【獣医師監修】子犬の予防接種について解説!ワクチン接種はいつから?開始時期や注意点も紹介
2023.04.14 作成

【獣医師監修】子犬の予防接種について解説!ワクチン接種はいつから?開始時期や注意点も紹介

獣医師/ペット栄養管理士

岩切裕布

岩切裕布

新しい家族との出会いの始まりは、今後の素敵な暮らしを予感させるとともに、愛犬を病気にさせないようにワクチンを始めなければならない時期でもあります。予防接種の種類や摂取する回数を正しく知り、防げる病気をしっかりと防ぎ、楽しい子犬との生活をスタートさせたいですね。

もくじ

    子犬の予防接種を始める最適なタイミング

    【獣医師監修】子犬の予防接種について解説!ワクチン接種はいつから?開始時期や注意点も紹介
    (all_about_people/shutterstock)

    予防接種は、健康状態に問題がないときに行うものです。もしも体調を崩してしまった場合は、治るまで予防接種は延期になることがあります。

    自宅にやってきたばかりの子犬は、環境が変わることによるストレスで体調が変化しやすいです。

    急を要する症状がなければ、自宅に到着してすぐに外出したり動物病院へ連れて行ったりせず、1週間程度自宅で安静に過ごすようにしましょう。

    ただし子犬は、ペットショップやブリーダーから消化管内の寄生虫やウイルスを連れてきてしまうことがあり、この最初の1週間で症状が出始めることがあります。

    もし体調が悪くなるようなことがあれば、下痢の場合は便を、咳の場合は動画などを撮影し、動物病院を受診するとよいでしょう。

     

    子犬に必要な予防接種の種類。予防接種はいつから可能?

    子犬に必要な予防接種は大きく分けて狂犬病予防注射と混合ワクチンです。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

    狂犬病予防注射について

    狂犬病予防注射について
    (Katy Pack/shutterstock)

    狂犬病予防法、同施行規則の規定により、生後91日以上の犬の所有者は、飼い始めてから30日以内に予防接種をうけ、のち年に1度狂犬病予防接種を受けさせなければなりません。

    犬の登録も同様に、生後91日以上の犬の所有者は、飼い始めてから30日以内にお住いの市区町村に届け出て鑑札をもらう必要があり、狂犬病予防接種と同時に届け出ることもあります。

    犬の登録について

    従来は、飼い主さん自身で犬の登録をするか、動物病院の登録代行サービスを利用する必要がありました。

    しかし、お住いの市区町村が狂犬病予防法の特例制度に加盟している場合は、環境大臣指定登録機関である公益社団法人日本獣医師会の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」にマイクロチップを登録すれば、従来の犬の登録がなくなり、鑑札が不要となります。

    詳細は、かかりつけ動物病院や市区町村へ問い合わせてみてください。

    混合ワクチンについて

    混合ワクチンについて
    (Yekatseryna Netuk/shutterstock)

    混合ワクチンにはコアワクチンとノンコアワクチンがあり、狂犬病予防注射と異なり任意接種となっています。

    コアワクチンは生活環境に関わらずすべての犬に接種すべきワクチンとされ、ノンコアワクチンは暮らす環境により必要に応じて接種すべきワクチンとされています。

    これらが、1度のワクチン接種で同時に接種できるため混合ワクチンと呼ばれるわけです。

    一般的には5~10種ほどの混合ワクチンがあり、地域によって推奨されるワクチンの種類が異なります。かかりつけの動物病院へ相談し、何種のワクチンを接種するのか決めましょう。

    【関連記事】
    【獣医師監修】犬の予防接種は毎年必要?ワクチンの種類と接種の間隔を解説

    WSAVAが定める子犬の予防接種のスケジュール

    WSAVAが定める子犬の予防接種のスケジュール
    (Kristina Holovach/shutterstock)

    世界小動物獣医師会(WSAVA)がワクチンのガイドラインを発表しており、日本でもその手順を踏んだワクチン接種が採用されるようになってきました。

    WSAVAでは、生後6~8週齢で初回のワクチン接種を行い、その後16週齢まで2~4週間ごとに接種することを推奨しています。

    そのため、6週齢または7週齢でワクチン接種を開始した場合、接種の間隔を4週とすれば初年度のコアワクチンの接種回数は4 回となります。これを8週齢または9週齢で開始し、接種間隔を4週にした場合は、必要な接種回数は 3 回となります。

    さらに、ブースターワクチン(ワクチンの効果を持続させるための追加接種)として生後26~52週齢(生後6ヶ月~1年)に追加接種が推奨されており、生後6か月~1年までに多くて4~5回のワクチン接種をすることがあります。

    その後は、コアワクチンについては3年間は接種の必要はないといわれています。

    実際に日本で行われている予防接種間隔やスケジュール

    実際に日本で行われている予防接種間隔やスケジュール
    (Numstocker/shutterstock)

    WSAVAが提唱しているガイドラインは日本だけに向けたものではないため、日本国内の事情とは少し違うところがあります。

    これは、ワクチンメーカーが推奨する接種間隔がWSAVAのガイドラインと異なることや、コアワクチンは抗体が残っていれば3年ごとでよいといわれても、同時に接種されるノンコアワクチンは抗体検査で判断できず、それのみの製品が販売されていないためです。

    子犬が初年度に何回ワクチンの接種を受けるかは、ワクチネーション開始時の週齢と接種間隔、どのようにワクチン接種を進めていくかによって変わりますので、かかりつけの先生と相談しましょう。

    予防接種前の子犬は注意!お散歩デビューのタイミング

    予防接種前の子犬は注意!お散歩デビューのタイミング
    (Soloviova Liudmyla/shutterstock)

    子犬は免疫機能が未熟。予防接種前の子犬は感染症にかかりやすいため、予防接種を受け、ある程度成長した段階でお散歩デビューをするのが一般的です。

    かかりつけの動物病院と相談をしながら、適切なタイミングで予防接種を受けるようにしましょう。

    子犬を迎え入れるタイミングにもよりますが、ペットショップやブリーダーのところにいる間に、ワクチンを接種していることもあります。

    接種の済んだワクチンについては、ワクチン証明書が発行されます。子犬を迎え入れる際には、どんなワクチンをいつ何回打ったか確認し、ワクチン証明書を一緒にもらいましょう。

    社会化のためにはなるべく早く外へ連れ出し、さまざまなものに触れたほうよいといわれる反面、初年度のワクチンが完全に終了してない段階では感染症へのリスクがあります。

    また、狂犬病の予防接種を受けていない段階で、人を噛んでしまうと大きなトラブルに発展することもあります。

    ワクチン接種前後の注意点

    ワクチン接種前後の注意点
    (Pratchaya.Lee/shutterstock)

    ワクチン接種前後は、体調の変化を起こさないようにするために、激しい運動やトリミング、遠出などの疲れやストレスのかかるようなことは避けましょう。

    ワクチン接種後は、嘔吐・下痢・顔が腫れるなどのアレルギー症状を引き起こすことがあるため、注意深く観察することが大切です。

    万が一に備えて、予防接種は午前中に行うことをおすすめします。犬のワクチン後の副作用についてはこちらの記事を参考にしてみてください。

    【関連記事】
    【獣医師監修】犬の予防接種の副作用(副反応)について解説

     

    まとめ

    子犬の予防接種は、家族として迎え入れてから初めてのイベントであると同時に、かかりつけの病院を探すタイミングでもあります。

    ワクチンの種類、接種回数、タイミング等、初めてでわからないことも多いかと思います。一人で悩まず、ぜひ動物病院で聞いてみてください。愛犬と飼い主さんにあった動物病院が見つかるといいですね。

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    著者・監修者

    岩切裕布

    獣医師/ペット栄養管理士

    岩切裕布

    プロフィール詳細

    所属 yourmother合同会社 代表
    (獣医師によるオーダーメイドの手作り総合栄養食や療法食レシピをお届けする「DC one dish」の運営)


    日本ペット栄養学会
    日本小動物歯科研究会
    日本獣医腎泌尿器学会

    略歴 1987年 東京都に生まれる
    2005年 麻布大学 獣医学部獣医学科に入学
    2011年 獣医師国家資格取得
    2011年~2016年 都内動物病院に勤務
    2017年~2018年 フードメーカー勤務
    2018年~ DC one dish 設立
    2020年~ yourmother合同会社 設立

    資格 獣医師免許
    ペット栄養管理士

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