旅行や動物病院へ行くときなど、犬と一緒に電車やバスのような公共交通機関を利用する機会もあると思います。その際、普段とは違う環境から、愛犬が大人しくしてくれないこともしばしば。犬と一緒に公共交通機関を利用する際、飼い主さんが気をつけておきたいルールとマナー、乗る前の準備、心構えについてお話します。
もくじ
動物と一緒に公共交通機関を利用する際のルールは、各機関によって異なります。事前に確認した上で利用しましょう。また、動物が苦手な人やアレルギーを持っている人もいるため、乗車中はケースから出さないような配慮も必要です。
ここでは、JR東日本、都営バスを例にご紹介します(2022年11月時点)。
犬や猫は、手回り品として、以下のような条件のもと、新幹線を含む電車内、駅に連れていくことが出来ます。ただし、他のお客さんに迷惑がかかるような状況がある場合は、この限りではありません。
※ペットカート:カートとケースを分離して、ケースが制限の範囲内であれば持ち込むことができます。
詳しくはJR東日本のホームページをご確認ください。
JR東日本「手回り品」(閲覧日2022/11/9)
JR東日本「車内設備・サービス内のQ&A」(閲覧日2022/11/9)
動物の持ち込みは原則不可となっていますが、ペットなどの愛玩用小動物は以下の条件を満たしていれば連れていくことができます。
ただし、ペットカートのまま持ち込むことはできません。
詳しくは東京都交通局のホームページをご確認ください。
東京都交通局「お手回り品について」(閲覧日2022/11/9)
ペットとは異なり、「身体障害者補助犬法」に基づき認定された身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)については、基本的に公共交通機関を利用できます。
しかしペットの場合、JR東日本も都営バスも10kgを超えると手回り品としての持ち込みは不可となっています。大型犬でも子犬であれば乗車できますが、成犬になると公共交通機関の利用は難しくなるため注意しましょう。
大型犬と一緒に出掛ける際は、車の利用を基本に考えることをおすすめします。
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乗り物に乗りなれていない犬にとって、自由に動き回れず、聞き慣れない音や揺れ、人混みにさらされる電車やバスは非常にストレスがかかります。最初から長時間の利用は難しいので、段階を追って乗り物に慣らしていきましょう。
クレートに入ったことがない犬にとっては、狭いところで大人しくすること自体が難しい場合もあります。普段から目に入る場所にクレートを置いておき、クレートに慣れるところから始めましょう。
クレートに入ることが嫌にならないよう、クレートの中でご褒美を与えたり、寝かせたりすることを繰り返してみるとよいでしょう。
クレートに入ることに慣れたら、動くことにも慣らしていきましょう。まずは、愛犬の入ったクレートを飼い主さんが手に持って移動してみます。短い距離からスタートし、室内から室外へと距離を延ばしていきます。
可能であれば、電車やバスが見える場所、音が聞こえる場所まで行ってみましょう。
段階を踏んで練習し、クレートでの移動にある程度慣れたとしても、聞いたことのない音や振動、人混みによって、犬が大騒ぎすることもあります。
初めて公共交通機関を利用する場合は、周囲に迷惑がかからないよう短時間の乗車に留めましょう。
公共交通機関を利用する当日にも準備が必要です。
慣れていない犬の場合は、緊張で失禁、脱糞をしてしまったり、ストレスや振動でもよおしたりすることがあります。移動前に必ずトイレを済ませ、クレート内にはペットシーツを敷いておきましょう。
場合によっては、マナーベルトやおむつを着用させて乗車することも必要です。
食後すぐに移動を始めると、嘔吐する可能性があります。食事直後の移動は控えましょう。
慣れない場所でもできるだけ落ち着けるよう、愛犬が好きなおやつや水を用意しておきましょう。ただ、おやつを食べさせすぎると嘔吐する可能性があるため、加減して与えてください。
短時間の移動であっても、暑さ寒さで体調を崩す恐れがあります。直接犬に接触しないように、保冷剤やカイロなどを利用して車内や室内の温度と外気の温度差に注意し、適切な温度を保ちましょう。
電車やバスには、動物が苦手な人やアレルギーがある人も乗車しています。都営バスのように、「完全な容器に収容されている」といったルールが設けられていなくても、クレートから犬が顔やあしを出さないよう注意しましょう。
乗車時に犬が騒ぎ出した場合は、クレートの扉を開けたり外に出して抱っこしたりするのは控え、一度電車を降りるなどの配慮が必要です。万が一に備え、混雑時の利用を控えるのもよいでしょう。
乗り物酔いをするかどうかは、犬によって差があります。移動中~移動後に、次の様子が見られたら犬が乗り物酔いをしているかもしれません。
もし、乗り物酔いと考えられる症状がみられた場合は、休憩をしながら移動するようにしましょう。さらに、次回の移動に備え、動物病院で相談をしてみてください。
乗り物酔いをするかどうか判断できない場合は、犬の様子を見ながら徐々に移動距離、移動時間を延ばしていくと安心です。
人にとって電車やバスに乗ることは、たいしたことではありません。しかし、初めて公共交通機関を利用する犬にとっては、ストレスや恐怖を感じる可能性があります。
飼い主さんも犬も、そして周囲の人たちも快適に公共交通機関を利用できるよう、乗車ルールを守り、交通機関での移動に愛犬をゆっくり慣らしていきましょう。