人の赤ちゃんや子どもと同じく、子犬も下痢が続くと脱水を起こしてしまいます。では、子犬はなぜ下痢をするのでしょうか。子犬の下痢の原因や治療など、子犬の下痢について飼い主さんが知っておきたいポイントを詳しく解説します。
もくじ
通常、食べ物や水は腸を通るにしたがって体に吸収されていきます。小腸では栄養を、大腸では水を吸収し、残ったものは体に必要がないため便として体の外に捨てられます。
健康状態がよいときの便には形があり、ほどよい硬さをしています。しかし、柔らかかったり水状であったりする便は、下痢と呼ばれます。
下痢になると、腹痛や食欲不振、排便の構えをするけれども便が出ないといった症状があらわれます。
便の量が多くなるのに対して、回数はあまり増えないのが特徴です。
便の量は少なく、回数が多くなります。下痢の回数が多くなると腸の粘膜が切れて赤い血や、ゼリー状の粘液が便に混じることがあります。
また、下痢が続くと粘膜が腫れ、便が残っていると勘違いして仕切りにいきむ様子が見られることもあります。
子犬の下痢の原因として考えられるものを挙げてみましょう。
一番怖い病気はパルボウイルス感染症で、それ以外には寄生虫の感染です。
パルボウイルスに子犬が感染すると、出血をともなう下痢を起こします。パルボウイルス予防のため混合ワクチンを接種している犬が多く感染の機会は減ってきていますが、感染すると命に関わることもある非常に怖い感染症です。
子犬を迎え入れたらしっかりとワクチンを接種するよう心がけましょう。
回虫やジアルジア、トリコモナスなどが代表的です。回虫は、母犬から子犬へ胎盤や母乳を介して感染します。
ジアルジアやトリコモナスなどは便と一緒に排出され、感染している犬の便を舐めるなどして感染します。子犬を迎え入れたら便の検査を行い、寄生虫がいないかどうかを確認しておきましょう。
代表的な薬は抗生剤です。抗生剤は腸内細菌も倒してしまう(殺してしまう)ため、下痢を起こしやすくなります。
クロストリジウムやカンピロバクターなどと呼ばれるいわゆる悪玉菌が増えることで起こります。
子犬は腸内環境が安定していないため、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れることで下痢をしてしまうことがあります。
子犬は環境の変化によるストレスで下痢をすることもあります。新しく子犬を家に迎えた際は、下痢をしていないかよく確認しましょう。
多くの場合、下痢の原因を特定することは難しいです。大体は様子を見るうちに改善していきますが、下痢が何日も続いたり、食欲が落ちたりするようなら検査や治療が必要となります。
子犬は、下痢が脱水や低血糖を引き起こすことがあるため、心配しすぎて損はありません。
犬が下痢をしていても、成犬で水分を取れて食欲もあるようなら少し様子を見ることも可能です。食欲も元気もあるようであれば急いで病院に駆け込む必要はありません。
しかし、子犬は急に体調を崩す可能性があるため、早めに動物病院を受診するようにしましょう。特に、下痢をしていて食欲がなくぐったりしている、下痢と一緒に嘔吐している場合にはすぐに受診してください。
ぐったりとしている場合、低血糖に陥っていることが考えられます。嘔吐をともなう場合には、脱水だけでなく体力の消耗も起こしてしまいます。子犬は体力がないため、このような状態を放っておくと命に関わります。
動物病院を受診する際は、次の点を心がけましょう。
病院を受診する際には、便をラップやビニールに包んで持っていくとよいでしょう。悪玉菌が増えていないか、寄生虫がいないかといった検査は、顕微鏡で便を観察しなければ分かりません。
写真を撮影しておくことで便の形状や状態などがわかり、診断に役立つこともあります。
しかし、時間とともに便の中の菌のバランスが変化するため、何時間も経っていると正確に検査できないことがあります。
下痢の治療は、原因によって変わります。
下痢の原因となる病気で最も恐ろしいパルボウイルス感染症は、感染させない事が重要です。この病気はワクチンで予防が可能ですので、ワクチン接種を行いましょう。
感染した場合には治療薬はなく、入院して点滴などを行い犬自身の力で治すしかありません。
寄生虫が原因の場合は、駆虫薬により治療をしていきます。寄生虫の種類により薬の内容や飲む期間が変わってきます。
悪玉菌が原因の場合、元気や食欲があるようなら整腸剤だけで治療することが多いです。整腸剤で改善がない場合には、食欲や水分を取れているかを確認しながら使用します。
抗生物質は腸内の善玉菌を倒してしまい下痢をひどくしてしまうことがあるため、子犬の場合避けられることが多いです。
子犬の下痢は、さまざまな原因で起こります。子犬は十分に体力がないため、下痢が続くと簡単に脱水や低血糖を起こします。しかし、初期の段階で適切に対応できればすぐに改善が期待できますので、おかしいと思ったらすぐに病院を受診してください。
また、細菌や寄生虫、ウイルスなども下痢の原因となります。子犬を迎え入れたら予防接種や便の検査などを行い、これらの病気に注意しましょう。
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