日本犬で一番飼育頭数の多い柴犬。柴犬には複数の毛色があり、多頭飼いしている飼い主さんも多く見受けられます。しかし、その可愛らしさとは裏腹に、飼育の難しさや特徴的な病気があることを忘れてはいけません。柴犬の種類や、かかりやすい病気、多頭飼いを検討する際に、気をつけたい点を知っておきましょう。
もくじ
日本の柴犬の約8割がこの毛色。山で狩猟をする際に、獲物に気づかれにくいため猟師がこの色を好んだといわれています。
1本の毛が、黒、赤、白の3色からなっています。目の上の白っぽいタンマーキングが特徴です。
柴犬の中でも珍しい毛色です。赤色の割合が多い赤胡麻柴と黒色の割合が多い黒胡麻柴と呼びます。
近年ペットとして人気がある色。白い毛色は本来の色ではありません。
地域固有の柴犬のことを、地柴といいます。
ほとんどの柴犬が、信州柴犬の子孫です。
アナグマ猟で活躍した印旛犬がベースとなっています。小さめの頭部とスリムで引き締まった体が特徴です。
絶滅の恐れがあるといわれる希少な柴犬。赤茶色に近く、独特な毛色をもっています。
豆柴は、体の小さな柴犬を掛け合わせてできた体の小さな柴犬であり、豆柴という正式な犬種は存在しません。
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柴犬の性格として、「忠誠心が強く、飼い主さんにはよく懐く」「警戒心が強い」「他人に興味を示さず、触れられることを嫌がる」といったイメージをもっている人も多いかと思います。
実際、犬の飼い主さんに対して行ったアンケートによると、国内での飼育頭数が多い 14犬種の中で、柴犬は家族に対する攻撃と他犬に対する攻撃で上位を占め、刺激反応性は低く、獲物追跡傾向が高いという結果でした。
刺激反応性:家庭内での突然の動きや音に対する身体反応のことをいう
獲物追跡傾向:獲物を追いかける傾向(習性)がある
また、国内の獣医師に対してのアンケート調査では、攻撃性が全般的に高く、活発さ・訓練能は中程度という報告があります。
多頭飼育をする上では、柴犬の攻撃性は問題になる可能性があるため、しっかりとしつけやトレーニングを行う必要があります。
参照元:久世(荒田) 明香 : 柴犬に多くみられる問題行動. 動物臨床医学 28(3)88-92(2019)(閲覧日2023/6/1)
柴犬の毛は、主に皮膚を保護するためのオーバーコートと、保温や保湿の役割を持つアンダーコートの2つをもつダブルコート。
年2回の換毛期があるのが基本で、日本犬以外の犬種と比べると大量に毛が抜けることが有名です。換毛期は家中が毛だらけになることは避けて通れないでしょう。
また、室内飼育だとはっきりとした換毛期がなく、ずっと毛が抜け続ける子もいます。
当然ですが多頭飼育になれば、抜け毛の量も単純に倍になり、室内の清掃、頻繁なブラッシングやシャンプーなど、抜け毛への対応がより必須になるでしょう。
食物アレルギーとは、特定の食材(原料)に対して、体が過剰に反応し、嘔吐や下痢などの消化器症状や、皮膚のかゆみなどを引き起こす病気です。
そばアレルギーの人がそばを避けるように、犬も原因となる食材を避けなければなりません。
多頭飼育では、その1頭の食事を食物アレルギーが回避できるフードの変更するのはもちろんのこと、盗み食いやほかの犬の口回りを舐めて食物アレルギーの症状を発症しないよう、厳格な食事管理が必要になってきます。
ハウスダストや花粉などの環境因子に対して、体が過剰に反応し起こる皮膚炎のことをいいます。症状を抑えるために、投薬や頻回のシャンプーが必要になることもあります。
ダブルコートで毛が密な柴犬のシャンプーは、乾きにくく時間がかかります。多頭飼育ともなると、その労力は相当なものでしょう。
認知症を発症すると呼んでも名前に反応しない、昼夜逆転する、ずっと鳴き続けたり歩き続けたりするなどの症状が出ることがあります。
柴犬は認知症になりやすい傾向があるため、柴犬の多頭飼育では、高齢になると1頭だけでなく複数頭が発症する可能性も視野に入れておくべきでしょう。
平衡感覚を司る前庭が異常を起こし、頭部が斜めに傾いたり、眼球が左右に小刻みに動いたりするなどの症状を引き起こす病気で、原因が特定できないものを「特発性」といいます。
自然と治まることもあるため経過を見ることもありますが、介助や投薬が必要になります。
犬同士の相性がよければ、一緒に遊んでストレスを発散したり、コミュニケーションをとったりすることで飼い主さんの負担が軽減される可能性もあります。それは、多頭飼いのメリットでもあるかもしれません。
しかし、柴犬はその性格から多頭飼いが難しい犬種のため、多頭飼いをする前に次のことを知っておきましょう。
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柴犬に限らず、犬を家族に迎えるということはお金のかかること。多頭飼いになれば、当然ながら飼育費用は増えます。特に、食事や予防のための費用はいわば固定費として捉えるべきでしょう。
柴犬は小型犬に比べて力が強く、多頭飼いの環境で喧嘩をしてケガをしてしまう可能性もあります。
また、柴犬は換毛期の抜け毛量が特に多く、シャンプーやブラッシングの手間はもちろん、それらの用品をそろえるのにも費用がかかるでしょう。
噛み癖、吠え癖、トイレトラブルなどが、多頭飼いでは連鎖して起こる可能性があります。1頭の行動がほかの犬にも影響することがあるため、しつけの内容は個々で分けずに一貫したものにすべきでしょう。
1頭のしつけがうまくいけば、それを真似てほかの子のしつけがうまくいくケースもあります。根気強くしつけを続けてあげてください。
遺伝性疾患はその名の通り、遺伝で生じる病気です。同じ血統の場合、病気を起こすような遺伝子を引き継いでいる可能性があります。
多頭飼いで血統が同じであれば、犬が同じような病気にかかるリスクも考えなくてはいけません。
同じ血統の犬を多頭飼いで迎えたい場合は、あらかじめブリーダーに遺伝リスクがないか確認しておくことも重要です。
予防医療は多頭飼いにおいて非常に重要です。たとえばノミ、マダニなどの外部寄生虫は、予防していなければ家庭内で一気に広がってしまいます。
予防を怠ると、かゆみなどの症状が出て愛犬が辛い思いをするだけでなく、駆虫のために動物病院を受診しなければなりません(特にマダニの駆除は危険がともないます。感染を確認したら、必ず動物病院を受診してください)。
受診が必要になればその分費用もかさむため、予防医療費を削ることは避け、固定費として受け入れる心の準備が必要です。
「同じくらいの年齢の犬を迎え入れれば、兄弟のように仲良く過ごしてくれるのでは」と考える飼い主さんも多いのではないでしょうか。
確かに、同世代の犬を迎え入れるのは体力的にも均衡し、よい遊び相手や仲間になってくれることもあります。
しかし、同じくらいの年齢ということは、お別れするタイミングも同じくらいになってしまうこともありますので、あらかじめ心の準備をしておくようにしましょう。
柴犬の運動量は非常に多く、散歩が好きな子も多いため体力を発散できるような環境作りが必要になります。飼育頭数が多ければ多いだけ、空間が必要になることを理解しておきましょう。
ほかの犬種と同様ですが、柴犬もかじるのが大好きです。部屋の中のものをかじられないよう対策をしておかなければ、思わぬトラブルが起こることもあります。
同じ柴犬だからといって必ず仲良くなるかというと、そうとも限りません。仲良くなれない場合は、寝床やトイレなどを別々にする必要があります。
迎え入れる際はあらかじめ相性がよいか、ほかの犬に対する攻撃性がないかを確認しましょう。
命を迎え入れる場合は、万が一を想定しておくことも大切。慎重に考えて、家族の一員として迎え入れてくださいね。
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