猫の足の裏に存在する魅惑の肉球。人の足の裏の構造とは明らかに異なる作りをしています。なんとも可愛らしい見た目と、人を夢中にさせる感触や匂い、なぜ猫の足の裏に肉球が存在しているのでしょうか?今回は肉球の秘密をいくつか紹介したいと思います。
もくじ
猫のあしにある小さなぷにぷにを「肉球」といいますが、実は次のような正式名称があることをご存知でしょうか。
人の手でいえば、手のひら指の付け根くらいの位置が掌珠、指先が指球、掌の下半分が手根球にあたります。猫はつま先立ちをしているような姿勢なので手根球は通常床とは接地しません。
人の足の裏で考えると、指先が趾球、背伸びして地面についている指の根元あたりが足底球になります。人間はかかとをつけますが、猫はかかとを地面につけません。また、手根球にあたるものは、後ろあしにはありません。
肉球は触ると最高に気持ちよくぷにぷにとしています。猫は高い所から着地する際に、この肉球と体全体をバネのように使ってうまく衝撃を逃していると考えられています。
また、歩行の際には柔らかな肉球のおかげで足音を立てずに歩くことができ、ハンターとして獲物を捉える際に、足音を立てずに忍者のように接近できるといわれています。
肉球は毛に覆われていないために、地面に触れる最初の感覚器となります。道を歩く上で危険性がないのか、尖ったものはないのか、熱くないのか、冷たくないのかをいち早く探ることができます。
また、手でちょいちょいと触れて、その物体がどのようなものかを探る働きにも肉球のセンサーを使用していると考えられています。
肉球は猫の体表で数少ない汗をかく場所です。体表には皮脂を分泌する器官が多くありますが、肉球だけは汗腺が発達していて体温調節を助けています。つまり、猫の体温調節は足裏の狭い範囲と呼吸によって行われているのです。
これは、猫は極端な体温調整が苦手で、暑すぎる環境が得意でない理由にもなります。
汗をかいて肉球を湿らせることにより、地面と適度な摩擦を生じさせる滑り止めの役割も担っています。グルーミングをするときはさらに唾液などをつけて、全身を撫でるようにして汚れを落とします。
器用に手先を使う姿はかわいいですね。
毛色を決める遺伝子との関連により、毛色と肉球の色とには次のような関係があるといわれています。
しかし、これらの色が混ざり合う場合もあり、肉球の魅力は無限に存在するといっても過言ではありません。肉球の色が性格にも関係しているという説もあるため、興味があれば調べてみるとよいでしょう。
日常生活できちんと役割をもっている肉球。肉球の間の毛が過剰に伸びていると、危険につながる可能性があります。
といったことがないよう、ときどきチェックして過剰な毛をカットし、必要なケアをしてあげましょう。毛が伸びすぎているのか判断が難しい場合は、ペットショップや動物病院に相談して判断を仰いでください。
肉球が、極端にガサガサしている場合は、病気の可能性もあります。肉球クリームなどでケアをすればすぐに回復するなら問題ないかもしれません。しかし、肉球の異常をみつけたら、一度、獣医師の診察を受けることをおすすめします。
肉球の変化が肝臓の病気のサインであったり、思いもよらない病気が隠れていたりすることもあるため注意しましょう。
普段はピンク色の肉球が真っ白だったり、紫色になっていたりすると、貧血や止血異常のサインかもしれません。
黒や小豆色の肉球では変化を感じにくいですが、日常的なケアや観察により、普段との違いや変化を把握し、病気の早期発見につなげましょう。
猫は基本的に、手先を触られることを得意としない場合が多いです。しつこく匂いを嗅いだり揉みしだいてひっかかれたりしないよう、注意してくださいね。
【参考記事】
【獣医師監修】病院を嫌がる猫のストレス軽減にもつながる!飼い主さんの健康チェックマッサージ
猫の魅力のひとつである可愛らしい肉球には、多くの働きや謎が存在します。また、日常的なケアを通して、肉球の働きを最大限に助けたり、病気の早期発見に繋がったりすることもあります。これを機に、おうちの子のあしの裏を見てみてください。
より良い肉球ライフを応援しております。