愛猫の体調不良、動物病院を受診する際はどのように伝えますか。「ぐったりしている」「なんとなく元気がない」だけではなく、「なぜそう感じるのか」をしっかり説明できる飼い主さんを目指しましょう。愛猫のために、日頃からの健康管理のポイントもお話しします。
もくじ
愛猫の体調変化にいち早く気づけるのは、日ごろから身近にいる飼い主さんだけです。
「動物病院に行くべきか」と飼い主さんが悩むときは、受診したほうがよいときです。受診して怒られることはまずないため、飼い主さんとしての直感を大切にしましょう。
「具合が悪そう」と感じた理由は、しっかり獣医師に伝えましょう。
「いつもは部屋中を歩き回るのに、今日は部屋の隅っこでじっとしている」「いつもは完食するのに、昨日から食事を半分残している」など、普段との違いを話すと獣医師にも伝わりやすいです。
また、「いつもの量を10とすると、今日は6割食べて4割残している」など、程度もわかるとよいでしょう。
受診時は、猫も飼い主さんも緊張するもの。診察台の上に乗った愛猫の姿を見て気が気ではなく、話す余裕をなくす飼い主さんも多いです。
伝え忘れがないよう、「午前中〇回吐いて、午後は無し」など、病状を家でメモしておくこともおすすめです。
診察室内で「朝ご飯を準備しているときに吐いていて…私が着替えているときにもう1回…その後、家族がもう1回見たと話していて…あれ、何回だっけ、すみません」などと思い出しながら話していると、どんどん緊張感が高まり、そのほかのことも思い出しにくくなる可能性があります。
愛猫が少しでも落ち着いて受診できるよう、まずは飼い主さんが落ち着くことが大切です。
愛猫の体調不良で重要になるのは、「元気なときと何が違うのか」です。小さなサインも見逃さないために、愛猫の「いつも」をしっかりチェックしておきましょう。
排尿の回数を正の字で記載したり、排便の有無を追加したり。少ない項目で手軽にできるものからでもよいので、記録があると理想的です。
より具体的に食欲の変化を伝えることができるよう、食事は都度計量しておくことをおすすめします。1回あたり何gの食事を1日何回食べているのか、愛猫のことをしっかり把握しましょう。
毎日の体重測定もあわせて行うと、食事量が適切か検討できます。同じ量を食べているのに体重が減ってくるといったことにも気づけるでしょう。
水を新しく用意するときと片付けるときに計量し、その差を愛猫が飲んだ水の量として把握しておきましょう。飲水量が増えているため腎機能の低下が推察できるなど、体調不良の原因究明に役立ちます。
普段使用している猫砂に水を垂らし、50㏄、100㏄でどのくらいの大きさの塊になるかの目安も知っておきましょう。掃除の際にこの大きさなら〇㏄くらいかなと推測でき、尿量の変化に気づきやすくなります。
日々、愛猫と触れ合いながら、表情や動き方、姿勢、お気に入りの場所に変化がないかを観察しましょう。
愛猫の体をしっかり触って、熱感がないか、歯肉や肉球などピンク色の所をみて血色の様子も確認します。耳の中はどうか、目の様子はどうか、鼻水は出ていないか、皮膚に気になるところはないかなど、毎日確認しておくことが大切です。
次の様子が見られたら、迷わず受診しましょう。
緊急性の高い体調不良かを飼い主さんが見極めるのは難しいものです。上記に当てはまらない場合でも、不安を感じたら動物病院に相談してください。
「予防接種をちゃんとしているから」というだけで、定期受診を完了しているつもりになっていませんか。
元気なときの検査記録との比較が、体調不良の原因の診断に繋がることがあります。健康診断にもさまざまな項目があるため、愛猫に実施した健診内容もしっかり把握しておきましょう。
目視確認や、触ったり聴診器を当てたりすることで、猫の全身状態を確認します。
便の様子を目視や顕微鏡で確認し、消化の様子や寄生虫などの感染がないかをチェックします。
尿の状態を調べることで、腎機能の低下や糖尿病の可能性、尿中に結石などがないかを確認します。
血球検査と生化学検査、FIV/FeLV検査があります。それぞれ異なる検査のため、状況に応じて実施を相談しましょう。
胸部撮影で主に心臓や肺を、腹部撮影でそのほかの臓器の形や大きさに異常がないかを確認します。
骨の異常も確認することが出来ます。
内臓の大きさや形、動きを確認します。レントゲン撮影と超音波検査を上手に組み合わせることで、体の中の状態をより把握することができます。
動物病院の受診は、猫自身のストレスはもちろんですが、連れていく飼い主さんもとっても大変なこと。「もう少し様子を見よう」と受診控えする飼い主さんも多いです。
しかし、万が一ということもあるため、まずは動物病院に電話で相談する・受診するようにしましょう。気になったらすぐに相談できる、かかりつけの先生を見つけておくと安心です。
いつでも相談しやすいように、まとめて購入しがちなノミマダニ予防薬を月に1回買いに行ってスタッフさんと話す機会をつくったり、健康観察の記録を定期的に獣医さんに確認してもらったりするなど、飼い主さんだけでも動物病院に行くようにしておくとコミュニケーションを取りやすくなります。
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動物病院には、健康なうちから愛猫の状態を知っておいてもらうことが大切です。小さな異変で問題がなさそうに思えることも、日ごろの状態と結びついて「もしかしたらあの病気かも?!」とつながることがあります。
体調不良の際、飼い主さんが慌てず愛猫に付き添えるよう、日々準備しておきましょう。