つやのある被毛とスマートな体型が魅力のフラットコーテッド・レトリーバーは、別名「フラッティ」と呼ばれる、明るくフレンドリーな犬種です。知能も運動能力も高く、遊びもスポーツも仕事も上手にこなします。飼い主さんのこともよく見ているので、一緒に過ごせばたくさんの愛情と笑顔をくれるでしょう。ここでは、フラットコーテッド・レトリーバーの性格や特徴、歴史、飼い方について解説します。
もくじ
陽気で活動的なフラットコーテッド・レトリーバーは、家族の一員としてさまざまなことを一緒に楽しめる犬です。まずは魅力あふれるフラットコーテッド・レトリーバーの特徴や性格、歴史について紹介します。
スマートな体と滑らかな被毛がフラットコーテッド・レトリーバーの特徴です。ゴールデン・レトリーバーとも似ていますが、よく見ると体型、顔立ちに違いがあり、ゴールデン・レトリーバーよりも全体的に細身で、顔はマズルが長く頭から鼻先までの曲線がなだらかです。
瞳はアーモンド型で垂れ耳、鼻は大きく、しっぽは短く垂れています。胸元や足、お尻、しっぽは他の部分よりも豊かな飾り毛が美しい印象です。
フラットコーテッド・レトリーバーの体高は、オスが59〜61.5cmで、メスは一回り小さく56.5〜59cmです。体重はオスが27~36kg、メスが25〜32kgで、大型犬としてはやや細身ですが、程よい筋肉がついたスポーティーな体型をしています。
※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さ
毛色はブラックまたは濃い赤褐色のレバーのみが認められています。被毛は艶やかで美しく、耐水性に優れています。
フラットコーテッド・レトリーバーは、明るく甘えん坊でフレンドリーな性格をしています。
愛情深く、常に飼い主さんや周りの様子を見ているため、大人から子どもまで仲良く遊ぶことができます。協調性も高いので小さな子どものいる家庭や多頭飼いにも向いているといえるでしょう。
一方で、甘えん坊が過ぎると、飼い主さんとの分離不安からいたずらや無駄吠えを引き起こします。本来は知性が高く、忍耐強く賢い犬種なので、小さい時からしっかりとしつけを行い、信頼関係を築くことが大切です。
フラットコーテッド・レトリーバーは1800年代にイギリスに存在したウェービーコーテッド・レトリーバーが祖先だと言われています。
当時のレトリーバーは現在のように細分化されておらず、カーリーコーテッド、ウェービーコーテッド、スムースコーテッドという毛並みによってのみ区別されていました。
1860年にはセッターと交配されたフラットコーテッド・レトリーバーの原型のような犬が展示会に参加。当初はさほど人気がなかったようですが、嗅覚が優れていたことから猟犬として採用され、獲物の回収をする犬として改良が繰り返されたことで現在の姿になりました。
フラットコーテッド・レトリーバーと上手に暮らすための、飼い方のポイントについて解説します。
楽観的で明るいフラットコーテッド・レトリーバー。しつけが難しい犬種ではありませんが、運動能力が高く、調子に乗っていたずらをしてしまうこともあります。
また、フラットコーテッド・レトリーバーは猟犬として仕事をしていたほど、学習能力が高く賢い犬種です。明るく好奇心旺盛な性格から、長時間の真面目な訓練はあまり得意ではありません。
しつけにはボール投げや引っ張りっこなどをとりいれ、エネルギーを発散しながら楽しんで覚えられるよう工夫しましょう。できないことを感情的に叱るよりは、できることを明るく褒めるようにすると前向きに取り組みます。
ダメな時はタイミングよく短くしかり、ネチネチと責めないようすることが大切です。また、社会化のしつけには子犬の頃から取り組み、興奮しすぎないようにコントロールしていきましょう。
活動的なフラットコーテッド・レトリーバーは、運動神経も良く運動量が豊富な犬種です。
家庭で飼う場合には朝晩の2回、各1時間程度の散歩が理想的です。平坦な道を歩くだけでなく、階段や斜面などのアップダウンを利用したり、早足で歩くなどの工夫をしたりするとよいでしょう。
また、ドッグランなどを利用し、自由に思う存分走り回れる時間を作るのもおすすめです。
フラットコーテッド・レトリーバーは、足首や股関節にトラブルが起こりやすい犬種です。クッションフロアや絨毯(じゅうたん)を敷くなど、滑りにくい環境を整えることが大切です。
大きな段差はなるべく避け、ステップやスロープを利用する、寝る場所にはクッション性が高いクッションやベッドを用意し、ゆったりと過ごせるような工夫をするのもよいでしょう。
フラットコーテッド・レトリーバーの美しい被毛をキープするためには、こまめなブラッシングが必要です。特に換毛期には入念にケアをし、アンダーコートを取り除くようにしましょう。
また、お散歩や運動の後はブラッシングをおこない、絞ったタオルで体を拭くと清潔を保つことができます。
フラットコーテッド・レトリーバーの平均寿命は10〜12歳程度です。
飼い主さんが健康状態に注意し、適切に管理することで寿命は変化するともいわれています。日頃から食事の量や運動量、表情や行動などよく観察し、おかしいなと感じることがあればできるだけ早く獣医に相談するように心がけましょう。
フラットコーテッド・レトリーバーの注意しておきたい病気について紹介します。
大型犬に多い病気で、大量のガスによって胃が拡張したり、ねじれたりする病気です。症状がひどければ胃の周りの血管を圧迫するため、重篤な症状を引き起こします。
落ち着きがなくなった、吐こうとしても吐けない、大量のよだれなどの症状があらわれたら胃拡張・胃捻転を疑ってみましょう。またこの病気は緊急を要することがあるため、怪しいと思ったらすぐに動物病院へ連絡してください。
悪性腫瘍は、臓器や組織の細胞が異常に増殖する恐ろしい病気です。放置しておくと増殖を続け、組織を破壊し他の組織に転移してしまうので、しこりなどの気になる症状が見られたらすぐ病院へ行きましょう。
糖尿病は、糖をうまく取り込めなくなることで高血糖を引き起こす病気です。初期には尿量が多くなり、水をよく飲むようになります。同時に白内障を発症することも多いため、白内障になったら同時に糖尿病にも注目しましょう。
股関節形成不全は股関節がうまく発育せず、関節に異常を起こす病気です。足を引きずって歩く、腰を左右に振って歩く、つまずく、運動を嫌がるなどの様子が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。
フラットコーテッド・レトリーバーの生体価格は30~45万円ほど(2022年5月時点)。ただし、犬の値段は毛色や血統の良し悪しで変動します。
フラットコーテッド・レトリーバーを迎える方法、費用について具体的に紹介していきます。
ペットショップでフラットコーテッド・レトリーバーを取り扱っているケースはあまりありません。迎え入れる際は、ブリーダーを利用することになるでしょう。
ブリーダーは、全国各地に存在する犬の繁殖を専門とする人のこと。犬種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから犬を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。犬の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。
また、実際に親犬の様子を事前に確認することができるため、成犬時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない犬、飼い主さんがいない犬を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。
ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況の確認しなければならないケースもあります。
また、フラットコーテッド・レトリーバーは数が少ない上、人気犬種なのでいつでも出会えるとは限らないでしょう。
犬を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。約4~5万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・ドッグフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・トイレシーツ
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
・リード
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、犬が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
【関連リンク】
犬を迎える前に準備しておきたいもの
犬を迎える前に整えておきたい室内のポイント
犬をペットとして迎える時の心構え
役所への登録料やワクチン接種・健康診断の費用として2万~3万円ほどがかかります。
大型犬の平均的な飼育費用は、1カ月あたり2万~4万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で5,000~1万2,000円ほどかかります。
トイレシーツなどの日用品が1カ月で5,000~1万4,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、大型犬の場合1回1万円以上かかるでしょう。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で4~6万円ほど必要でしょう。1カ月にすると4,000円程度です。
初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。
ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、大型犬の1ヶ月の保険料は2,300~5,900円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
*参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
*犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。