【獣医師監修】旅行や災害時のペットの食事は?普段と異なる環境での犬猫の食事を考えよう
2023.05.19 作成

【獣医師監修】旅行や災害時のペットの食事は?普段と異なる環境での犬猫の食事を考えよう|連載「獣医さんが教える愛犬・愛猫のごはんのキホン」vol.20

獣医師

成田有輝

成田有輝

DC one dish獣医師の成田です。「家では問題なく食事をしてくれるけれど、環境や状況が変わったときに愛犬や愛猫が食べてくれるか心配…」そう思ったことはありませんか。環境や状況の変化は人だけでなく犬や猫の食欲にも影響を及ぼします。いざというときのために、何を準備しておけばいいのか。今のうちにやっておけることがないのかを考えてみましょう。

前回の記事:【獣医師監修】愛犬・愛猫が水を飲まないときはどうしたらいい?適切な飲水量や水を飲ませる工夫を解説|vol.19

もくじ

    旅行の時の食事ってどうすればいいの?(健康な子の場合)

    【獣医師監修】旅行や災害時のペットの食事は?普段と異なる環境での犬猫の食事を考えよう
    (New Africa /shutterstock)

    体調に問題がなく、食事制限がない子の場合、旅行先の宿やレストランで提供される食事を食べる機会もあると思います。事前に食事の提供があるか、愛犬用の食事を注文できるお店なのか、確認しておきましょう。

    また、好みがはっきりとしている子は、提供された食事を食べないこともあります。性格に合わせて、普段の食事も用意しておいたほうが安心です。

    猫は、環境の変化に敏感な生き物です。そのため、一般的には一緒に旅行をすることは難しいため、安全のためにも留守番をしてもらったほうがよいでしょう。

    提供される食事の栄養バランスについて考える

    提供される食事の栄養バランスについて考える
    (Pixel-Shot/shutterstock)

    犬や猫は日々、総合栄養食やAAFCO基準に沿った、栄養バランスが整った食事を食べることで健康を維持しています。しかし旅行先では、人の食材などを使用して調理された食事を提供されることが多く、必ずしも総合栄養食やAAFCO基準に沿った食事が提供されるとは限りません。

    数日、栄養基準に沿わない食事を食べたからといって健康に害を及ぼす可能性は低いですが、長期間になる場合は、日頃食べている総合栄養食などを準備しておくとよいでしょう。

    また、提供される食事の種類によっては、普段の食事よりも脂質が多めになっていたり、消化しにくかったりする場合があります。おなかの調子が崩れないか注意する必要があります。

    お腹の調子が崩れた際は、用意があれば普段の食事に戻してあげるようにしましょう。

    提供される食事量にご注意を

    提供される食事量にご注意を
    (eva_blanco/shutterstock)

    人と同じく犬猫も体重や活動量によって1日に必要なカロリーが異なります。しかし旅行先では、体重ごとに食事量を調整して提供されることがあまりないのが現状です。

    普段よりも大量に食事を食べると、下痢や嘔吐を起こす可能性があるため注意しましょう。足りない場合も、空腹によるトラブルに気をつけてください。

    まずは、普段食べているカロリーを知ることから始め、外出時には、提供される料理のカロリーや、体重ごとの食事量の目安を必ず確認してから与えるようにしましょう。

    環境変化で食欲が出ない可能性も

    環境変化で食欲が出ない可能性も
    (Reshetnikov_art/shutterstock)

    普段と違う環境や旅行での疲れから、食欲が低下する場合があります。提供された食事を食べてくれない可能性も考え、普段食べ慣れている食事も用意しておきましょう。

    また、乗り物酔いが食欲に影響することもあります。初めての移動は長時間を避け、近場の外出で乗り物酔いをするのか確認するようにしましょう。

    乗り物酔いをするようであれば、一度、動物病院へ相談することをおすすめします。

    旅行の時の食事ってどうすればいいの?(食事療法を行っている子の場合)

    旅行の時の食事ってどうすればいいの?(食事療法を行っている子の場合)
    (Viktorya Telminova/shutterstock)

    食事療法を行っている場合、食事内容が体調に大きく関わる可能性があるため、旅行先でも獣医師に指定された療法食を与えることが推奨されます。

    どの程度まで食事制限が必要かは状態によって異なるため、普段と違う食事を与えたい場合は、動物病院で確認をとりましょう。

    食物アレルギーなどで特定の食材の摂取ができない子の場合は、必ず食事の提供先に使用している食材の種類を確認し、与えて問題ないか把握することも大切です。

    外出先で提供されるものを与えられなかったときのために、普段の食事を用意しておくことも忘れないでください。

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    災害時に備える

    災害時に備える
    (Jonas Petrovas/shutterstock)

    災害時は環境だけでなく、家族の様子も変化するため愛犬・愛猫の食欲に影響が出る可能性があります。どんな備えをしておくべきか、いざというときのために今できる訓練はないのか考えてみましょう。

    必ず愛犬・愛猫の食事の備蓄を

    必ず愛犬・愛猫の食事の備蓄を
    (Dmitrij Skorobogatov/shutterstock)

    災害に備えて人が食事を備蓄するのと同じように、犬猫が普段食べている食事も備蓄しておきましょう。

    ペットフードは常温で長期保存できるものが多いため、人の食事よりも備蓄しやすく、種類も豊富です。食欲が落ちたときのことを考えて、食べ慣れたもののほかに、普段よりも嗜好性の高いものも用意しておくといいでしょう。

    犬や猫の分の飲料水の確保も大切です。ペットボトルを備蓄する際は、ミネラルの少ないものや軟水などを用意しましょう。

    犬猫に必要な水分量は一般的に、体重1kgあたり1日50mlの水分が必要といわれています。器を洗ったり、水をひっくり返したりしてしまうことも考え、多めに準備しておくほうが安心です。

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    市販製品での食事療法が難しい場合

    市販製品での食事療法が難しい場合
    (New Africa/shutterstock)

    日頃から手作りの療法食を食べている子もいるでしょう。しかし、災害時は手作り食の用意が難しくなる可能性があります。

    市販製品で代用が効くか、かかりつけ動物病院に確認しておき、可能であればその製品を備蓄しておきましょう。

    市販製品でどうしても対応が難しい場合は、常温保存できる食材で調理が可能か事前に検討することが重要です。

    愛犬愛猫と一緒に避難訓練をしてみよう

    愛犬愛猫と一緒に避難訓練をしてみよう
    (Dmytro Golovchenko/shutterstock)

    状況によっては人に愛犬・愛猫を預けることもあるかもしれません。食事の用意は普段行っていない人からするとわからないことだらけです。避難用のセットには、食事の与え方などのメモも入れておくとよいでしょう。

    また、災害や旅行に備えて、マイクロチップや迷子札を準備し、クレートトレーニングもしておくとより安心です。

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    【次回連載】5月26日(金)公開

    著者・監修者

    成田有輝

    獣医師

    成田有輝

    プロフィール詳細

    所属 yourmother合同会社 代表
    (獣医によるオーダーメイドの手作り総合栄養食や療法食レシピをお届けする「DC one dish」の運営)
    (ウサギの総合情報サイト「ウサギのハート」の運営)

    獣医腎泌尿器学会
    日本獣医エキゾチック動物学会

    略歴 1988年 埼玉県に生まれる
    2007年 麻布大学獣医学部獣医学科に入学
    2011年~ ウサギの総合情報サイト「ウサギのハート」公開
    2013年 獣医師国家資格取得
    2013年~2019年 東京都内動物病院に勤務
    2018年~ DC one dish 設立
    2019年 フードメーカー勤務
    2020年~ yourmother合同会社 設立

    資格 獣医師免許

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