子猫のときに接種したワクチン。その後のワクチン接種は1年毎、3年毎と様々な記載があるけれど、うちの愛猫はどうしたらいいのかと悩んでいる飼い主さんも多いと思います。猫の予防接種について基本的な考え方をお話ししますので、かかりつけの先生と相談する際の参考にしてみてください。
もくじ
子猫のうちに複数回のワクチン接種が済んでいても、抗体は徐々に減っていきます。もし感染症に感染しても発症を防ぐ抗体価を維持するには、成猫になってからも追加接種が必要です。
ワクチンの種類などのおさらいはこちらの記事をご覧ください。
【獣医師監修】子猫の予防接種について解説!いつ?何種を?何回接種するの?
免疫力は個体によって異なります。予防接種で得られる抗体の量や、接種からどのくらいで抗体が減ってしまうのかも違います。
各家庭で猫が過ごす環境によって、ワクチン接種が推奨されるタイミングも異なるため、愛猫のワクチンスケジュールは、必ずかかりつけの先生とよく相談の上で決めていきましょう。
パルボウイルスの抗体は個体によっては7年ほど長持ちする猫もいるといわれています。
子猫のうちに複数回の接種ができていると、十分な抗体価を長期的に維持でき、感染しても発症を防げると考えられます。しかし、個体によってすぐに抗体価が減る猫もいることは事実です。
いわゆる猫かぜといわれるこの2つのウイルスに対しては、ワクチン接種から1年以上経つと発症を防ぐのに十分な抗体価を維持できないことが多いといわれています。
猫の混合ワクチンには3種・4種・5種と種類があり、何種類混ざっているかで防げる感染症が異なります。愛猫の生活環境にあわせて、ワクチンの種類を選びましょう。
たとえば、完全室内飼育で同居の猫にFeLV陽性がなければ、副反応のリスクがより少ない3種混合ワクチンを選択するのが一般的です。
「猫のいる実家に定期的に帰省するため、予防が不安」・・・など、状況に応じてかかりつけの先生と決めていきましょう。
「予防接種はいつも大丈夫だから今年も大丈夫!」と安易に考えていませんか。
猫は注射を打った部位にしこりができる注射部位肉腫なってしまうことがあります。実際に発症する猫は少ないですが、可能性があるということは、愛猫のために飼い主さんに知っておいていただきたいです。
飼い主さんは、ワクチン接種部位を覚えておき、数ヶ月は触ってしこりがないか確認するようにしましょう。
また、接種後に顔が腫れたり、血圧低下などでフラついたり、嘔吐や下痢などの症状がみられることもあります。アレルギー反応で突然ぐったりしたり、接種当日の食欲がやや落ちたりすることもあります。
体調に変化が表れたら、予防接種をした病院にまず相談しましょう。
万が一ワクチン接種後に体調が悪くなっても受診できるように、午前中の接種がおすすめです。しかしお昼休みは手術などの処置で対応が難しいこともあります。
できれば、早めの時間でワクチン接種をし、体調に変化があっても診察時間に受診できるようなスケジュールを組めると理想的です。
緊急対応が必要な副反応は、ワクチン接種後15~30分で起こるといわれています。ワクチン接種後しばらくは、よく様子を見てあげましょう。待合室で少し様子を見てから帰宅することもおすすめです。
ワクチン接種後に愛猫の体調が悪くなってもすぐに対応できるよう、予防接種当日はほかの予定を入れず、新幹線や車での長時間の移動は避けましょう。
愛猫の体調や生活環境をかかりつけの先生に伝え、愛猫にピッタリの接種頻度を相談しましょう。
たとえば、「ペットホテルなどは利用しないが、お盆やお正月など定期的に実家に帰省することがあり、実家の猫はくしゃみや鼻水が酷い」など、愛猫以外のことも詳しく話してみましょう。
ご家庭の環境が次に当てはまる場合は、感染リスクが高いと考え1年に1回ワクチン接種をしましょう。
次の場合は、感染リスクが低いと考えられます。
個体差はありますがワクチンを接種して2週間ほどでしっかりした量の抗体ができると考えられています。
もしワクチン接種をして1年以上経過した後にホテル利用の予定が立った場合は、ホテル利用日の2週間前までの追加接種がおすすめです。
3種混合ワクチンに含まれている「ネコカリシウイルス」「ネコヘルペスウイルス」「ネコパルボウイルス」は、血液検査で抗体価を調べられます。
ワクチン接種回数も減らしたいが、愛猫に抗体があるかも心配になる・・・そんなときは、血液検査を検討してみてください。
動物病院で採血し検査会社に血液を送って抗体価を調べてもらうのが一般的。結果が出るまでには1週間程の時間がかかります。
健康診断で採血する予定があるときに一緒に調べてもらい、抗体価の結果がお手元に届いてからワクチン接種をするか検討することも方法のひとつです。
採血量が抗体価検査の分多くなるので、希望される際はかかりつけの先生に事前に相談しましょう。
病院に行く回数はできれば少なくしたいと考え、ちょっとした体調の変化で受診したついでに「そうだワクチン接種も済ませちゃおう」と希望する飼い主さんも多いです。
また、ワクチン接種で受診した際に「そういえば健康診断していなかった」とついでに採血をはじめとする検査を希望することもあるでしょう。
しかし、ワクチン接種は身体に負荷をかけるため、嘔吐や下痢など体調不良を悪化させてしまう可能性があります。検査も予防接種も、健康状態がよいときに行うのが理想的です。
など、体調が万全の時にワクチン接種をしましょう。
ワクチン接種で感染症対策をしつつ、定期的な聴診・触診、必要に応じて血液検査や超音波検査などを行い、愛猫の状態をチェックしましょう。
かかりつけの動物病院のスタッフさんたちと気軽にお話しできるような関係性をつくっておくと、愛猫が体調を崩した際にも心強いです。
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