ペット保険への加入を検討する際に、ほかの飼い主さんは加入しているのかを参考にしたいと考える人も多いでしょう。ペット保険の加入率は年々高くなっており、市場規模も拡大傾向にあります。
しかし、大切なことは、「周りが加入しているかどうか」ではなく、「ペットに万が一のことがあったときの備えがあるか」について考えることです。
今回はペット保険の加入率を紹介するとともに、加入率が増えている背景や加入する理由などを解説します。
もくじ
ペット保険の加入率は年々高くなっているといわれています。ただし、具体的にどれくらいの割合のペットが加入しているのかが気になる方も多いのではないでしょうか。
ここでは国内外のペット保険の加入率を紹介します。
2022年12月時点で、国内の加入率は9.44%(※)です。つまり、ペット保険に加入している飼い主さんは10人に1人程度といえるでしょう。
ただし、加入している人が少ないからといって、ペット保険が必要ないというわけではありません。実際に、当社に寄せられる意見を見ても、「ペット保険に入っていて助かった」「ペット保険に入っていて良かった」と感じている飼い主さんが多くみられます。
大切なことはペット保険の内容を理解した上で、「自分のペットに必要かどうか」をきちんと見極めることです。本記事ではペット保険に加入する理由についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
※日本のペット保険加入率:9.44%
※ 2022年12月時点、ペット&ファミリー損保調べ。主要ペット保険会社 7社(アニコム損保、アイペット損保、ペット&ファミリー損保、楽天損保、SBI プリズム少短、SBIいきいき少短、ペットメディカルサポート)の保有契約数と犬猫の飼育頭数(ペットフード協会「令和 4 年(2022年)全国犬猫飼育実態調査」)より算出
海外におけるペット保険の加入率は30%~40%(※)ほどといわれており、比較的高い水準となっています。特にスウェーデンのようにペットの飼育に対して責任意識が強い国においては、加入率が50%を超えているともいわれています。
日本と海外での加入率に大きな差がある最大の理由としては、ペット保険の歴史が考えられるでしょう。日本のペット保険は1995年に誕生したといわれていますが、海外では日本よりもはるか昔からペット保険が販売されています。例えば、1890年には世界で初めてペット保険が作られ、1924年にはスウェーデンで世界初となる犬の保険が販売されたといわれています。
このように、日本のペット保険も時間の経過とともに、今後契約者が増えていく可能性は高いと考えられ、国内の加入率も上昇していく可能性があるでしょう。
※出典:株式会社富士経済|2021年ペット関連市場マーケティング総覧
続いて、ペット保険への加入率が増えている背景を紹介します。具体的には、次の3つの背景が考えられるでしょう。
ここからは、それぞれの背景について詳しく解説します。
国内では近年、ペット保険の認知度が向上しています。その要因の一つが、大手保険会社をはじめとする各社のペット保険への参入です。その結果、さまざまな場面でペット保険の商品を目にする機会が増え、認知度の向上につながったと推測できます。ペット保険市場は2021年度には初めて1,000億円を超え、毎年2ケタ成長をしています。
ペット保険に加入する人が増えている背景には、ペットを飼う人の割合が高くなっているという要因もあります。「新規飼育頭数」を2013年と2022年で比較してみましょう。
2013年 | 2022年 | |
犬 | 344千頭 | 426千頭 |
猫 | 343千頭 | 432千頭 |
※一般社団法人ペットフード協会|令和4年(2022年)全国犬猫飼育実態調査
このように10年前と比較してみると、ペットを新しく飼う人の割合は増加しています。ペットが亡くなった際にはお葬式を挙げるなど、ペットの家族化も進んでおり、「万が一の際に備えたい」と考える方も増えているといえるでしょう。
ペットの平均寿命が伸びていることも、ペット保険に加入する人の増加につながっているといえるでしょう。
犬と猫の平均寿命を2010年と2022年で比較してみましょう。
2010年 | 2022年 | |
犬 | 13.87歳 | 14.76歳 |
猫 | 14.36歳 | 15.62歳 |
※一般社団法人ペットフード協会|令和4年(2022年)全国犬猫飼育実態調査
このように、犬も猫も2010年と比べると約1歳も寿命が伸びていることがわかります。年を重ねるにつれて病気のリスクが高くなるのは、ペットも人も同じです。したがって、「高齢になったときの入院や手術に備えたい」と考える飼い主さんが増えていることが推測できます。
ペット保険に加入する理由としては主に以下の3つが挙げられるでしょう。
以下では、それぞれの理由について解説します。
ペットには公的な健康保険制度がありません。そのため、ペット保険に加入していない場合、治療費は全額自己負担になります。一方、ペット保険で万が一の際に備えておけば、自己負担額を少しでも減らすことが可能です。
実際に、当社に寄せられた加入者アンケートでも、ペット保険に関して次のような意見が寄せられています。
「以前飼っていた犬猫の治療費が高く、苦労した経験があり加入をした」
「友人や知人からペット保険の必要性を聞いて加入した」
ペット保険に入っていない場合、高額な治療費を全額自己負担することになり後悔することがあります。また、ペット保険に加入したいと思ったときには、すでに加入可能な年齢を過ぎており、加入自体ができないこともあるのです。
このような後悔をしないためにも、ペット保険に関心がある場合は、ペットが若くて健康なうちから検討を始めましょう。
ペット保険に加入していない場合、高額な治療費を全額自己負担しなければなりません。また、場合によっては経済的な理由から、本来選択できるはずの最善の治療方法を諦めざるを得なくなる可能性もあります。
しかし、ペット保険に加入していれば自己負担額が少なくなるため、高額になる治療方法も選択肢に入れることができるでしょう。実際にペット保険に加入した飼い主さんからも「愛するペットに最善の治療を選択できるように加入をした」という声が聞かれることは少なくありません。
ペット保険に加入していれば、治療費負担への不安が軽減されるため、ペットに小さな変化が見られた場合でも病院に行きやすくなります。そのため、結果として病気やケガの早期回復・早期発見につながるといえるでしょう。
中には犬種・猫種によってかかりやすい病気を把握し、早期から備えるために加入する飼い主さんもいます。ただし、ペット保険によって補償対象となる傷病が異なる点には注意が必要です。検討しているペット保険が自分のペットのかかりやすい病気・ケガをカバーしているかをしっかり確認しましょう。
ペット保険に加入しない理由としては主に以下の3つが挙げられるでしょう。
ここからはそれぞれの理由を解説します。
飼い主さんの中には「十分な貯蓄があるからペット保険は必要ない」と考える人もいます。必要な金額をあらかじめ積み立てておけば、ペット保険に加入する必要はないともいえるでしょう。
以下は、自分で治療費を積み立てる場合とペット保険に加入する場合のメリットとデメリットを紹介します。
積み立て | ペット保険 | |
メリット | ・治療不要の場合には貯蓄として残る ・自分のペースでお金を貯められる | ・補償対象の治療費の自己負担額を3~5割程度に減らすことができる。 ・保険金の支払い対象期間内の病気やケガであれば、積み立てが不十分でも自己負担額を減らすことができる |
デメリット | ・積み立てた金額より治療費が高くなる可能性がある ・積み立て始めた直後に病気やケガに見舞われた場合、治療費が不足することがある ・ペットの治療費以外の理由で積み立てたお金を使ってしまう可能性がある | ・ペットが健康な場合、保険料が無駄になったと感じる可能性がある ・ペットの健康状態や年齢によっては加入できない |
このように、それぞれにメリット・デメリットがある上、飼い主さんによっても考え方はそれぞれ異なるため、どちらが良いかということは一概には言えません。自分にとってメリットが多いと考えられる方法を選びましょう。
ペット保険はいわゆる掛け捨型の保険であるため、例えば、ペットが全く病気やケガをしなかった場合、それまで支払った保険料が「無駄になってしまう」「もったいない」と感じる人もいるでしょう。
このような出費を無駄だと考える飼い主さんであれば、ペット保険に入らず貯金を積み立てるという選択肢を取ることも十分に考えられます。
ただし、ペットの治療費は健康状態や地域によっても異なるため、「これだけ貯蓄があれば大丈夫」といった明確な基準を設定することはできません。保険料については、損得で考えるのではなく、飼い主さんにとって万が一の備えとして有効になり得るかどうかで判断することをおすすめします。
「ペット保険に入りたくても入れない」という方も少なくありません。ペット保険はペットが健康体であることを前提として作られているため、ペットの健康状態によっては加入できない場合もあるのです。
例えば、次に当てはまる場合には注意が必要です。
このような場合、ペット保険に加入できたとしても、特定の病気やケガが補償の対象外(免責)になってしまう可能性があります。
ペット保険に加入するのであれば、ペットが若く健康なうちから検討することをおすすめします。ここでは早めにペット保険を検討することの重要性を3つ紹介します。
以下では、それぞれの重要性について詳しく解説します。
年齢が上がると加入できない保険が増えてしまいます。多くのペット保険には、加入年齢に上限が定められているからです。例えば、当社の『げんきナンバーわんスリム』の場合、7歳11ヵ月までが加入年齢の上限になります。
一般的なペット保険も、ペットの年齢が8歳以降になると新規加入ができないものが多くなります。入れる保険が少なくなると補償内容ではなく加入可能な年齢で選ぶことになるため、かかりやすい病気やケガが補償されないペット保険に入ってしまう可能性もあるでしょう。
*2023年4月時点の内容です。今後の商品改定等により、変更となる場合があります。最新の内容はホームページよりご確認ください。
ペット保険は傷病によっては、完治していても入れない可能性があります。その理由は、再発の恐れがあるためです。
例えば、ガン(悪性腫瘍)の場合、「再発率が50%以上」といわれることもあります。ガンの病歴があると、ペット保険の新規加入は非常に難しいといえるでしょう。
このように、現在は元気でも、病気やケガの治療歴によっては加入できない可能性があります。病気やケガはいつ起こるかは予測できませんが、高齢になるほどそのリスクは高くなります。健康なうちから加入を考えておきましょう。
ペットは病気やケガで痛みを感じていたとしても、飼い主さんに言葉で伝えることができません。そのため、最初は小さなケガや軽い病気だったものが、気づいたときには悪化していることも少なくありません。
ペット保険に加入していれば、突発的なケガや病気に見舞われ、まとまった支払いが必要になった場合でも経済面に関して比較的落ち着いた対処ができるでしょう。
ペット保険を選ぶ際には、次の3つのポイントに注目しながら比較・検討することをおすすめします。
ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
ペット保険にはさまざまなものがあり、保険によって補償内容が異なります。そのため、検討しているペット保険が、自分のペットのかかりやすい病気やケガの補償対象となっているかを必ず確認しておきましょう。
犬に多い病気・ケガ | 猫に多い病気・ケガ |
---|---|
・歯周病などの歯科疾患* ・椎間板ヘルニア ・異物誤飲 ・骨折 ・僧帽弁閉鎖不全症 ・ガン ≪先天性・遺伝性の可能性がある病気≫ ・膝蓋骨脱臼(パテラ) ・特発性てんかん ・若齢性白内障 ・股関節形成不全 | ・歯周病などの歯科疾患* ・異物誤飲 ・腎不全 ・尿路結石症 ・心筋症 ・ガン ≪先天性・遺伝性の可能性がある病気≫ ・多発性囊胞腎(のうほんじん)症 ・肥大型心筋症 ・骨軟骨異形成症 ・進行性網膜萎縮症 |
例えば、ペット保険によっては小型犬が発症しやすい膝蓋骨脱臼(パテラ)を補償対象外としているものもあります。
また、通院補償の有無も確認することが大切です。通院が補償されない保険の場合、保険料は比較的安い傾向にありますが、日常の通院に関する治療費は全額自己負担になってしまいます。
保険金の支払い金額の上限についても確認しましょう。
入院・通院・手術を合わせて「年間最大補償額 200万円」など一見して補償が手厚いように見える保険でも、手術は1回「〇万円まで」、通院は1日「〇千円まで」など、入院、通院、手術それぞれに1日あたりの支払い限度額が設けられている場合、1日あたりの上限を超えた分はすべて自己負担になります。
<犬猫の1回あたりの平均治療費>
手術費 | (犬)20万0,515円 (猫)19万1,571円 |
入院費 | (犬)10万0,495円 (猫)10万1,397円 |
通院費 | (犬)1万3,739円 (猫)1万2,402円 |
犬猫の1回あたりの平均手術費は20万円前後、通院費は1万円以上である上に、平均よりも高い治療費が発生することも少なくありません。
万が一の高額治療に備えるなら、「1日あたりの保険金支払い額の上限がない保険」や「上限金額が十分にある保険」かの確認が大切です。
犬や猫に多いアレルギー疾患、下痢や嘔吐などの不調は、症状や体質によっては定期的な通院が必要になることがあります。一概に何回の通院があれば大丈夫と言えるものではないため、年間の保険金の支払い回数に制限がない、もしくは、十分にある保険を選んでおくと安心です。
骨折や膝蓋骨脱臼(パテラ)などの手術では、複数回の手術が必要になることもあります。1度異物誤飲をした子が、数か月後にもう一度誤飲をしたという事例もあるため、入院と手術の保険金の支払い回数も確認するようにしましょう。
ペット保険は1年ごとに継続更新していくのが一般的ですが、犬の平均寿命(※)は14.62歳、猫の平均寿命は15.79歳といわれています。
次の点もしっかりと確認して、安心して長く加入できる保険を選びましょう。
※ 令和5年全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人ペットフード協会)
ここからは、ペット保険の加入に関するよくある質問を紹介します。ペット保険への加入を検討されている方はぜひご確認ください。
ペット保険は、以下のような方におすすめです。
ペット保険への加入時期が遅れてしまい、加入前にケガや病気をした場合、傷病によってはペット保険に加入できなくなり後悔するケースもあります。経済面での負担を軽減し、ペットに十分な治療を受けさせたいと考えるのであれば、ペットが若く健康なうちの加入がおすすめです。
ペットの診療費は動物病院が自由に料金を設定できる自由診療のため、治療費は全額自己負担です。場合によっては治療費が高額になる可能性もあるため、自己負担額を減らしたいと考えるのであればペット保険に加入することをおすすめします。
犬猫の通院・入院・手術費を例に紹介すると、医療費は以下の通りです。
<1回あたりの平均通院費>
小型犬 | 1万3,180円 |
中型犬 | 1万4,856円 |
大型犬 | 1万6,826円 |
猫 | 1万2,402円 |
<1回あたりの平均入院費>
小型犬 | 9万7,900円 |
中型犬 | 10万4,635円 |
大型犬 | 12万8,527円 |
猫 | 10万1,397円 |
<1回あたりの平均手術費>
小型犬 | 19万2,517円 |
中型犬 | 20万7,141円 |
大型犬 | 28万1,285円 |
猫 | 19万1,571円 |
大型犬は体が大きいことから薬などの量も増えるため、医療費が高くなる傾向にあります。また、これらはあくまでも平均の費用であるため、さらに費用がかかる可能性もあります。突発的な病気やケガに備えるためにも、ペット保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。
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日本におけるペット保険への加入率は9.44%であり、決して高いとはいえないものの、年々増加傾向にあります。また、ペットの平均寿命も高くなっているため、突発的な病気やケガのリスクに備えておきたいと考える方も増えています。
このようにペット保険の認知度は着実に高ってきていますが、ペット保険への加入を検討する際に大切なことは、加入率や周囲の声だけで判断するのではなく、「万が一のときに備えておけるかどうか」を考えることです。まずは自分のペットにどのようなリスクがあるか確認した上で、ペット保険への加入の必要性を検討しましょう。