コーギーといえば、足が短く、丸いお尻が可愛らしいイメージですが「しっぽのない犬」という印象もあるかもしれません。コーギーはみんなしっぽがないのでしょうか。また、しっぽがないというイメージはなぜついたのでしょうか。コーギーのしっぽにまつわるエピソードを、飼い方なども合わせて解説します。
もくじ
ぷりぷりの可愛いお尻がポイントのコーギー。丸いお尻はしっぽがないからこそのチャームポイントです。ではどうしてしっぽがないのか、その歴史から紐解きましょう。
コーギーにはもともと牧羊犬として働いていた時代があります。その頃に大きな家畜に踏まれてケガをしないために、しっぽを切っていました
。その頃の名残でしっぽを切る断尾の習慣が残り、またJKC(ジャパンケネルクラブ)の定める、犬種の基準となる容姿(スタンダード)に断尾した姿が定められていることから、販売時にすでに断尾してあることが当たり前となりました。
病気予防が不確実だった時代背景に「しっぽを切ることが狂犬病を避けるためのまじないになる」といわれていたことも、しっぽを切る習慣の要因となっています。
コーギーと呼ばれる犬種には「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」と「ウェルシュ・コーギー・カーディガン」の2種類がおり、原産国のイギリスでは「カーディガン」が人気です。
カーディガンには長くふさふさしたしっぽがあり、体高よりも長い体長をさらに際立たせる姿をしています。
一方、日本にいるほとんどのコーギーは「ペンブローク」です。ペンブロークには先天的にしっぽの無い「ナチュラルボブ」も存在していますが、しっぽがある状態で生まれるのが一般的。
ところが、早い段階でしっぽを切り、しっぽがない状態でペットショップにいることが多いため、「コーギーはしっぽがない」というイメージをもつ人が多いのです。
現在のコーギーは猟犬や牧場の働く犬ではなく、家庭犬としての役割がメインとなりました。そのため怪我をする心配はなく、しっぽを切る必要もないでしょう。しかし、断尾をした姿がスタンダードに定められているため、販売時にはすでにその姿になっています。
「コギケツ」という言葉が生まれたように、コーギーの可愛いお尻が愛されているのは、しっぽがないことも要因のひとつです。顧客のニーズに応えたかたちなのかもしれません。
海外では、家庭犬に対する断尾や断耳はほとんどしません。これは、動物福祉(アニマルウェルフェア)という考え方が根付いているから。動物福祉においては、動物自身の生活の質(クオリティオブライフ)を高めるため、人が動物に与える苦痛を最小限に抑えることが目的とされています。
ただし、「動物は管理するもの」という考え方もあるため、積極的に去勢・避妊手術や病気予防をする流れがあります。
日本でも、断尾や断耳が避けられる傾向があります。しかしこれは、「かわいそうだから」という動物愛護に基づいた考えによるもの。
どちらであっても「しっぽは切らなくてよい」という結論になりますが、比べてみると日本と海外は少し違う考え方がベースとなっているようです。
コーギーのしっぽを切るのは、生後1週間前後の子犬の頃。この時は獣医師が麻酔なしで切ります。多少は痛みがあるといわれていますが、まだ幼いため痛がる様子はありません。
しっぽを切ることでどのようなメリットが得られるのでしょうか。断尾のメリットとデメリットを解説します。
牧羊犬という古く長い歴史をもつコーギーにとって断尾は、「踏まれてケガをしない」というメリットがありました。
しかし、現在の家庭犬が牧畜に踏まれたり、走り回って枝や草に引っかかってしっぽをケガすることもないでしょう。つまり、断尾をすることにそれほどメリットはないといえます。
免疫が弱く、生後間もない時期にしっぽを切ることで、感染リスクが高まります。体調に関わるデメリットがまず考えられるでしょう。
また、しっぽを振っているのかどうか分からないので、他の犬に対して感情が伝えられない可能性もあります。こうした犬同士のコミュニケーション不足の原因となることも、デメリットとして挙げられそうです。
しっぽを切ることはあくまで今までの習慣であり、今でもその習慣があったとしても、犬に対する愛情は変わりません。同じように、しっぽを切っていなくても、毎日愛情を持って接することには変わりません。
福祉的な観点はあるものの、しっぽのないぷりぷりしたハート型のお尻を愛する人もたくさんいます。しっぽを切っているかどうかよりも、愛情をかけて過ごしているかのほうが大事でしょう。
コーギーの性格や特徴について見ていきましょう。
牧羊犬として、吠えることで仕事をしていたコーギーは、物怖じしない堂々とした性格でとても活発。落ち着いていて、攻撃的な一面もほとんどありません。
家族愛が強く、小さな子供の遊びにも付き合ってくれる友達のような性格で、一緒にサッカーなどのボール遊びをしてくれるでしょう。また、カーディガンよりペンブロークのほうがフレンドリーだといわれています。
ペンブロークの体高は25~30㎝。足が短いため中型犬の中でも小さく見える犬種です。体重は9~12㎏。両足と胴周りががっしりしています。
カーディガンはほとんど違いがありませんが、体高の理想サイズは30cmといわれています。体重は同じ程度ですが、カーディガンのオスはペンブロークよりも一回り大きくなることが多いです。
カーディガンは体重よりも、筋肉の付き方が最重要とされ、ドッグショーでは体のバランスを重視されています。
※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さ
コーギーの飼い方についてご紹介します。
コーギーは食べることが大好き。特に大好きな飼い主さんにもらうものは喜んで何でも食べようとします。嬉しそうに食べる姿を見たくて与えすぎてしまうとすぐに太ってしまうため、普段からカロリーに気をつけましょう。
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コーギーは活発でとてもパワフル。力を制御できるようしっかりしつけましょう。噛む力や引っ張る力も強いため、噛んだり逃亡したりといった行動を防ぐためのしつけも大切です。
また、牧羊犬だったことから、追いかける癖が出やすいとされます。動きのコントロールを意識してしつけをしましょう。
短毛でお手入れがしやすい犬種ですが、お手入れ習慣は子犬の頃からつけておきましょう。全身の被毛のブラッシングだけでなく、耳や歯のお手入れも普段からおこなえれば理想的です。
子犬の頃から慣らし、怖がらせないようにしておきます。
コーギーの平均寿命は12歳~14歳。中型犬としては平均的です。
コーギーの子犬の価格は、ペンブロークで25~40万円ほど(2024年7月時点)。カーディガンは頭数が大変少なく、ペンブロークより高価になっています。
ペンブロークのしっぽのありなしでの価格差は、今のところあまりありません。ペットショップにはしっぽのないペンブロークのほうが多く、しっぽのある子犬はその珍しさから高額となることもあるようです。
コーギーを迎える方法、費用について具体的に紹介していきます。
ペット初心者でも迎えやすいのがペットショップです。コーギーが欲しい時、しつけで困った時にお店に行けば相談に応じてもらえるため、ペット初心者にオススメです。
ペンブロークは人気種のため、ペットショップにはたくさんいますが、カーディガンは少なく、事前に問い合わせておくと良いでしょう。しっぽがあるペンブロークはまだ少なく、ブリーダーのほうが多く見つかります。
ブリーダーは、全国各地に存在する犬の繁殖を専門とする人のこと。犬種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから犬を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。
しっぽのあるペンブロークを希望する場合は、生まれる前に「しっぽのある子犬を探している」と伝えておくと、生まれた時にしっぽを切らずに育ててくれます。早めに伝えておきましょう。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない犬、飼い主さんがいない犬を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。
ペンブロークは人気犬種ですが、カーディガンはかなり珍しく、出会うには運も必要でしょう。
犬を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。約4~5万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・ドッグフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・トイレシーツ
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
・リード
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、犬が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
【関連リンク】
犬を迎える前に準備しておきたいもの
犬を迎える前に整えておきたい室内のポイント
犬をペットとして迎える時の心構え
役所への登録料やワクチン接種・健康診断の費用として2万~3万円ほどがかかります。
中型犬の平均的な飼育費用は、1カ月あたり1万5,000~3万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で5,000~7,000円ほどかかります。
トイレシーツなどの日用品が1カ月で2,000~6,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、中型犬の場合1回3,000~1万円程度をみておきましょう。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で3~5万円ほど必要でしょう。1カ月にすると3,000円程度です。
初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。
ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、中型犬の1ヶ月の保険料は1,800~5,000円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
*参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
*犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。