マルチーズは、かわいらしい風貌と人懐っこい性格で人気がある犬種です。犬の中でも寿命は比較的長いですが、マルチーズとより長い時間を一緒に過ごすためには、万が一に備えたペット保険への加入も検討しておきたいところです。 そこで今回は、ペット保険の重要性を解説するとともに、マルチーズの特徴やかかりやすい病気を紹介します。
もくじ
人の場合、民間の任意保険に入らなくても、健康保険料を払っていれば自己負担額は基本的に3割程度です。つまり、治療費が10万円だった場合でも、実際には3万円程度の支払いで済ませられます。
しかし、ペットの場合は人のような公的な健康保険制度がないため、基本的に飼い主さんが治療費を全額負担しなければなりません。そのため、場合によっては治療費が払えず、十分な治療を受けさせてあげられないこともあるのです。このような事態を招かないためにも、ペットが若く健康なうちからペット保険の加入を検討しましょう。
ペット保険を選ぶ際は、マルチーズがかかりやすい病気やケガなどを知って、対応するペット保険を選ぶことが大切です。
白く長い毛、つぶらな瞳が特徴のマルチーズ。ここではマルチーズとはどのような犬種なのか、誕生した歴史とともに体型や性格を紹介します。
マルチーズは紀元前1500年頃から飼育されている「世界最古の愛玩犬」といわれています。その祖先は、現在のレバノンあたりに住んでいたフェキニア人たちがマルタ島に持ち込んだ犬とされています。
海外では1800年頃に流行し、日本では1970年頃から名前が知られるようになりました。1968年~1984年においては、ジャパンケンネルクラブ(JKC)の登録頭数で毎年1位をキープしていたほどの人気ぶりでした。
マルチーズは小型犬に分類されますが、その中でもさらに小さいため「超小型犬」と呼ばれることもあります。ジャパンケンネルクラブ(JKC)によると、一般的なサイズは以下の通りです。
オス | メス | |
体高 | 21cm~25cm | 20cm~23cm |
体重 | 3kg~4kg | 3kg~4kg |
なめらかで純白の長い被毛が特徴のマルチーズですが、白以外に淡い茶色やレモン色などの毛色もあります。オスとメスの体格差はほとんどありません。
なお、ペット保険の場合、保険料は年齢と体重、もしくは年齢と犬種で決まります。当社の場合、体重7.2kg以下の犬は「小型犬」の保険料です。
マルチーズは活発で明るく、遊ぶのが大好きな性格です。人懐っこく、飼い主さんのしつけを守る従順さや知性があり、自分より大きな犬に立ち向かう気が強い一面もあります。
愛玩犬として古い歴史を持つマルチーズはしつけがしやすく、犬を飼うのが初めての方でも扱いやすい犬種といわれています。このような性格からも、長い間高い人気を誇ってきた犬種であることが伺えます。
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愛玩動物として歴史が長く、犬を初めて飼う方でも飼いやすいマルチーズ。とはいえ、どのような環境にも適応するというわけではなく、適切な環境で飼わなければ病気やケガのリスクは高くなります。
ここでは、マルチーズの適切な飼い方として、運動やしつけ、日常的なケアの方法について紹介します。
マルチーズは活発な性格のため、毎日適度な運動を行わないとストレスが溜まってしまいます。室内で体を動かすことはもちろん、1日2回、10~20分程度の散歩も行いましょう。
ただし、マルチーズはもともと愛玩犬ということもあり、ドッグランのような場所での激しい運動は必要ありません。激しい運動はかえって足腰へ負担をかけてしまう恐れもあるため、ボールを使った遊びなど、体力に合わせた運動をしましょう。息が上がり、舌が出てくるようであれば、運動はストップさせましょう。
マルチーズは甘えん坊で飼い主さんに懐きやすい性格です。しかし、かわいいからといって甘やかしすぎてしまうと、無駄吠えや噛み癖を引き起こす可能性があります。
無駄吠えをする場合は、顎(あご)を優しく持って顔を上にあげ、少し低めの声を意識して「ダメ!」と伝えます。噛み癖がある場合は、噛まれたときに痛がる様子を見せ「噛んではいけない」と認識させることが大切です。
シルキーコートとも呼ばれるほど美しい被毛が魅力のマルチーズ。マルチーズは毛の長さが一定に保たれず、基本的には伸び続けるため、月1回~数回のトリミングが必要です。
マルチーズは「シングルコート」で、下毛がなく、抜け毛が少ないという特徴がある一方、被毛は細くて柔らかく、毛が絡みやすいため、ブラッシングが必須です。毛玉ができてしまうと毛根が引っ張られ皮膚にも負担がかかるため、1日数回のブラッシングを心がけましょう。毎日のブラッシングが難しい場合は、数日に1度念入りにブラッシングしたり、毛を短めにカットしたりするのもよいでしょう。
マルチーズは比較的寿命の長い犬種ですが、ほかの犬種と同様、病気やケガのリスクはあります。あらかじめマルチーズのかかりやすい病気やケガを理解しておければ、万が一の場合にも落ち着いて対応ができるでしょう。
ここからは、「成犬の頃」と「子犬の頃」のそれぞれの時期にマルチーズがかかりやすい病気やケガを紹介します。
マルチーズが成犬の頃に特に注意しておきたい病気を3つピックアップしました。
それぞれの病気について解説します。
僧帽弁閉鎖不全症は高齢の小型犬がかかりやすく、マルチーズも発症しやすい心臓病です。心臓の左側にある左心房と左心室を仕切っている僧帽弁が、何らかの原因で分厚く、短くいびつになります。
病気が進行すると僧帽弁が閉じる力が弱くなり、血液が逆流します。それによって血液が全身に送り出されるのを妨げ、さまざまな症状を引き起こすのです。重症化すると肺に液体がたまる「肺水腫」によって呼吸困難になり、命に関わる恐れがあります。
病気の進行を遅らせるためには、症状が重症化する前の治療が大切です。初期は症状がほとんどありませんが、聴診やエコー検査などで発見できる可能性があります。早期発見するためには、動物病院で定期的に健康診断を受けることをおすすめします。
結膜(けつまく)とは、まぶたの内側にあるピンク色の組織のことです。結膜炎は、何らかの要因でこの結膜に炎症が起こっている状態のことをいいます。
結膜の炎症の原因としては、シャンプーやゴミ、ウイルスなどの異物が目の中に入ることなどが考えられます。目が充血する、目ヤニや涙が多くなるといった症状が見られ、痛みやかゆみから目をこすりつけたり、前あしでかいてしまったりすることもあるでしょう。
結膜炎は、放っておくと症状が進行し、目の表面に炎症が広がり、治療に時間がかかったり、ほかの病気を引き起こしたりする可能性があります。結膜炎を疑う症状があれば、早めに動物病院を受診しましょう。
歯周病の初期段階を歯肉炎といい、歯肉炎は早めに治療すれば治りますが、炎症が進行すると顎の骨が溶けてしまったり歯が抜け落ちたりする可能性があります。さらに、重症化すると下顎の骨折につながります。
食べ物などが歯に付着して歯垢(しこう)となるのが、歯周病の主な原因です。歯垢には細菌が含まれており、歯肉に炎症を起こします。歯肉炎が進行すると歯と歯肉の間に歯垢が入り込み、歯肉と歯を固定する力を弱め、歯周炎になるのです。
歯肉炎や歯周炎は軽い病気と思われがちですが、歯周炎が進行すると歯垢にある細菌が血液に入り込み、心臓病や腎臓病の引き金になる可能性もあるため、悪化する前の処置が重要です。
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マルチーズが子犬の頃には、特に次の病気やケガに注意が必要です。
ここでは、それぞれの病気やケガについて解説します。
膝(ひざ)にある、いわゆる「お皿」といわれる膝蓋骨(しつがいこつ)が、正常な位置から外れてしまう状態のことを膝蓋骨脱臼といいます。
膝蓋骨脱臼は小型犬に多く、マルチーズも発症しやすいとされています。肥満や過度な運動によって発症することも少なくありません。
膝蓋骨脱臼の重症度は4つに分類されます。初期段階であるグレード1では、骨に変形はなく無症状ですが、最終段階であるグレード4では骨が変形し、歩行も難しくなります。症状がほとんど見られない場合や手術が難しい場合は、投薬や運動制限などの保存療法を行い、歩行に異常が見られたり、根本的な治療が必要な場合は外科手術を行うことになるでしょう。
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外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの部分に炎症が起こるもので、マルチーズのように耳が垂れている犬種は耳の中が蒸れやすいため、外耳炎になりやすい傾向にあります。
外耳炎の主な原因は以下の通りです。
外耳炎の初期は耳の中が腫れはじめ、重症化すると外耳が狭くなることもあります。さらに進行すると、耳の中の皮膚が厚くなって通気性が悪くなり、細菌が増殖しやすくなることで治りにくくなるという悪循環を引き起こします。
外耳炎は再発しやすい病気のため、ペット保険への加入を検討するのであれば通院に対応したものがおすすめです。
犬が異物を食べてしまうことは少なくありません。特に、チョコレートや玉ねぎ、薬や乾電池などの金属は中毒症状を引き起こす可能性があるため、誤飲に気づいた場合は早急な対応が必要です。それ以外にも、トウモロコシの芯など大きな異物が腸に詰まることがあります。
異物を食べた直後は症状が出ないケースもありますが、時間の経過とともに状態が悪くなり、命に関わる可能性もあります。初期であれば、薬などで吐き出させたり内視鏡で取り出す対処で済む場合もありますが、時間が経つと手術が必要になることもあるでしょう。
マルチーズが病気やケガをした場合、どのような治療が行われ、治療費はいくらくらいかかるのか、飼い主さんにとっては気になるポイントでしょう。
ここからは、実際にあった上記の3つの事例を紹介します。
治療内容:両あしの膝蓋骨脱臼のため、2回の手術を伴い合計で16日間の入院治療を行いました。
通院16日間、手術2回
治療総額 | 37万0,750円 |
ペット&ファミリー損保のペット保険、「げんきナンバーわんスリム プラン70」に加入していた場合、自己負担額例は以下の通りです。
お支払い保険金 | 20万3,525円 |
自己負担額 | 16万7,225円 |