家に子猫を迎えたばかりの時期は、飼い主さんの心配事は多いものです。特に、下痢や軟便といったお腹の症状が出た場合、動物病院を受診すべきか迷う人も見受けられます。子猫の下痢で受診する際のポイント、便の持参方法について解説します。いざというときのために、参考にしてください。
もくじ
猫は環境の変化に敏感な生き物です。飼い主さんにとっては「こんなこと!?」と思うようなことが、猫にとってはかなり重要であることも多く、それが下痢の原因になっていることもあります。
【猫の下痢・軟便の主な原因】
子猫は成猫より下痢をしやすく、体調が急変しやすいです。
生活環境を整えることはもちろん重要ですが、「環境変化のせいだから」などと飼い主さんが自己判断せず、子猫自身や下痢の様子を獣医師に確認してもらうようにしましょう。
「便」は文字通り、猫の体からのお便りです。子猫の下痢や軟便で動物病院を受診する際は、この便が重要な手掛かりになります。忘れずに持参しましょう。
また、トイレにどのような状態で排泄されていたかを撮影しておくと、柔らかさや出血の有無などもわかりやすいです。
飼い主さんは普段から愛猫の便をよく観察し、少しでも様子が違うようであれば保管・撮影することをおすすめします。
愛猫のためにも、いつもと様子の違う便を見逃したりうっかり捨ててしまったりすることを防ぎましょう。
検査に使用する便の量は、人の親指2本分ほどあると安心です。便が吸収され、検査時に必要な量の便が採れなくなることを防ぐため、ペットシーツやトイレットペーパー、猫砂が付着している場合はできる限り除去しましょう。
便を採取・保管する際は、プラスチック製のスプーンですくってラップをしたり、ビニール袋や容器を利用したり、便がそのままの状態で保管できるよう工夫しましょう。
ビニール袋を二重にしたり、チャック付きポリ袋に入れたり、洗浄して乾かした容器に入れてラップで蓋をして持参される飼い主さんもいらっしゃいます。
検査に使用するのはなるべく新鮮な便が理想ですが、受診するタイミングで便が出ないこともよくあります。また、一番新しい便が粘膜ばかりで検査に使えないこともあります。
前日の便も念のため保管しておくとよいでしょう。
糞便検査にはさまざまな方法があり、院内検査か外部の検査機関に依頼するのかなどによって分かることは異なります。
主に院内検査では、次の点が確認できます。
加えて簡易キットを使用してパルボウイルスが原因の下痢ではないかチェックすることもあります。
院内検査では原因がわからないような場合やPCR検査などを行う際は、外部の検査機関に便を提出することもあります。
子猫が下痢をしているときに心配なのが、パルボウイルス感染症(猫汎白血球減少症、猫ウイルス性腸炎)です。診断材料にもなるのでワクチンの接種状況を動物病院に共有しましょう。
パルボウイルスは素早い治療が必要になる一方で、動物病院を利用するほかの動物への感染防止対策も必要になります。
特にワクチン接種歴のない子猫が下痢で病院を受診する際は、事前に電話連絡をして受診のタイミングを相談しましょう。
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動物病院の診察室では緊張して伝え忘れてしまったり、自分以外の家族でないと分からなかったりすることも出てくるでしょう。
獣医師に伝えたいことや聞きたいことなどは、受診前に一旦落ち着いてメモをしておくことをおすすめします。
【受診前後でメモしておきたいこと】
愛猫の体重を毎日測定しておくのも健康状態把握に役立ちます。順調に増えるはずの子猫の体重が増えていなかったり、場合によっては減っていたりといった体調変化に気づきやすいです。
食べすぎによって下痢になる子もいるので、どんな食事を何g食べたのかを記録しておくことも、とても大切です。
日々の記録が、下痢の原因の診断を助け、迅速で適切な治療に繋がります。
子猫は下痢をしやすいため、家に迎えたばかりの1週間は一定のフードにして環境に慣れてもらうのはよいことです。この間に下痢をした場合、原因がフードなのか環境変化なのか判断しやすくなるでしょう。
ただし、猫は幼少期に食べ慣れたものを好む傾向があります。治療などの理由がない限りフードを1種類に固定する必要はなく、環境に慣れたら子猫のうちからさまざまなメーカーのフードを与えておくことをおすすめします。
臆病で警戒心の強い猫は、フードが変わることを嫌がるため、成猫になって療法食が必要になったときにまったく食べてくれないケースもあります。
子猫のうちから、ウエットもドライも、どのメーカーのどんなフードも好きな子に育てておくことが大切です。
猫のフードを突然切り替えることは、消化不良の原因になりやすいです。お腹が新しいフードに徐々に慣れるようトッピング程度から始め、少しずつ新しいフードの比率を増やしていく形で1週間ほど時間をかけて丁寧に切り替えましょう。
また、切り替えが終わってからもしばらくは、新しいフード単独で不調が出てこないかよく観察してください。毛艶など1カ月以上経過してから影響がわかるものもあります。
子猫のうちは栄養バランスが偏らないよう、子猫用フードを選びましょう。
食い付きもよく、お腹の調子のよいフードでメーカーの異なるものを3種類くらいは見つけておきましょう。メーカー欠品などの際も落ち着いて対応することができます。
Aを一袋食べ終わったらBを開封し、Bが食べ終わったらC…そしてAへとローテーションしながら与えてあげると、Aを食べ飽きたころにB…と猫に楽しく食事をしてもらう事ができます。
ABCと毎日ローテーションすると、3袋開封することになるので、全体としての消費スピードが遅くなり、劣化が進み風味が落ちます。
子猫のうちに様々なメーカーのフードを食べて、なんでも美味しく食べることができて元気に過ごしていける子に育てていきましょう。