犬は人と同じように熱中症にかかります。特に、マルチーズのような鼻の短い短頭種は体温調節が苦手なため、気温が高い季節は体調を崩しやすくなります。熱中症は悪化すると愛犬の命をおびやかす病気です。重症化すると治療費は10万円を超えることもあります。もしもの時に慌てないために、飼い主さんは熱中症への理解と対策を万全にしておきましょう。
もくじ
熱中症は、高温環境で体温が急激に上がり、体温調節ができなくなることで起こります。
暑さを感じると人は汗をかくことで体温調節を行いますが、犬は汗腺がほとんどなく「ハァハァ」という呼吸(パンディング)で熱を逃がすしかありません。
全身から汗で気化熱を放出できる人とは異なり、犬は体温調節を効率よく行えないため熱中症になりやすくなるのです。
特にマルチーズをはじめとする鼻の短い短頭種は、鼻や口腔の構造上パンティングが苦手です。空気を冷やす役割のある鼻が小さく、口腔内の空気の通り道も狭いため、呼吸効率が著しく悪いのです。
小さな体であることもマルチーズが熱中症になりやすい一因です。体高が低い分、地面との距離が近く放射熱を受けやすくなります。
また、次に挙げる特徴を持った犬も熱中症になりやすいです。マルチーズが下記の条件にもあてはまる場合は、熱中症のリスクがより高いため注意が必要です。
子犬も高齢の犬も呼吸機能がうまく働かず、体温調節ができない可能性があります。子犬は呼吸機能が未発達であり、シニア犬は呼吸機能が衰えているためです。
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肥満ぎみの犬は、体についた脂肪によって熱をためこみます。とりわけ首周りに脂肪が多い場合は呼吸器が機能しにくくなり、体温調節をさまたげます。
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心臓病や呼吸器疾患のある犬は、血液などの巡りが悪く水分不足になることで熱中症を引き起こしやすくなります。
特にマルチーズは老化すると、僧帽弁閉鎖不全症と呼ばれる心臓病になるケースが多く見られます。病気になってしまった場合は、熱中症対策にも気を配りましょう。
熱中症の症状はさまざまあり、一目で熱中症だと見分けるのが難しいこともあります。いち早く変化に気づき対応ができるよう、症状の事例をしっかりチェックしておきましょう。
熱中症の初期症状として、次のものが挙げられます。
これらの症状が見られたら、日陰に移動して体を冷やし、うちわなどで仰いで重症化を防ぎましょう。ちょっとした違いを見逃さないよう、普段から愛犬の様子をチェックしてあげてください。
暑い環境にいて次の症状があらわれた場合、熱中症が進行している可能性があります。
このような症状が見られたら、涼しい場所でワキや首元など太い血管のあつまる部分を冷やしつつ、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
愛犬に熱中症の症状が見られたときの対処法や治療法について、詳しくはこちらをご覧ください。
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熱中症予防として、次の点を心がけましょう。
暑い季節は、愛犬を暑い環境にさらさないことが大切です。
マルチーズは人懐こい性格で、運動量はそれほど多くありません。室内で飼い主さんと過ごすことが多い犬種のため、飼い主さんは屋内での熱中症に十分注意しましょう。
暑い時期にマルチーズを留守番させるときは、冷房はつけっぱなしにしておきます。エアコンは、スマホ等で外出先からも遠隔操作できるようにしておくと安心です。お部屋の冷やしすぎも体調不良の一因になるため、適温管理を心がけましょう。
マルチーズは定期的なカットが必要な犬種です。被毛はお手入れをしないと長く伸びるため、夏場はサマーカットで短く整えても問題ありません。ただし、被毛は短く切り過ぎないようにしましょう。
被毛は地肌を直射日光から守る役割があり、短ければ涼しいというものではありません。極端に短くカットしなくても、被毛の量を調節したり、お腹や脇の下などを部分的にカットしたりするだけでも体感温度は下げられます。
サマーカットはマルチーズの体に配慮しながら行いましょう。
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熱中症は、早期発見し症状が軽い段階で適切な処置ができるかどうかで治療内容や治療費にも大きな差が出ます。ここでは、短頭種の小型犬、マルチーズとシー・ズーの熱中症の治療費の事例を紹介します。(ペット&ファミリー損保の請求事例より)
7月に熱中症になり血液検査、注射、点滴等の治療を行った。
通院4日間
治療総額 | 9万1,751円 |
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