日本では「ヨーキー」の愛称で親しまれているヨークシャー・テリア。平均寿命は14~16歳と、小型犬の中でも長生きする犬種としても知られています。 そんなヨークシャー・テリアと1日でも長く楽しい時間を過ごすために、もしものときに備えてペット保険への加入を検討する飼い主さんも少なくありません。そこで、ヨークシャー・テリアにペット保険は必要なのかをはじめ、ヨークシャー・テリアの特徴やかかりやすい病気・ケガ、治療事例などを詳しく紹介します。
もくじ
ヨークシャー・テリアは比較的長生きをする犬種ですが、だからといって病気やケガのリスクがないわけではありません。
ペットには人のように健康保険制度がないため、万が一病気やケガをした場合、その治療費は全額飼い主さんの自己負担となります。治療費が用意できない場合には治療を断念したり、十分な治療費が用意できないためにペットに最適な治療を受けさせてあげられないケースもあるのです。
そのような事態を避けるための方法の一つとして、ペット保険への加入が挙げられます。ペット保険に加入をしておくことで、高額な治療費による経済的な負担はもちろん、精神的な負担も軽減できるでしょう。
ただし、ペット保険とひとくちに言ってもその補償内容は商品によって異なります。ヨークシャー・テリアの飼い主さんの場合は、ヨークシャー・テリアがかかりやすい病気やケガをしっかりと補償できるペット保険を選ぶことが大切です。
ヨークシャー・テリアは小柄な姿とは裏腹に勇敢な一面も持ち合わせており、その歴史や性格を知れば知るほど、世界的な人気の高さにも頷けます。ここからは、そんな魅力あふれるヨークシャー・テリアの特徴をいくつか紹介します。
ヨークシャーとは19世紀に工業地帯として栄えたイギリスの地方都市の名前で、その当時は家庭のネズミを退治するための犬として活躍していました。
1862年には「ブロークン・ヘアード・スコッチ・オア・ヨークシャー・テリア」と命名されたものの、犬種名が長すぎることから、1870年頃には「ヨークシャー・テリア」と呼ばれるようになります。
その後、愛玩犬として小型化が進み、毛質も細く滑らかに。やがて庶民だけではなく上流階級の間でも飼育されるようになり、その姿の美しさや愛らしさから「動く宝石」とも称されるようになりました。
ヨークシャー・テリアの体高は15~23cm程度。体重は成犬でも1.5~3.2kg程度と非常に小柄で、JCK(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)が公認している犬種の中でも、チワワに次いで小さい犬種とされています。
毛色は赤褐色のブラック&タンや、青みがかった黒色のブル―&タン、ブルー&ゴールドやブラック&ゴールドなど。子犬の頃はブラック&タンであることが多いですが、成長とともに毛色が変化し、その変化は生涯のうち7回ほど変化するといわれています。
ヨークシャー・テリアはもともとネズミを獲る犬として飼われていたほど、勇敢で活発な性格です。負けん気も強いため、時には自分より大きな体をした犬に向かっていくこともあります。
一方、甘えん坊で愛らしい部分もあり、飼い主さんと一緒にいることを好みます。一度覚えたことは忘れない賢さを持ち合わせているため、主従関係を築くことができれば飼い主さんの指示にきちんと従うものの、甘やかしてしまうと吠え癖や噛み癖がついてしまうため注意が必要です。
ヨークシャー・テリアは飼い主さんの接し方次第で非常に飼いやすくも、ワガママにもなる犬種です。そこでここからは、ヨークシャー・テリアの飼い方のポイントをご紹介します。
体の小さなヨークシャー・テリアですが、毎日のお散歩は必要です。1日2回、あし腰に負担がかからない5~15分程度のお散歩を心がけましょう。ただし、運動量には個体差もあるため、いたずらや粗相などの問題行動が目立つ場合には散歩の時間を少し長くしてみるなどの調整も必要です。
体を動かすことは大好きですが、気温の変化には弱い犬種です。夏場の暑い時間帯には散歩を避け、室内遊びを行いましょう。冬場のお出かけには上着を一枚着せてあげるといいでしょう。
テリア種の犬は警戒心が強く吠えやすい性質をもつため、きちんとしつけを行わないと吠え癖がついてしまいます。生後1カ月~3カ月頃の社会化期には積極的にほかの犬や人、さまざまな音に触れさせるようにしましょう。
賢い犬種であるヨークシャー・テリアは、上下関係にも敏感です。飼い主さんがリーダーであることを認識させるためにも、叱らなければならない場面ではアイコンタクトを使うなど厳格な態度を、褒めるべき場面ではしっかり褒めることを意識しましょう。
ヨークシャー・テリアの被毛はシングルコートのため、抜け毛が少なく、比較的お手入れもしやすい犬種です。カットによって表情の変化も楽しめるため、飼い主さんの好みや個体に合わせたカットを試してみましょう。
ただし、ロングにしていると毛がからまってしまい、毛玉ができたり皮膚炎を引き起こしたりする可能性があります。ヨークシャー・テリア独特の美しい被毛を保つためにも、ピンブラシとコームを使って毎日ブラッシングを行い、月に1回を目安にトリミングも行うといいでしょう。
ヨークシャー・テリアは小型犬の中でも長寿になる傾向がある犬種ですが、病気やケガに無縁というわけではありません。ヨークシャー・テリアに合ったペット保険を選ぶためにも、ヨークシャー・テリアがかかりやすい病気やケガについて知っておくことは大切です。
ここからはヨークシャー・テリアがかかりやすい病気やケガについて解説します。
体が完全に出来上がっていない子犬期は、ちょっとした環境の変化やアクシデントによって病気やケガをすることがあります。特にヨークシャー・テリアの子犬期には、以下の病気・ケガが多くみられます。
それぞれの病気・ケガについて詳しく解説します。
生後3カ月~4カ月頃までの子犬は消化器が未発達なため下痢や軟便になりやすく、その原因はフードの食べ過ぎや環境の変化からくるストレス、寒さや寄生虫、ウイルスによるものなどさまざまです。
食事による下痢や軟便は特に多いため、軟便や下痢になった場合にはフードの量や内容に変化がなかったかを確認しましょう。食事に変化がないにもかかわらず軟便や下痢が続く場合には、病院を受診することをおすすめします。
嘔吐した場合はしばらく様子を観察し、元気であれば心配しすぎる必要はありません。ただし、激しい嘔吐や繰り返しの嘔吐がある場合や下痢を伴っている場合には早めに病院を受診しましょう。
特に好奇心が旺盛な子犬期は異物誤飲をするケースが少なくありません。明らかに異物誤飲をしてしまったと分かる場合には病院に相談をしましょう。病院を受診する際、同じものがある場合は実物を持参し、嘔吐物がある場合にも可能であれば持参します。
異物誤飲は、飼い主さんが注意することで防げることもあります。室内ではゴミ箱を漁らないようにフタ付きのものに変える、一人遊びをさせない、危険物は高い場所に置くなどの対策が可能です。また、お散歩コースでは誤飲する可能性があるものには近づかないようにし、犬から目を離さないことも大切です。
体を動かすことが好きなヨークシャー・テリアですが、ヨークシャー・テリアは膝(ひざ)の関節が弱いため、膝のお皿の骨が正常な位置からずれてしまう膝蓋骨脱臼(パテラ)になることがよくあります。
膝蓋骨脱臼の症状は膝蓋骨の脱臼の程度によって異なり、ほとんど症状が認められないことも珍しくありません。スキップしたり、後ろあしがつけなくなる、腰を落とした状態で歩くなどの症状がみられるときは膝蓋骨脱臼の可能性があります。
ほとんど症状が認められない場合や、手術ができない場合は鎮痛剤や運動の制限などの保存療法を行い、歩行の異常や痛みがあったり、根本的な治療を希望したりする場合は外科手術を行うのが一般的です。
犬は前あしから着地をするため前あしに負荷がかかりやすく、骨折も後ろあしより前あしに多くみられます。前あしは2本の骨から成っていますが、小型犬の場合、骨1本の太さは2~5mm程度と非常に細く、衝撃に耐えられずに骨折してしまうのです。
抱っこを嫌がる、歩こうとしない、体の一部が腫れて熱を持っているといった場合には骨折が疑われるため、すぐに病院を受診しましょう。骨折の治療ではギプスによる固定のほか、手術や入院をすることも多く、完治までは平均2カ月~3カ月程度、長い場合には半年以上かかることもあります。場合によっては、プレートで骨を固定する手術とプレートを抜く手術の2回の手術が必要になる場合もあります。
成犬になり体がしっかりと出来上がってからも病気やケガをすることがあります。特にヨークシャー・テリアの成犬期には、以下の病気・ケガが多くみられます。
ここからは、これらの病気・ケガについて詳しく解説します。
歯周病は歯の周辺組織の炎症の総称で、歯肉炎が進行すると歯周炎や歯槽膿漏となります。歯周病は口腔内の症状だけではなく、鼻炎や心臓病、腎臓病などを引き起こす可能性もあるものです。
歯周病の症状は口臭や歯茎の腫れ、出血など。症状が悪化すると歯が抜け落ちてしまったり、頬から膿が出てしまったりすることもあります。また、歯周病菌が下顎の骨を溶かし骨折してしまうこともあります。
治療法には歯垢や歯石の除去、抜歯、投薬などがあり、歯垢や歯石の除去、抜歯はいずれも全身麻酔で処置が行われるのがほとんどです。
腎不全は腎臓が障害によって十分に機能しなくなる状態のことをいい、犬の腎不全は大きく急性腎不全と慢性腎不全に分かれます。
急性腎不全は数時間~数日で急激に腎機能が低下し、原因は中毒や感染症、心疾患や熱中症による血流低下、尿路結石や膀胱破裂などが挙げられます。一方、慢性腎不全は数カ月~数年かけて腎機能が低下するもので、原因は老化や悪性腫瘍、食生活の偏りなどさまざまです。
急性腎不全は食欲不振や尿量の減少といった初期症状から始まり、末期になると意識障害やけいれんなどがみられ、死に至ることもあります。慢性腎不全の場合、初期症状はあまりみられませんが、慢性腎不全と診断された場合の余命は1年半~2年程度といわれています。
椎間板ヘルニアは、背骨と背骨の間でクッションの役割をしている椎間板と呼ばれる軟骨が何らかの原因により飛び出し、脊髄(神経)を圧迫する病気です。
椎間板ヘルニアの症状は圧迫される神経の場所や程度によってさまざまです。痛みだけがみられることもあれば、症状が重くなるにつれ、足のふらつきや排尿障害といった麻痺が起こることもあります。
治療法も症状によって異なり、ステロイドや非ステロイド性消炎鎮痛剤による内科的治療、手術による外科的治療、手術後のリハビリ方法などがあります。
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犬の心臓病の中でも最も一般的な病気といわれる僧帽弁閉鎖不全症は、僧帽弁(そうぼうべん)と呼ばれる心臓の左心房と左心室とを仕切る弁が変形することで起こります。
初期の段階では目立った症状はみられず、少し疲れやすくなり、遊ぶ時間が短くなる程度のことがほとんどです。しかし、病状が進行すると肺水腫を発症し、寝る時間が増えたり、舌の色が紫がかるチアノーゼという症状がみられたりするようになります。咳が増えるなどの呼吸器疾患の症状もみられます。
僧帽弁閉鎖不全症の治療はほとんどの場合が内服薬の投与で、根本的な治療ではありません。心臓の動きを助けたり、症状を和らげる効果のある薬を生涯を通じて服用することになります。ただし、大学病院や二次診療施設では外科手術が可能なケースもあります。
ヨークシャー・テリアの場合、7歳を過ぎたあたりから老齢性の白内障の症状がみられることがあります。白内障は水晶体と呼ばれる眼球のレンズにあたる部分が白く濁って、視力が低下する病気です。
白内障は初期段階では視力への影響がほとんどなく、見た目で気づくこともほぼありません。しかし、症状が進行すると視力が低下することによって、ジャンプができなくなる、物にぶつかる、段差につまずく、散歩に行きたがらないなどの症状がみられるようになります。
白内障は、初期段階であれば点眼薬や内服薬による治療が可能ですが、あくまでも進行を遅らせるためのものであり、根本的な治療ではありません。再び視力を回復させるためには眼科専門の動物病院での手術が必要です。
ヨークシャー・テリアが万が一病気やケガをした場合、その治療費はどれくらい必要になるのでしょうか。
ここからは、ヨークシャー・テリアが病気やケガをした場合の治療費の事例をご紹介します(ペット&ファミリー損保の請求事例より)。
年齢:10歳
性別:男の子
治療内容:僧帽弁閉鎖不全症と肺水腫で9日間の入院治療を行いました。
入院9日間
治療費 | 39万0,882円 |
ペット&ファミリー損保のペット保険、「げんきナンバーわんスリム プラン70」に加入していた場合、自己負担額例は以下の通りです。
お支払い保険金 | 24万2,117円 |
自己負担額 | 14万8,765円 |