのか調べておきましょう。
ペット保険には「年間の補償限度額」が設けられています。ただ、中には「1日あたりの補償限度額」を設けているものもあります。まずは「1日あたりの補償限度額に上限はあるか」、あるとしたら「妥当な金額かどうか」を確認しましょう。
次に、年間の支払い(利用)回数を調べることも大切です。ペット保険によって、支払い(利用)回数に制限を設けている場合があります。病気やケガの種類によっては治療が長期間にわたるケースもあるため、治療事例などを参考にして、安心して治療が行える回数かどうかを確かめましょう。
ペット保険の保険料は、基本的に年齢とともに上がっていきます。そのため、加入時の保険料ではなく「年齢ごとの保険料」を確認しておくことが大切です。
また、ペット保険によっては、高齢になると保険料が高額になるものもあります。他社のペット保険に乗り換えるという選択肢もありますが、年齢や健康状態、病歴によっては加入ができないことも少なくありません。
犬も猫も平均寿命は年々長くなっています。加入時の保険料だけで判断するのではなく、必ず「生涯でいくらかかるか」を考えてペット保険を選びましょう。
ペット保険にはさまざまな種類があります。補償内容や補償限度額を確認しても、複数の商品を比較した際に「どう選べばよいのだろう?」と困ってしまうこともあるでしょう。
ペット保険選びに失敗しないためには、次の2つのポイントに注目して選ぶことをおすすめします。
ここからは、これら2つのポイントについて詳しく解説します。
保険金の支払い金額の上限についても確認しましょう。
入院・通院・手術を合わせて「年間最大補償額 200万円」など一見して補償が手厚いように見える保険でも、手術は1回「〇万円まで」、通院は1日「〇千円まで」など、入院、通院、手術それぞれに1日あたりの支払い限度額が設けられている場合、1日あたりの上限を超えた分はすべて自己負担になります。
<犬猫の1回あたりの平均治療費>
手術費 | (犬)20万0,515円 (猫)19万1,571円 |
入院費 | (犬)10万0,495円 (猫)10万1,397円 |
通院費 | (犬)1万3,739円 (猫)1万2,402円 |
犬猫の1回あたりの平均手術費は20万円前後、通院費は1万円以上である上に、平均よりも高い治療費が発生することも少なくありません。
万が一の高額治療に備えるなら、「1日あたりの保険金支払い額の上限がない保険」や「上限金額が十分にある保険」かの確認が大切です。
犬や猫に多いアレルギー疾患、下痢や嘔吐などの不調は、症状や体質によっては定期的な通院が必要になることがあります。一概に何回の通院があれば大丈夫と言えるものではないため、年間の保険金の支払い回数に制限がない、もしくは、十分にある保険を選んでおくと安心です。
骨折や膝蓋骨脱臼(パテラ)などの手術では、複数回の手術が必要になることもあります。1度異物誤飲をした子が、数か月後にもう一度誤飲をしたという事例もあるため、入院と手術の保険金の支払い回数も確認するようにしましょう。
ペット保険は1年ごとに継続更新していくのが一般的ですが、犬の平均寿命(※)は14.62歳、猫の平均寿命は15.79歳といわれています。
次の点もしっかりと確認して、安心して長く加入できる保険を選びましょう。
※ 令和5年全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人ペットフード協会)
ペット保険に加入するときは、50%補償プランにするか、70%補償プランにするかを慎重に検討しましょう。「どっちでもいい」と安易な判断で加入してしまうと、万が一のときに「こんなはずではなかった…」と後悔してしまうかもしれません。
突発的な出費に備えて万が一に備えるのであれば、通院・入院・手術のすべてが対象のフルカバー型で、自己負担額を減らせる70%補償プランがおすすめです。自己負担額が増えても貯蓄などで対応でき、月々の保険料を減らしたいと考えるのであれば、50%補償プランも検討してみましょう。