【獣医師監修】猫の肉球には大きな役割がある!?ぷにぷに可愛い肉球の秘密を徹底解説
2022.08.02 作成

【獣医師監修】猫の肉球には大きな役割がある!?ぷにぷに可愛い肉球の秘密を徹底解説

獣医師

東 一平

東 一平

猫の足の裏に存在する魅惑の肉球。人の足の裏の構造とは明らかに異なる作りをしています。なんとも可愛らしい見た目と、人を夢中にさせる感触や匂い、なぜ猫の足の裏に肉球が存在しているのでしょうか?今回は肉球の秘密をいくつか紹介したいと思います。

もくじ

    猫の肉球の構造

    【獣医師監修】猫の肉球には大きな役割がある!?ぷにぷに可愛い肉球の秘密を徹底解説
    (Sonsedska Yuliia/shutterstock)

    猫のあしにある小さなぷにぷにを「肉球」といいますが、実は次のような正式名称があることをご存知でしょうか。

    【前あし】

    • 中央の大きな肉球が「掌球(しょうきゅう)」
    • 付随する4つの小さな肉球が「指球(しきゅう)」
    • 手首あたりにあるのが「手根球(しゅこんきゅう)」

    人の手でいえば、手のひら指の付け根くらいの位置が掌珠、指先が指球、掌の下半分が手根球にあたります。猫はつま先立ちをしているような姿勢なので手根球は通常床とは接地しません。

    【後ろあし】

    • 4つの小さな「趾球(しきゅう)」
    • 大きな「足底球(そくていきゅう)」

    人の足の裏で考えると、指先が趾球、背伸びして地面についている指の根元あたりが足底球になります。人間はかかとをつけますが、猫はかかとを地面につけません。また、手根球にあたるものは、後ろあしにはありません。

     

    猫の肉球の役割

    猫の肉球の役割
    (Bogdan Sonjachnyj/shutterstock)

    肉球はクッションである

    肉球は触ると最高に気持ちよくぷにぷにとしています。猫は高い所から着地する際に、この肉球と体全体をバネのように使ってうまく衝撃を逃していると考えられています。

    また、歩行の際には柔らかな肉球のおかげで足音を立てずに歩くことができ、ハンターとして獲物を捉える際に、足音を立てずに忍者のように接近できるといわれています。

    肉球はセンサーである

    肉球は毛に覆われていないために、地面に触れる最初の感覚器となります。道を歩く上で危険性がないのか、尖ったものはないのか、熱くないのか、冷たくないのかをいち早く探ることができます。

    また、手でちょいちょいと触れて、その物体がどのようなものかを探る働きにも肉球のセンサーを使用していると考えられています。

    肉球は体温調整器官である

    肉球は猫の体表で数少ない汗をかく場所です。体表には皮脂を分泌する器官が多くありますが、肉球だけは汗腺が発達していて体温調節を助けています。つまり、猫の体温調節は足裏の狭い範囲と呼吸によって行われているのです。

    これは、猫は極端な体温調整が苦手で、暑すぎる環境が得意でない理由にもなります。

    肉球のその他の機能

    汗をかいて肉球を湿らせることにより、地面と適度な摩擦を生じさせる滑り止めの役割も担っています。グルーミングをするときはさらに唾液などをつけて、全身を撫でるようにして汚れを落とします。

    器用に手先を使う姿はかわいいですね。

    猫の肉球の色と毛色との関係

    猫の肉球の色と毛色との関係
    (Lewis Tse Pui Lung/shutterstock)

    毛色を決める遺伝子との関連により、毛色と肉球の色とには次のような関係があるといわれています。

    • 白っぽい猫はピンクの肉球
    • 黒や茶の猫は黒い肉球
    • 灰色っぽい猫は小豆色っぽい肉球

    しかし、これらの色が混ざり合う場合もあり、肉球の魅力は無限に存在するといっても過言ではありません。肉球の色が性格にも関係しているという説もあるため、興味があれば調べてみるとよいでしょう。

     

    猫の肉球を観察してわかる健康チェック・肉球のケア方法

    猫の肉球を観察してわかる健康チェック・肉球のケア方法
    (Princess_Anmitsu/shutterstock)

    肉球周りの毛が伸びすぎていないか定期的にチェックする

    日常生活できちんと役割をもっている肉球。肉球の間の毛が過剰に伸びていると、危険につながる可能性があります。

    • 滑り止めがうまくいかずに転倒してしまう
    • 滑って落下事故を起こす
    • センサーとしてうまく働かずケガをする
    • 日常生活に支障をきたす

    といったことがないよう、ときどきチェックして過剰な毛をカットし、必要なケアをしてあげましょう。毛が伸びすぎているのか判断が難しい場合は、ペットショップや動物病院に相談して判断を仰いでください。

    肉球がガサガサしていないかチェックする

    肉球が、極端にガサガサしている場合は、病気の可能性もあります。肉球クリームなどでケアをすればすぐに回復するなら問題ないかもしれません。しかし、肉球の異常をみつけたら、一度、獣医師の診察を受けることをおすすめします。

    肉球の変化が肝臓の病気のサインであったり、思いもよらない病気が隠れていたりすることもあるため注意しましょう。

    肉球の色に変化がないかチェックする

    普段はピンク色の肉球が真っ白だったり、紫色になっていたりすると、貧血や止血異常のサインかもしれません。

    黒や小豆色の肉球では変化を感じにくいですが、日常的なケアや観察により、普段との違いや変化を把握し、病気の早期発見につなげましょう。

    猫にふれる際は注意!

    猫は基本的に、手先を触られることを得意としない場合が多いです。しつこく匂いを嗅いだり揉みしだいてひっかかれたりしないよう、注意してくださいね。

    【参考記事】
    【獣医師監修】病院を嫌がる猫のストレス軽減にもつながる!飼い主さんの健康チェックマッサージ

    まとめ

    猫の魅力のひとつである可愛らしい肉球には、多くの働きや謎が存在します。また、日常的なケアを通して、肉球の働きを最大限に助けたり、病気の早期発見に繋がったりすることもあります。これを機に、おうちの子のあしの裏を見てみてください。

    より良い肉球ライフを応援しております。

    著者・監修者

    東 一平

    獣医師

    東 一平

    プロフィール詳細

    所属 株式会社アイエス 代表取締役
    アイエス動物病院(千葉県市川市) 院長

    日本小動物歯科研究会
    日本獣医皮膚科学会
    比較眼科学会
    日本獣医麻酔外科学会

    略歴 1978年 千葉県に生まれる
    1997年 麻布大学 獣医学部獣医学科入学
    2003年 獣医師国家資格取得
    2003年~2004年 アイエス動物病院に勤務
    2004年~2005年 東京都内の動物病院に勤務
    2005年 千葉県市川市のアイエス動物病院の院長に就任

    資格 獣医師免許

    ページトップに戻る