DC one dish獣医師の成田有輝です。ペットフードを購入する際、WEBサイトやパッケージの表記を読んで選んでいますか。原材料などの品質だけでなく、栄養バランスもフードによって異なる調整がされています。今回は、犬や猫のライフステージにおけるフードの違いと、選び方について紹介します。 前回の記事:【獣医師監修】どうして?愛犬愛猫が食事を食べないときに考えること|vol.17
もくじ
「誕生して、成長・成熟し、年齢を重ね一生を終える」この加齢にともなう変化をいくつかの段階(ステージ)に区切り、それぞれの段階のことをライフステージといいます。
さまざまなライフステージの分け方が存在しますが、栄養学において特に重要なのは、「哺乳期・離乳期、成長期(子犬期・子猫期)、維持期(成犬期・成猫期)、高齢期(シニア期)」です。
ドッグフードやキャットフードは、ライフステージにあわせて栄養素が調整されています。愛犬・愛猫のために、適切なフードを選びましょう。
ペットフード公正取引協議会の規則では、「目的」を表記することが義務付けられています。
フードの種類である「総合栄養食」「療法食」「間食」「その他目的食」の記載以外に、「維持期総合栄養食」やライフステージまで記載されているものもあり、飼い主さんがフードを選ぶ際に役立ちます。
哺乳期・離乳期は短期間で、体が大きくなり、食事量や食事の内容もガラッと変化をします。細かくチェックをしながら慎重に見ていく必要があります。
生まれた直後から乳歯が生えはじめる3~4週間までは「哺乳期」と呼ばれ、すべての栄養を母乳から摂取します。初乳には、病原体から体を守るための素である移行抗体が含まれているため、子犬・子猫が元気に育つために、初乳を飲むことは非常に大切です。
母乳を飲んで1日ごとにどんどん体重が増えていくのが当たり前の時期です。毎日体重を計量し、しっかり母乳を飲めているのか確認しましょう。育児放棄などで母乳を飲むことが難しい場合は、人工飼育に切り替える必要があります。
人間が普段飲む牛乳とは栄養組成が大きく異なるため、犬は犬用の、猫は猫用のミルクで育てることが大切です。
哺乳期を過ぎてから8週齢までの間を離乳期といい、親犬・親猫の食事に興味をもち始めます。
妊娠・授乳期における親の食事は、成長期の栄養基準のフードを与えることが推奨されるため、親が食べているフードをこの時期の子犬や子猫が口にしても栄養学的な問題はありません。しかし、サイズや硬さの問題があるため、ふやかしたり細かくしたりして与えてください。
一般的に、ペットショップやブリーダーから迎え入れる8週齢を過ぎた時期は成長期。離乳期を過ぎたばかりの子犬・子猫は、最大で成犬・成猫の3倍程度のカロリーが必要となります。骨の成長に必要なカルシウムは、維持期の成犬の2.4倍、成猫の1.7倍程度必要です(AAFCOの下限と比較)。
成長期は食事を1日3回にし、低血糖を予防しましょう。必要量を食べてもらう工夫も必要です。
成長期用のフードは、維持期と比べてグラム当たりのカロリーや栄養基準が高く、胃が小さい子犬・子猫も少量で必要なエネルギーを摂取できるように設計されています。維持期用のフードでは、成長に必要な栄養が不足する可能性がありますので、必ず成長期用のフードを与えましょう。
逆に、成長期用の総合栄養食やAAFCOの栄養基準に則ったフードは、それだけで必要な栄養素が取れるように設計されています。あえて粉ミルクやカルシウム剤を添加すると、栄養素の過剰となる可能性があるため注意してください。
成長期用の総合栄養食を与えている場合、栄養が必要だからといって後から足す必要はありません。
一般的に体の成長が止まった後の時期を維持期といい、犬の体格にもよりますが、1~2歳を超えたあたりのことを一般的に指します。※大型になればなるほど、成長期は長いです。食事の回数は1日2回になるのが一般的です。
維持期用のフードは種類も豊富で、各社からさまざまなコンセプトの製品が販売されていますが、総合栄養食やAAFCOの基準に則ったものであれば、栄養学的な問題はありません。
ただし、この時期には、避妊・去勢手術を行えるようになります。避妊・去勢手術後は、カロリーを消費する臓器がひとつなくなるため、手術前と同じカロリーを与えていると、どんどん太っていてしまいます。必ず体重を測りながら、理想的な体型を維持できる食事の量を調整しましょう。
犬種・猫種にもよりますが、一般的に7歳以上の時期を高齢期といいます。この時期になると、人と同じで何かしら気になる病気や症状を抱えている犬や猫が増えてきます。そのため、関節によい成分が含まれていたり、抗酸化成分を豊富に含んだりと、加齢による変化をサポートしてくれるフードが豊富になります。
愛犬・愛猫の状態に合わせてフードを選びましょう。
病気の場合には、獣医師から療法食を提案されることがあります。その際は、必ず獣医師の指示に従い、定期的にチェックしながら食事を与えるようにしましょう。
オールステージのフードは、栄養が必要な成長期の栄養バランスになっています。そのため、基本的にはカロリーが高く設計され、ミネラルなどが豊富に含まれます。
小食の子にとっては、高カロリーの食事がプラスになるかもしれません。しかし、豊富なミネラルは尿石症などのトラブルの原因になる可能性があるため、注意が必要です。
動物の食は人の考えが反映されやすく、飼い主さんだけの判断では、誤った選択をしてしまうこともあります。愛犬や愛猫にどんな食事を選べばいいのかわからない場合は、獣医師に相談しましょう。
かかりつけの先生と食事についてなかなか話せない場合は、専門家に頼るのもよいでしょう。
食事は生活の一部で、毎日のことです。ぜひ一度、獣医師や専門家に相談してみてください。