犬や猫などのペットが病気やケガをした場合、手術や治療にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。動物病院での治療費は全額自己負担のため、飼い主さんはいざというときに備えておきたいもの。本記事では、犬・猫の入院・手術・通院費用データを公開。入院・手術の多い病気・ケガに実際にかかった治療費、ペット保険の支払い事例も紹介します。
もくじ
ペットには公的な健康保険制度がないため、ペット保険に加入していない場合は全額を自己負担しなければなりません。自由診療のため動物病院によって料金は異なり、実際にどれくらいの治療費がかかるのかわかりにくいのが実態です。
飼い主さんはあらかじめ手術や入院、通院にかかる平均費用をチェックしておきましょう。
犬の通院・入院・手術の平均費用は以下の通りです。
小型犬 | 中型犬 | 大型犬 | |
手術費 | 19万2,517円 | 20万7,141円 | 28万1,285円 |
入院費 | 9万7,900円 | 10万4,635円 | 12万8,527円 |
通院費 | 1万3,180円 | 1万4,856円 | 1万6,826円 |
手術費用は小型・中型犬は20万円前後、大型犬は30万円近く。犬の大きさにかかわらず、入院費はおおむね10万円前後、通院費用は1万円以上が平均。体のサイズが大きくなるほど、費用は高額になりやすい傾向があります。
猫の通院・入院・手術の平均費用は以下の通りです。
手術費 | 19万1,571円 |
入院費 | 10万1,397円 |
通院費 | 1万2,402円 |
犬の治療費用とそれほど差はなく、小型犬にかかる費用と同程度と考えてもいいでしょう。
ペットの医療費は年々増加傾向にあります。総務省の統計によれば、1世帯あたりの年間動物病院代は2009年からのおよそ8年で約2割増加しました。犬や猫の平均寿命が伸びていることが一因だと考えられます。
ペットフード協会のデータによれば、2010年からのおよそ13年間で犬の平均寿命は0.75歳、猫の平均寿命は1.43歳ほど伸びました。
長寿化が進めば、高齢期の治療費用や介護費用も増えるでしょう。今後さらにペットフードが改良され、動物医療が高度化していけば、平均寿命は伸びることが期待されています。
ペットの治療費は病気・ケガの内容によっても大きく異なり、入院・手術をともなうことの多い病気・ケガは、治療費が高額になりやすいです。もしもの場合に備えて、飼い主さんはそれぞれの病気の治療費事例を知っておきましょう。
ティッシュや人の薬など、食べ物以外のものを飲み込んでしまい、嘔吐や下痢、腹痛などを起こすのが異物誤飲です。意識障害などの中毒症状が現れる場合もあります。好奇心旺盛でしつけを覚えきれていない低年齢の時期に発生することが多いです。
異物誤飲の治療は、問診、レントゲン検査、超音波検査などを行い、異物が胃の中にある場合は内視鏡手術で摘出します。腸内まで異物が入り込むと開腹手術が必要です。経過観察のため入院することもあり、手術・入院が必要になるケースが多い傾向です。
治療費用は入院が数日なら数万円、手術や1週間以上の入院が必要な場合は30万円以上になることもあります。
トイ・プードル(0歳・男の子)
【治療期間】
入院2日、手術1回
【治療総額】
治療費 | 14万1,908円 |
【保険加入時の自己負担額】
お支払い保険金 | 9万2,336円 |
自己負担額 | 4万9,572円 |
歯周病は歯周組織に細菌が侵入・増殖することで、さまざまな症状を引き起こす病気の総称です。歯や歯茎の隙間に歯垢がたまって起こる歯肉炎、歯肉炎の進行で発症する歯槽膿漏などがあります。
歯周病になった場合、全身麻酔をした上で歯垢や歯石を除去します。歯根の状態を確認するため、レントゲン検査を行うこともあります。歯周病の進行状況や歯の状態によっては抜歯を行いますが、症状が軽い場合は投薬治療も可能です。
人の歯科治療で手術をすることは珍しいですが、犬の場合はむしろ手術する頻度は多い傾向にあります。ペット&ファミリー損保の調査(※)によると、もっとも手術の多い犬の病気・ケガとして歯周病が挙げられました。
治療費は日帰り治療や投薬治療の場合は数万円、手術をともなう場合は20万円以上かかるケースもあります。
※ペット&ファミリー損保の2023年4月~2024年3月の保険金請求データより算出
ミニチュア・シュナウザー (8歳・女の子)
【治療期間】
通院1日、手術1回
【治療総額】
治療費 | 25万3,660円 |
【保険加入時の自己負担額】
お支払い保険金 | 17万4,062円 |
自己負担額 | 7万9,598円 |
椅子からの飛び降り、フローリングでの転倒などで、犬は骨折することがあります。特に華奢な体型の犬や小型犬は骨折になる確率が高いです。
骨折した場合、レントゲン検査を行った上で折れた骨を固定する処置を行います。ケガの重症度によっては、手術や長期の入院が必要です。
骨折で手術が必要になるケースは多くあり、治療費は高額になりやすいです。動物病院などによっても異なりますが、手術・入院・検査費用を合わせて50万円以上かかった事例もあります。
ゴールデン・レトリーバー(0歳・女の子)
【治療期間】
通院1日、入院2日、手術1回
【治療総額】
治療費 | 21万6,304円 |
【保険加入時の自己負担額】
お支払い保険金 | 14万0,913円 |
自己負担額 | 7万5,391円 |
猫も犬と同じような原因で異物を誤飲してしまうことがあります。手術・入院が多い傾向も犬と変わりません。
アメリカンショートヘア (0歳・女の子)
【治療期間】
入院2日、手術1回
【治療総額】
治療費 | 11万0,484円 |
【保険加入時の自己負担額】
お支払い保険金 | 7万0,339円 |
自己負担額 | 4万0,145円 |
尿道閉塞は、尿の通り道である尿道に異常が起こり、尿が出なくなる病気です。暑い時期よりも、水分補給の回数が減る冬に発症するケースが多いといわれています。
尿道閉塞になった場合、カテーテルを挿入することで尿道の通りを改善します。尿道に結石などがある場合は除去する手術が必要です。手術後は腎臓や膀胱が回復するまで数日から10日程度入院することもあります。
治療に手術・入院が必要な場合が多いため、治療費は高額になる傾向です。
マンチカン (6歳・男の子)
【治療期間】
入院4日、手術1回
【治療総額】
治療費 | 32万6,040円 |
【保険加入時の自己負担額】
お支払い保険金 | 21万4,228円 |
自己負担額 | 11万1,812円 |
腎臓病は、猫がかかる病気・ケガの中でも特に発症確率が高いといわれている病気です。初期症状は軽度ですが、病気が進行すると貧血や痙攣を起こし、命を落とすこともあります。
完治が難しい病気のため、慢性腎臓病の場合は通院しながら病気の進行を防ぐための治療が行われます。ただし、急性腎不全を発症した場合は、入院・手術が必要になることがあります。
ミックス(7歳・女の子)
【治療期間】
入院8日
【治療総額】
治療費 | 20万6,090円 |
【保険加入時の自己負担額】
お支払い保険金 | 11万6,263円 |
自己負担額 | 8万9,827円 |
ペットの健康を維持し、手術や入院、通院の機会をできるだけ減らしつつ、大きな病気に備えるための飼い主さんの準備について解説します。
飼い主さんは愛犬・愛猫の健康管理を徹底しましょう。入院・手術をともなう大きな病気やケガは、日頃の心がけで予防できるものもあります。
犬・猫に関わらず発症しやすい異物誤飲、歯周病の予防には次のような方法が有効です。
異物誤飲を防ぐには、誤飲につながるものを放置せず、犬や猫の手が届かないところへ整理しましょう。ティッシュなどのゴミはゴミ箱に捨てるだけではなく、ゴミ箱をあさらせないよう蓋をするなどして目隠しすることが必要です。
おもちゃは古くなって部品が欠けると飲み込みやすいため、毎回破損や劣化がないか確認してから使用するようにしましょう。特に誤飲すると危険なものは以下の通りです。
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歯周病を防ぐには歯磨きを習慣づけることが重要です。犬や猫は3~5日程度で歯垢がたまるため、毎日の歯磨きが推奨されますが、難しい場合は3日に1回を目安に行うとよいでしょう。
習慣化するにはできるだけ早いうちから歯磨きをスタートさせるのがコツです。子犬・子猫のうちから慣れさせておけば、徐々に歯磨きが楽になります。
ペット用の歯ブラシを嫌がる場合は、歯磨きシートや歯磨きガム、歯磨き効果が期待できるおもちゃを使うことから始めてみましょう。
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犬や猫を自宅へお迎えしたら、かかりつけの動物病院を決めましょう。かかりつけの病院を選ぶ際は、治療方針や治療費用などを明確に説明してもらえるかを確認すると安心です。
同じ病気でも動物病院によって治療方法や治療費は異なるため、飼い主さんが納得できる治療が受けられる病院を選んでください。
かかりつけの病院では7歳未満は年1回、7歳以上は半年に1回健康診断を受けましょう。健康診断は、病気の早期発見に有効です。たとえば犬ならがん、猫なら腎臓病などを早期発見できる可能性があります。病院によっては歯周病健診などを行うこともあるようです。
病気は早期に発見できれば治療期間も治療費も最小限にすることができます。できる範囲で健診の習慣をつけましょう。
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予防接種は感染症から犬や猫を守るために行うものです。犬や猫の感染症の中には、重大な病気を併発しやすいものもあり、結果的に多額の治療費がかかる場合があります。
たとえば、猫の感染症の一つ・猫白血病ウイルス感染症からリンパ腫を併発した場合、高額な抗がん剤治療が必要になるかもしれません。
予防接種を行わずに感染症にかかった場合、ペット保険の補償対象とならないのが一般的です。飼い主さんは感染症のリスクをふまえ、動物病院と相談しながら必要なワクチンを定期的に接種するようにしましょう。
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普段の通院費は数千円程度と高くない場合でも、手術や入院が必要な病気やケガになると数万円から数十万円といった治療費が必要になります。健康なうちから、高額治療も補償対象になるペット保険の加入を検討しておきましょう。
ペットの保険料は、犬の場合ペットの年齢と体重、もしくは年齢と犬種によって決まるのが一般的です。猫の場合は年齢のみで決まるのが一般的です。
ペットの年齢で保険料も変わるため、加入時の保険料だけで比較せず、ペットの平均寿命を踏まえた上で、数年単位での保険料の違いにも注目しましょう。
【1カ月あたりのおおよその保険料*1,2】
*1 慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損保「げんきナンバーわんスリム プラン50」
*2 犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
ペット保険にはたくさんの種類があり、保険商品によって補償内容は大きく異なります。「どれも同じようだから、保険料が安いものにしよう」と判断せず、補償内容をよく理解した上で選ぶようにしましょう。
親身に対応してもらえるかなどもチェックしておくと安心です。
高額治療費の支払いに強いペット保険を選ぶならペット&ファミリー損保の『げんきナンバーわんスリム』がおすすめです。
『げんきナンバーわんスリム』の特徴は以下のとおりです。
1日に複数の検査を行うような通院、手術や入院の内容によっては、治療費が高額になるケースも少なくありません。
『げんきナンバーわんスリム』には、1日あたりの限度額がないため、通院でも最大で70万円の保険金を受け取ることができます。
年間の利用回数にも上限がないので、慢性疾患で20回を超える通院が発生しても年間の限度額内であれば何度でも保険金の請求が可能です。
ペット保険は人の保険と同様、年齢が高くなるほど保険料が高くなるのが一般的です。『げんきナンバーわんスリム』はペットの長寿化を見据えて10歳以上の保険料は一定です。
通院、入院、手術はもちろん、時間外診療費にも対応。突然の休日や夜間の診療でも安心です。
さらに、ペット保険で補償対象外となりがちな、歯科疾患※4、膝蓋骨脱臼(パテラ)、椎間板ヘルニア、先天性・遺伝性疾患、猫エイズ(猫免疫不全ウィルス(FIV)も補償対象。
先天性や遺伝性の病気が心配な、0~3歳の若齢の犬猫も安心して加入いただけます。
※1 補償期間中に受けた病気・ケガの治療に対し、保険金の年間限度額はプラン70の場合は70万円まで、プラン50の場合は50万円まで。また、1日あたり5,000円の免責金額(自己負担額)があります。
※2 保険金のお支払い対象とならない治療費がありますので、詳しくは、「補償内容ページ」「重要事項説明書」等をご覧ください。
※3 今後の商品改定等により、保険料が変更となる場合があります。
※4 乳歯遺残(不正咬合を含みます)、歯列矯正などケガ・病気にあたらないもの、治療に該当しないものは保険金のお支払い対象外となります。
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ペットの生涯医療費は今後さらに上昇すると考えられます。ペットとの健やかな生活を長く続けていくために、飼い主さんは将来を見据えたマネープランと細やかな健康管理に取り組みましょう。
参考
公益社団法⼈ ⽇本獣医師会 小動物獣医療の現状と今後の対応
一般社団法人 ペットフード協会 令和5年 全国犬猫飼育実態調査