突然、愛猫が下痢をして驚く飼い主さんは少なくありません。今回は、下痢で動物病院を受診する際のポイントや、家での過ごし方についてお話しします。猫の下痢の原因や予防についても解説しますので、日頃のトイレ掃除や排便チェックの際に、役立てていただけると嬉しいです。
もくじ
猫の下痢の原因になり得るものは、さまざまです。複数の原因が重なっていることもあるため、ひとつずつ丁寧に原因を取り除いていくようにしましょう。
よくある下痢の原因について解説します。
臓器に何か異常があり、下痢をしている可能性が考えられます。
腸が過剰に動いている、内分泌に異常が起きていないかなど、必要に応じて血液検査や超音波検査を行い、日頃の健診結果と比較しながら原因を探していきます。腫瘍がある際も、下痢が続くことがあります。
愛猫が下痢をしたときに飼い主さんの多くが感染寄生虫や細菌、ウイルスなどによる感染症を心配されると思います。
院内でできる糞便検査で、寄生虫の卵が検出されないか、細菌バランスや消化の様子などをチェックします。必要に応じて外部の検査機関に便を提出することもあります。
フードを急に切り替えたことで、お腹が慣れず消化不良を起こしたり、必要以上に食べ過ぎたりすることも下痢の原因となります。また、食物アレルギーが下痢につながっている場合もあります。
愛猫の食い付きはもちろんですが、便の様子や皮膚に変化がないか、口周りが赤くなってきていないかなども細やかに確認してあげましょう。
「記念日だからと、普段食べたことのないものを与えた」「人の食事を食べてしまった」「食べ物ではないもの(紐やおもちゃ)を誤飲した」といったことも下痢の原因になり得ます。
どんなものを与えたかはもちろん、身の回りでなくなっているものがないか確認しましょう。
直接猫が口にせずとも、空気中に漂ったものが猫の被毛につき、毛づくろいをすることで口に入ります。
消毒液や殺虫剤のみならず、洗剤や柔軟剤、芳香剤、アロマなど、中毒を起こすようなものは、猫の生活エリアに置かない・使用しないことが一番です。
また、テーブルなどに置いていた飼い主さんの薬を、猫が誤って飲んでしまうこともあるため気を付けましょう。
動物病院で処方された薬の影響で下痢になることもあるため、投薬中で下痢になった場合は、獣医師に相談してください。特に、抗生剤は下痢になることがあります。
ちょっとした環境の変化にも敏感な猫は、「近所で工事が始まった」「来客があった」といったことが下痢の原因になり得ます。
また、「新しい家族に迎え入れられた」「引っ越した」といったことは大きな環境変化です。事前準備やストレス対策、タイミングの見極めなど、動物病院と相談しながら慎重に行いましょう。
そもそも、部屋の温度・湿度が適していないこともあり得るため、細やかな確認も必要です。
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理想的な猫の便の柔らかさは、食べ頃バナナの柔らかさです。普段の便がどのくらいの硬さなのか、片付ける際にビニール越しで確認しておくとよいでしょう。日々、確認しておくことで、軟便に気づきやすくなります。
愛猫が下痢をした際、元気はあるか、食欲はあるか、軟便以外に異変はないかを確認しつつ、早いうちに受診しておくと安心です。
動物病院が苦手でなかなか受診に踏み切れない場合でも、便を持参するだけで検査してもらえるか相談してみるのも方法のひとつです。
いつから、何回、どのような下痢なのか、普段とどんなところが異なるのかをしっかり話せるように、日頃の愛猫の健康状態は、しっかり把握しておきましょう。
動物病院を受診したら、内服など動物病院での指示を守りましょう。
皮下点滴をした場合、点滴の水分が冷たくなると愛猫の体を冷やすことにも繋がります。猫が暖かく過ごせるよう、湯たんぽやヒーターを用意しておくと安心です。
また、下痢で脱水状態にならないよう、ウエットフードの比率を増やしたり、近くですぐに水が飲めるよう水場を増やしたりするといった対策をしましょう。
定期的な健康診断で健康状態を把握するのはもちろん、日ごろから細やかに接してあげることで下痢を防ぐことができます。
新しいドライフードに切り替える際は、トッピング程度から始めて1週間かけて徐々に切り替えるようにしましょう。
あう・あわないを把握しておくために、ウエットフードも日常的に利用することが大切です。下痢や体調不良でウエットフードを与える際、食べ慣れなくて下痢が悪化するといったことを防げます。
といったものが、その子にあったフードです。メーカーの異なるフードをいくつか与え、あったものを3種くらい見つけておくとよいでしょう。
家の中に侵入した虫を、愛猫が遊んで食べてしまうこともあります。ノミの駆虫と一緒に、寄生虫も駆虫できる滴下タイプの薬を使用することで、寄生虫による下痢を防げます。
定期健診と一緒に、糞便検査をしてもらうのもよいでしょう。
来客や動物病院の受診後に下痢になることが多い場合は、事前にしっかりストレス対策をしましょう。
来客が苦手な子なら、普段から猫のフェイシャルフェロモン剤を散布して香りに慣れてもらっておき、来客時に追加で散布することで、来客のストレスを軽減できる可能性があります。
受診が苦手な子の場合は、通院ストレスを軽減する内服薬の処方について獣医師に相談してみましょう。
飼い主さんの判断で様子を見てしまいがちな猫の下痢。よく下痢する子の場合は特に、「またか」と受診が遅くなることも少なくありません。
しかし、慢性的な下痢は何か大きな病気が隠れていることが多いため注意が必要です。
また、大きな病気がなくても、飼い主さんだけでなく動物病院にも「下痢をしやすい子」と認識してもらえるよう、都度相談をしておくことも大切です。
「いつもと違うので改めて検査をしてみましょう」「健康診断のときはこうでしたね」と振り返ることで、大事になることを防げます。
「ただの下痢なのに…」と臆することなく、まずは動物病院に相談しましょう。