公的な保険がないペットの医療費は高額になりがちです。多額の支払いをした年は「これって医療費控除の対象にならないのだろうか」と考える飼い主さんもいることでしょう。ペットとの暮らしに「お金」の問題は避けて通れません。今回は、ペットの医療費や保険料、それにまつわる税金について解説するとともに、医療費に怯えずに済むペット保険の選び方について紹介します。
もくじ
人の場合、家族全体で医療費の実質負担額(保険金・高額療養費などで補填される金額を控除)が10万円を超えると医療費控除の対象となり、年度末の確定申告で「医療費控除」を申請すると、支払った医療費の一部が所得に応じて還付されます。
ペットも大切な家族ですから医療費控除の対象になってもよさそうなものですが、残念ながらペットは人の医療費控除の対象にはなりません。
人の医療費は、公的医療保険でカバーされる医療行為の場合、消費税法において非課税だと定められています。したがって、病院で診察を受けたり、薬をもらったりしても消費税はかかりません。
しかしペットの治療費には消費税が加算されます。
ペットの医療費は人のような保険制度が適用されないため、治療は全て実費となり高額になることも少なくありません。そこにさらに消費税が加算されるため、飼い主さんはペットの医療費に関して準備しておく必要があります。
人の生命保険料、介護保険料、医療保険料、個人年金保険料(保険期間が5年未満の保険契約は除く)は保険料控除の対象となります。しかし、ペットの保険料は保険料控除の対象外です。
つまり、ペットの保険料は税負担の軽減措置がない分、自己負担の影響が大きくなります。毎月の掛け金は無理のない範囲で考え、できるだけ補償が厚いものを選ぶとよいでしょう。
ペット保険にはたくさんの種類があり、保険商品によって補償内容は大きく異なります。「どれも同じようだから、保険料が安いものにしよう」と判断せず、補償内容をよく理解した上で選ぶようにしましょう。
親身に対応してもらえるかなどもチェックしておくと安心です。
ペットの保険料は、犬の場合ペットの年齢と体重、もしくは年齢と犬種によって決まるのが一般的です。猫の場合は年齢のみで決まるのが一般的です。
ペットの年齢で保険料も変わるため、加入時の保険料だけで比較せず、ペットの平均寿命を踏まえた上で、数年単位での保険料の違いにも注目しましょう。
【1カ月あたりのおおよその保険料*1,2】
*1 慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損保「げんきナンバーわんスリム プラン50」
*2 犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
海外では人の市民税のように、ペットに税金がかかる国があります。
ペット先進国であるドイツ、中国、オランダ、オーストリアなどの多くの自治体で導入されており、税収はペットの糞の清掃やペットの環境向上のために使われます。
日本でも昭和50年までは2686の市区町村によって犬に税金が課されていましたが、徴収コストや登録している犬と登録していない犬に税の公平性が図れないなどの理由から、現在は廃止されました。
日本ではペットにはペット税のような税金は課税されません。しかしその反面、税金で優遇されることもありません。
ペットの医療費に関しても税制面で優遇されることはありませんが、そのことを踏まえ、ペットの医療費に頭を悩ませることがないように備えておくことが大切です。
いざという時に備えて貯金をすることも大切ですが、高額な治療費に対応できるようなペット保険に加入し、大きな安心を手にしたいものです。