愛猫が脱走してしまった!慌てている飼い主さんのために、探し方や注意点を解説します。また、猫が自分の力で帰ってきたとしても、脱走したことによるリスクがつきまといます。脱走した猫が戻ってきたときの対処法、脱走させないためのポイントについても説明します。
もくじ
人が出入りしている瞬間にドアをすり抜けたり、網戸を勝手に開けて知らない間に自宅から出て行ってしまったりと、猫はスルっと脱走してしまうことがあります。猫が脱走した時は、次の手順で探しましょう。
目の前で脱走した猫を、飼い主さんが慌てて追うと、猫も慌てて逃げることがあります。猫も人も自宅の目の前で交通事故に遭ってしまうことがないよう、まずは落ち着くことが大切です。
猫が脱走してからあまり時間が経過していない場合は、まだ自宅の近くにいる可能性があります。猫は1日に半径数百メートル程度までしか移動しないといわれています。まずは、自宅のすぐ近くを探してみましょう。
普段室内で暮らしている猫の場合、外の物音に驚いて、暗くて狭い場所に逃げ込むことがあります。家と家の間のような狭い隙間、車の下や生垣の中など、人目がつきにくい場所に隠れていることもあるため、念入りに探してみてください。
フレンドリーな猫の場合は、通行人が保護して交番に預けられていることもあります。猫が脱走したら、近くの交番へ届け出てみましょう。
「マイクロチップを装着していれば、連絡をもらえるのでは?」と思うかもしれませんが、交番にはマイクロチップを読み取るマイクロチップリーダーがありません。保護されてすぐに飼い主さんのところに連絡がくることはないと考えてください。
脱走して交番へ預けられた猫が、保健所や動物愛護センターへ収容されていることもあります。この場合、マイクロチップを装着していたり、首輪に飼い主さんの情報が載っていたりすれば、すぐに連絡がくるでしょう。
しかし、そういった情報をつけていない場合は、猫の特徴を伝え、連絡を待つ必要があります。
猫を保護した通行人が、交番ではなく動物病院へ預けている場合もあります。近くの動物病院やかかりつけの動物病院にも連絡を入れておきましょう。
動物病院の多くは、マイクロチップリーダーをもっているため、ここでもマイクロチップは活躍してくれます。
猫の写真ともに特徴を記載し、Twitter、Instagram、FacebookといったSNSに投稿することで、愛猫が迷子になっていることを多くの人にアナウンスできます。愛猫の全身が写っていて特徴がわかりやすい写真を選び、「#(ハッシュタグ)」に地域名などをつけるとよいでしょう。
ただし、思わぬトラブルや危険に巻き込まれないよう、個人情報をどこまで開示するかはしっかり検討してください。
張り紙やチラシ配りも有効です。動物病院やスーパーなど、人が集まりやすく目につきやすいお店に協力を依頼しましょう。SNS同様に、張り紙・チラシも不特定多数に個人情報をさらすこととなります。掲載する情報は慎重に選んでください。
また、張り紙やチラシ配りをしたからといってすぐに見つかるとは限りません。雨風や日焼けで簡単に色が落ち、見えなくなってしまうことがないよう、耐水性・日焼けしにくい材質のもので張り紙やチラシを作成することをおすすめします。
猫が見つかった場合は、協力してくれた場所の管理者に連絡を入れ、速やかに張り紙やチラシを回収しましょう。
ペットの捜索を専門としている業者もいます。飼い主さんだけでは探しきれない、人手が足らないといった場合は、プロの手を借りて捜索するのも選択肢のひとつかもしれません。
猫の脱走には次のようなリスクがあります。平然と帰ってきた場合でも、一度動物病院を受診することをおすすめします。
動物病院では、交通事故で運ばれてくる猫が後を絶ちません。命を落とす危険や、ぶつかった車が破損して損害賠償請求をされる可能性もあります。見た目では元気そうに見えても、迷子になっている間にどんなことが起きていたかは猫にしか分かりません。
迷子になってほかの猫とけんかし、咬傷、裂傷を負うこともあります。FIV(猫エイズ、猫後天性免疫不全症候群)やFeLV(猫白血病ウイルス感染症)など、命にかかわる病気につながるケースもあるため注意が必要です。
多頭飼いの場合は、ほかの子にも感染させてしまわないよう、帰宅したら検査を受けるまで隔離するようにしましょう。
空腹で、食べ物以外のものを口にしている可能性もあります。帰ってきたときの食欲や排便状態に注意しましょう。
コクシジウムや回虫などの寄生虫に感染するケースもあります。帰宅後すぐに下痢などの症状が出ることもあれば、時間がたってから症状が出る場合もあるため、注意が必要です。動物病院での便検査や駆虫が望まれます。
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ノミやダニに感染する可能性があります。外部寄生虫は、感染すると猫がかゆいだけでなく、人に害を及ぼすこともあります。SFTS(重症熱性血小板減少症候群)にかかっていれば、人の命にもかかわるため注意してください。
猫の体にマダニが見つかったら、飼い主さんはすぐに手を洗い、その後は猫を素手で触ることはせず、すぐにそのまま動物病院へ受診してください。
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万が一脱走しても速やかに見つけられるよう、次のような対応をとっておくとよいでしょう。
脱走した猫が確実に戻ってくる方法として、マイクロチップが挙げられます。2022年6月より新しく販売される犬や猫のマイクロチップの装着が義務化されます。
すでに飼い主さんの元で暮らしている犬猫の場合は努力義務となりますが、迷子や震災などで保護された際に戻ってくる可能性が上がるので、この機会に検討してはいかがでしょうか。
またマイクロチップを入れたものの、登録情報が古くて連絡が来ないということがないよう、引っ越しやスマホの買い替えなどで連絡先が変わった場合は、必ず登録情報を更新してください。
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首輪に連絡先を載せるのも一つの方法です。しかし、
といった理由から、首輪だけでは連絡がこないこともあります。
バッテリーや重さの問題はあるものの、市販されているGPSつきの首輪を利用するのもよいかもしれません。
そもそも脱走させないために対策を講じておくことも大切です。
といった基本的な対処法も忘れずに行いましょう。
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室内飼いの猫を一度でも外に出すと、どんどん出たがるようになります。外に出ること(出すこと)はメリットよりもはるかにデメリットが多いため、なし崩し的に外と中を行き来するような生活になってしまうことがないよう注意しましょう。
「猫が出たがっているから」
「猫が勝手に出て行ってしまうから」
「外に出られないのはかわいそうだから」
など理由をつけて外に出ることを許している飼い主さんもいます。しかし、飼い主さんも猫も健康で安全な生活をするため、外に出さないようにする努力を積極的に行いましょう。
万が一にも脱走した場合には、落ち着いて行動できるよう心得ておくことが大切です。