チワワといえば、小さくてプルプル震えているイメージをもっている飼い主さんも多いのではないでしょうか。この震え、病気が原因で起こっていることもあれば、環境などが原因になっている可能性もあります。チワワの震えについて正しく理解し、愛犬の震えに適切に対処しましょう。
もくじ
「震え」は医学用語で「振戦(しんせん)」といい、無意識に筋肉の収縮を繰り返すことによって起こります。
痙攣(けいれん)や体の揺れなど、震えと似たような症状もあるため、症状だけを切り取って震えの原因を究明するのは難しく、一般的には検査が必要です。
また、病気だけでなく、環境や気持ちの問題が震えの原因となっていることもあります。
病気でなくても震えを引き起こすことがあります。
体の小さいチワワは、体重に対して体表面積が広く、体の熱が外に逃げやすいです。そのため、震えることで発熱し、体温を保とうとしていることもあります。
運動などで筋肉をたくさん使うと、疲労で震えることがあります。人が重いものを持ったり、腕立て伏せをしたりしたときに腕が震えるのと同じです。
動物病院の診察台の上、自宅への来客、工事や地震、花火や雷など、ストレスや恐怖で震える犬もいます。何に恐怖やストレスを感じるかは、経験や性格などの個体差があります。
人は全く気にしないようなことでも、愛犬にとってストレスになることもあるため、飼い主さんは、何を排除してあげれば震えが治まるか考え、対処するようにしましょう。
震えることで、飼い主さんの気を引くことができたり、おやつをもらえたりと犬にとって良いことが起こると、学習し、同じように震えることを繰り返すこともあります。
人でも高齢になると手が震えたり、頭がカクカクしたりすることがあります。これと同じものが犬でも起こりえます。「老齢性振戦」といい、犬では後ろあしが震えたりすることが多いです。
原因はわかっていませんが、薬によって落ち着くこともあります。
震え(振戦、痙攣、体の揺れ)を起こす可能性のある病気の例をご紹介します。一般的に、犬が風邪を引いて震えることは少ないです。
骨折などの強い痛みによって、震えることもあります。椎間板ヘルニアなどの痛みは、特定の姿勢になることで突然痛みが生じるため、犬自体がなぜ痛いのか分からず恐怖で震えることもあります。
誤ってコーヒーやチョコレートを摂取すると、そこに含まれるテオブロミンが犬に異常な興奮を起こし、震えや痙攣を起こします。
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腎臓病が進行して末期の状態になると、体から尿として排出されるはずの毒物が体の中に溜まり「尿毒症」になります。
尿毒症になると、音や光に過敏に反応し、ピクピクと震えたり、場合によっては意識を失って痙攣を起こしたりすることがあります。
肝臓がうまく機能しないと、有毒物質がうまく代謝されません。脳に影響を与えることで、震えや発作を起こすことがあり、これを「肝性脳症」といいます。
「てんかん」とは発作を繰り返す病気のこと。意識を失って全身痙攣を起こす全般発作もあれば、体の一部が無意識に動いてしまう焦点性発作(部分発作)もあります。
脳波のほかに明らかな異常が見つからない特発性てんかん、脳の病気やケガなどで起こる構造性てんかんがあり、脳の電気的な信号のやり取りのトラブルのため、異常の起きた部位によってその症状も大きく異なります。
意識がなくなり、パタッと倒れて、足をぴんと延ばしてガタガタ震えるような典型的な発作であれば、簡単に判断できます。
しかし、前あしや後ろあしが勝手に上がる、体の一部をプルプル震わせるなど、すぐに見ててんかん発作だということがわからない症状もあり、診断まで時間がかかることがあります。
脳の構造上の変化によっても震えることがあります。脳の状態を把握するためにはMRI検査が必要になります。チワワには、頭の中に脳脊髄液が溜まり脳を圧迫することで症状を引き起こす「水頭症」が多く見られます。
血糖値が下がりすぎて、低血糖発作を引き起こすことがあります。子犬が長時間ご飯を食べず血糖値が維持できなくなった場合に多く、命にかかわることもあります。
内耳には、平衡感覚をつかさどる「前庭」という器官があります。ここに異常が起きると、平衡感覚がおかしくなり、フラフラしたり、よろよろしたりすることがあります。
場合によっては真っすぐ歩けなくなったり、嘔吐をしたりすることもあります。
ジステンパーウイルスが脳に侵入し、震えや麻痺を起こします。命にかかわる可能性が高く、助かったとしても後遺症が残る可能性もあります。予防のため、混合ワクチンを接種しましょう。
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「震え」には、さまざまな原因、震え方があります。そのため、「愛犬が震えている」という飼い主さんの申告だけでは、獣医師が原因を判断するのは難しいこともあります。
また、動物病院へ行くと震えが治まったり、状態が変化したりすることもあるため、震えが気になったタイミングで動画を撮影し、獣医師に見せることが大切です。さらに「いつ」「どこで」「どのようなタイミングで」なのかといった情報も診断の助けとなります。
愛犬が突然震え始めると、慌ててしまい記録を取り忘れることも多いかと思います。しかし、原因究明のために、飼い主さんは落ち着いて行動ができるとよいですね。