猫を飼うか迷っている飼い主さんのために、猫を飼うメリット・デメリットを解説します。メリット・デメリットを比較すれば、猫と暮らすイメージをしやすくなるはず。犬と猫どちらを飼うか悩んでいる方のために、犬を飼うメリット・デメリットも紹介します。新しい家族として猫を迎え入れようと考えているなら、ぜひ読んでみてください。
もくじ
猫を飼う生活には、どんな魅力があるのでしょうか。メリットを挙げてみましょう。
猫を飼う最大のメリットは、新しい家族ができることでしょう。猫に限らずペットすべてにいえることですが、生き物に愛情を注ぎ育成する経験は、人に生きがいや達成感をもたらしてくれます。
人の家族とは違い言葉は通じませんが、スキンシップや遊びを通じて絆を深めることもできます。一人暮らしでも孤独を感じづらくなるでしょう。
幼い子供たちにとっては、命の大切さを学ぶ機会にもなります。
猫の動画や写真を見ているだけで、心が和んだ経験はありませんか。人に対する猫のリラックス効果は科学的に証明されています。
たとえば東京農業大学の永澤巧氏の研究では、猫に触れることで「幸せホルモン」と呼ばれる「オキシトシン」が増えることが明らかにされています。
オキシトシンは人のストレス抑制に関わる物質で、分泌されることで気分の安定につながります。猫を飼うことで、日常生活のイライラを抑え、ストレスを解消できるといったメリットを感じられるかもしれません。
猫を飼うことで、生活習慣や生活パターンを改善できた例もあるようです。
たとえば、「掃除が苦手だった飼い主さんが猫の安全のために整理整頓を習慣化できた」「猫の生活リズムが乱れないよう規則正しい生活を心がけるようになった」などのケースが挙げられます。
猫中心の生活は、飼い主さんの毎日にメリハリをもたらしてくれるでしょう。
猫との暮らしは魅力的な一方で、人によってはデメリットを感じることもあります。
どんなペットを飼うときにもいえることですが、猫を飼うためにはさまざまな費用がかかります。
まず、トイレやベッドなど、猫をお迎えするために必要な備品の購入に2〜3万円かかります。さらに食費などの飼育費用として月々5,000円〜1万円が必要です。
病気やケガをした場合は医療費もかかります。動物病院は自由診療のため、治療費は高額になることもあり、経済的負担は確実に増えるでしょう。
旅行などで愛猫を留守番させるのが心配という飼い主さんは少なくありません。留守中の食事管理やいたずら防止に知恵を使ったり、冷暖房をつけっぱなしにすることで電気代がかさんだり。
ペットホテルに預ける場合も1泊3,000円以上はかかるため、気軽に長期間の外出はできないかもしれません。
猫を飼いながらキレイな部屋をキープするのは意外と大変です。抜け毛があちこちに落ち、猫のトイレのニオイが気になることもあります。
トイレの失敗、キャットフードや毛玉の吐き戻しで部屋を汚されることもあるでしょう。猫を飼うと部屋の快適性は落ちるかもしれません。来客を気軽に呼べなくなる人もいるでしょう。
猫の飼育を検討しつつ、「犬を飼うのもいいな」と思っている人もいるでしょう。猫と犬を比べたら、それぞれどんな飼育メリット・デメリットが考えられるのでしょうか。
・散歩をする必要がない
一定の運動量が必要な犬と異なり、猫は室内でのんびり過ごすことを好みます。雨風や暑さ・寒さを我慢して散歩に出る必要はありません。
仕事や家事で忙しい人や体力に自信がない人でも、猫なら飼いやすいかもしれません。
・家のスペースを問わず飼いやすい
猫はスペースの限られた住宅でも飼いやすい利点があります。
活発な犬は体を動かせる空間がある程度必要ですが、猫は1日のうちのほとんどの時間を寝て過ごすため、狭いお部屋でも十分快適に暮らすことができます。
・爪研ぎで自宅や家具に傷がつきやすい
「爪研ぎをされて家具や壁が傷だらけになってしまった」という飼い主さんの失敗談をよく耳にします。爪研ぎは猫が生きていく上で欠かせない習慣です。
爪のケアやストレス発散のために行う本能的な行動のため、いつ身の回りのもので爪研ぎを始めるかはわかりません。猫を飼うなら、家財道具の多少の傷みには目をつぶる覚悟が必要です。
・しつけをしにくい
飼い主に忠実なイメージのある犬に対し、猫は気の向くままに行動する動物です。いたずらや失敗を飼い主さんに叱られて「悪いことをしてしまった」と認識することはほとんどありません。
そのため、しつけで猫をコントロールしようとするのは難しいでしょう。猫を飼うには、猫の学習能力レベルを理解し、いたずらを繰り返されても受け入れる寛容さが求められます。
・散歩やスキンシップで絆を深められる
犬の散歩を通して、飼い主さんは愛犬の生き生きとした姿を見ることができます。
たとえば、お散歩用のリードを飼い主さんが手にするだけで、しっぽをふって大喜びする子や、散歩中に飼い主さんに向かって笑いかけるような表情を見せる子もいます。
散歩を通じて飼い主さんの運動不足を解消できることも利点です。
・飼い主さんに忠実
犬種や性格によって個体差はありますが、犬はしつけでルールや生活習慣を身につけることができます。特に忠誠心や知能の高い犬種をお迎えすれば、お世話で苦労することは少ないでしょう。
気になる問題行動が起きても、しつけによって改善できる可能性は十分あります。
・吠えやすい
犬種や犬の性格によっては、遠吠えや無駄吠えをすることがあります。猫に比べると声量が大きく迫力があり、耳障りに感じる人は多いでしょう。
遠吠えや無駄吠えは、散歩中に他の犬を見つけた時や、留守番中に起きやすくなります。放置しておけば周囲とのトラブルにつながりかねません。
吠え癖が気になる場合は、飼い主さんが根気強くしつけやトレーニングを行う必要があります。
・運動や遊び時間が不足するとストレスをためやすい
ほとんどの犬種は一定量の運動量を必要とします。体力を持て余してしまうとストレスにつながり、ときには問題行動や体調不良を招く恐れがあります。
犬を飼うなら、散歩やスキンシップの時間を作ることが最低要件です。家を空けることが多い人や、犬とゆっくり向き合う時間をとれるか不安な人は、犬より猫の飼育が向いているかもしれません。
猫と相性のよい飼い主さんはどんな人なのでしょうか。
猫はそっけないかと思えば甘えてきたり、いたずらをしたり、マイペースで気分屋な傾向があります。独立心も強く、飼い主さんとは一定の距離を保ちます。
そのため、犬に比べると行動パターンや気持ちを読みにくいでしょう。
ちょっぴりミステリアスでわがままな猫と付き合えるのは、猫の態度や行動の変化を楽しみ、柔軟で細やかなお世話ができる人ではないでしょうか。
猫の気まぐれな態度やいたずらの繰り返しにストレスを感じてしまう人や、猫をゆっくり見守る余裕がない人は向いていないかもしれません。
「猫を飼ってみたいけれど、実際に飼うのはまだ不安…」というときは、次のようなアイデアを実践してみましょう。
猫を飼う楽しさや魅力を知るには、すでに飼っている人に聞いてみるのが一番です。周囲に猫を飼っている人がいれば、自分が猫を飼うイメージを描けるまで疑問点や不安点を聞いてみましょう。
動物愛護推進員などに相談するのもおすすめです。動物愛護推進員とは、都道府県知事から委嘱され、地域で犬や猫の飼育に関する相談などに対応しているボランディアです。
里親制度を利用したい人へのサポートも行っており、猫を飼うための準備をバックアップしてくれるでしょう。
近年のペットショップでは猫を「お試し飼い」できる有料サービスも登場しています。実際に自宅へ猫をお迎えし、猫を飼う暮らしを一定期間体験することができます。
飼い主になる心の準備ができるだけでなく、実際に生活することでアレルギーの有無や家族との相性も確認できるでしょう。
猫を飼う決意が固まったら、改めて次のポイントをチェックしましょう。
猫を飼うには時間やお金がかかります。どんなに猫が好きでも、時間的・経済的な余裕がなければ、後々飼育が辛くなる可能性があります。
猫を飼ったら生活がどのように変わるのかを具体的にイメージし、無理なく飼育を楽しめるかを見極めましょう。
猫の生涯は15〜20年といわれています。猫を飼うことは、人の子供を成人まで育てあげるのとほぼ変わらない年月を費やします。
長い時間を共に過ごし、猫を育て続ける覚悟はあるのかを確認しましょう。
突然猫を手放さざるを得なくなるケースも想定しておきましょう。特に高齢になってから猫を飼い始める場合、飼い主さんの急な病気などで猫の身寄りがなくなってしまうことがあります。
近くにいる家族や友人に相談するなど、万が一のときも猫が安心して生活できる方法を考えておきましょう。
猫との暮らしは楽しみが多くある一方で、苦労もあります。飼い始めてから「こんなはずじゃなかった…」と後悔する前に、猫を飼うメリットとデメリットをしっかり整理しておきましょう。
参照元:
永澤巧 「人と猫との関係に関する行動生理学的研究 ―接触インタラクションによる健康効果の発現とそのメカニズム」
東洋経済「猫を飼う人の心身が癒やされている科学的根拠」
東京動物愛護相談センター「ペットについて相談 東京都動物愛護推進員」
千葉県「千葉県動物愛護推進員」