オールド・イングリッシュ・シープドックは、大きな体にもふもふの毛がトレードマーク。牧羊犬として活躍してきた賢い犬ですが、ミュージカル「アニー」に出演したことで一躍人気が高まりました。愛らしい姿と優しい性格はコンパニオンドックにもぴったりで、アメリカでは家族の一員として子守を任されることがあるほどに信頼されています。オールド・イングリッシュ・シープドッグの性格や特徴、歴史、飼い方について解説します。
もくじ
オールドイングリッシュシープドックは、目が隠れるほどふわふわの毛が魅力的です。まずは、オールド・イングリッシュ・シープドッグの特徴や性格、歴史について紹介します。
オールド・イングリッシュ・シープドッグは、お尻が肩よりも張った洋梨のような体型が特徴です。頭部は大きく、ぬいぐるみのような毛に隠されていますが、目の色は濃いほうがよいとされます。
しっぽはもともと短い「ボブテイル」もしくは、断尾されてきた歴史があります。しかし、近年は動物愛護意識の高まりから断尾されないことも増えてきました。吠え声が高く特徴的で、側対歩という独特の歩き方をします。
オールド・イングリッシュ・シープドッグの体高は、オスが56〜61cm、メスは一回り小さく51〜56cmが理想的とされています。体重はオスが32〜45 kg、メスは27〜36 kgで、頑丈で均整が取れています。
全身が筋肉質でがっしりとした体をしており、体長と体高がほぼ同じのスクエアな体型です。
※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さ
硬めのオーバーコートはグレー、黒にグレーやレッドが混じったグリズル、青みがかったグレーであるブルー、黒にブルーやグレーなどが線状あるいは斑点状を帯びるブルーマールで、胸や頭、手足や下腹部にホワイトの斑が入ることもあります。
オールド・イングリッシュ・シープドッグは人懐っこく、穏やかな性格が魅力。遊ぶことが大好きで、ヤンチャな一面が顔を出すこともあるでしょう。
飼い主さんの意図をしっかりと理解できる賢さと社交性をあわせもっており、人や他の動物と一緒に働くことを得意としています。だれともで仲良くなれるので、番犬にはやや不向きですが、攻撃性は少なく、家庭犬として過ごすのにぴったりの犬種です。
オールド・イングリッシュ・シープドッグは、比較的新しい犬種で18世紀後半から19世紀ごろに登場しました。イギリスに土着していた犬や、ベアテッドコリー、ヨーロッパやロシアの犬を交配させたことで誕生したと考えられていますが、はっきりしたことはわかっていません。
シープドックという名の通り、長らく牧羊犬・牧畜犬として活躍してきました。20世紀にアメリカに輸出され、ミュージカル映画「アニー」に登場するなど人気犬種の仲間入りを果たしました。
ぬいぐるみのような姿が世界中で愛され、企業CMやマスコットキャラクターとして多くの人気を集めています。
ここではオールド・イングリッシュ・シープドッグと上手に暮らすための、飼い方のポイントについて解説します。
まるでぬいぐるみのように愛らしいオールド・イングリッシュ・シープドッグですが、元々は牧羊犬として働いていた犬です。賢く、意欲的で穏やかな犬種のため、比較的しつけのしやすい犬種です。
しかし、頑固で警戒心が強い一面もあるため、しっかりとトレーニングを行わなければ問題行動を起こしてしまうことも。大声で怒鳴るのではなく、穏やかに威厳を持って接することが大切です。また、できたことは褒め、愛情をわかりやすく伝えるとしつけがスムーズに進むでしょう。
成犬になれば体も大きく、力も強くなります。事故を防ぐためにも、子犬の頃からしっかりとした社会化トレーニングを行い、飼い主さんとの間に信頼関係を築くことが重要です。
オールド・イングリッシュ・シープドッグは運動量が豊富な犬種です。運動不足になるとストレスを感じるため、1日2回、1回あたり最低30分〜1時間程度の散歩に出かけましょう。
やや太りやすい犬種なので、平坦な道をただ歩くだけでなく、ジョギングをしたり、コースを変えたりと工夫が必要です。また、ドッグランなどでボールやフリスビーで遊んだり、自由に走り回ったりするのもストレス発散によいでしょう。
豊富な毛を持つオールド・イングリッシュ・シープドッグは、暑さが苦手です。室内で飼育する場合でも油断することなく、温度管理に注意し適温を保つよう心がけましょう。
湿度が高くなると、蒸れて皮膚や耳にトラブルが起きやすくなります。温度とともに湿度に合わせたケアも重要です。換毛機だけでなく日常的にブラッシングを行い、余分な毛を取り除くように心がけましょう。
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清潔を保つためには、何よりもこまめな手入れが必要です。ブラッシングはもちろん、目の周りや口の周りは、こまめに拭いて汚れを取り除くことが大切です。
また、顔の毛は伸ばす傾向がありますが、必要以上に伸びている場合にはカットをしたり、リボンやゴムでまとめたりして日常生活の妨げにならないように工夫しましょう。お散歩や排泄の後には、下腹部や四肢もタオルなどで拭くと清潔を保つことができます。
オールド・イングリッシュ・シープドッグの平均寿命は10〜12歳程度。飼い主さんが健康状態に注意し、適切に管理することで寿命は変化するといわれています。
日頃から食事の量や運動量、表情や行動などよく観察し、おかしいなと感じることがあればできるだけ早く獣医に相談するように心がけましょう。
オールド・イングリッシュ・シープドッグの注意しておきたい病気について紹介します。
股関節形成不全は股関節がうまく発育せず、関節に異常を起こす病気です。足を引きずって歩く、腰を左右に振って歩く、つまずく、運動を嫌がるなどの様子が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。
アレルギーによって引き起こされる皮膚炎です。皮膚の強いかゆみが主な症状で、しきりに舐めたり噛んだりするようになります。皮膚に炎症や脱毛が見つかり、かゆがっているようであれば、獣医師の指導のもと食事や生活環境の調整が必要になります。
耳の外耳に炎症が起きる病気です。年齢や犬種問わずに起きる病気で、腫れやジュクジュクとした滲出液(しんしゅつえき)が出てきて、耳が臭ったり、頻繁に耳をかいたりするようになります。症状がひどくなれば、炎症は耳の中の方まで広がり治療が長期化するため、早めの治療が必要です。
加齢にともない起こりやすい目の病気で、水晶体が白く濁って視力が落ちてしまいます。目が白くなる、壁や物にぶつかるようになったら注意が必要です。
オールド・イングリッシュ・シープドッグの生体価格は毛色や血統の良し悪しで変動し、80万円前後(2024年7月時点)の値段が付く場合もあるようです。日本での飼育頭数は非常に少ないので、ブリーダーに尋ねるとともに、根気よく探す必要があるでしょう。
オールド・イングリッシュ・シープドッグを迎える方法、費用について具体的に紹介していきます。
ペットショップでオールド・イングリッシュ・シープドッグを取り扱っているケースはあまりありません。迎え入れる際は、ブリーダーを利用することになるでしょう。
ブリーダーは、全国各地に存在する犬の繁殖を専門とする人のこと。犬種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから犬を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。犬の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。
また、実際に親犬の様子を事前に確認することができるため、成犬時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない犬、飼い主さんがいない犬を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。
ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況の確認しなければならないケースもあります。また、オールド・イングリッシュ・シープドッグは数が少ない上、人気犬種なのでいつでも出会えるとは限りません。
犬を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。約4~5万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・ドッグフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・トイレシーツ
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
・リード
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、犬が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
【関連リンク】
犬を迎える前に準備しておきたいもの
犬を迎える前に整えておきたい室内のポイント
犬をペットとして迎える時の心構え
役所への登録料やワクチン接種・健康診断の費用として2万~3万円ほどがかかります。
大型犬の平均的な飼育費用は、1カ月あたり2万~4万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で5,000~1万2,000円ほどかかります。
トイレシーツなどの日用品が1カ月で5,000~1万4,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、大型犬の場合1回1万円以上かかるでしょう。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で4~6万円ほど必要でしょう。1カ月にすると4,000円程度です。
初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。
ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、大型犬の1ヶ月の保険料は2,300~5,900円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
*参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
*犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。