長年人気の日本犬「柴犬」ですが、中でも黒柴と呼ばれる黒い毛色の柴犬が人気を集めています。漫画やイラストにされ、グッズとして人気を集めるものも。黒柴がキャラクターとなっているコーヒーショップなどもあります。そんな黒柴の魅力をはじめ、柴犬の基本的な飼い方や性格、一緒に暮らすうえでのポイントを解説します。
もくじ
黒柴とはどのような犬で、どのような魅力があるのでしょうか。まずは毛色の特徴や歴史に触れてみましょう。
柴犬の毛色は赤毛、黒、白、胡麻色があります。胡麻の中には黒胡麻色と赤胡麻色があります。色によって表情が違ってみえるため、好みが分かれるところでしょう。
柴犬の中でも黒い毛色のものは黒柴と呼ばれています。柴犬全体に占める割合は、黒柴と白柴が全体の1~2割程度となるため、この2種類はレアな色として人気があります。
一般的に顎あたりから首、胸、腹部、しっぽまでつながる白毛を「裏白」と呼びます。柴犬はどの色でもこの裏白がなければ認められません。
中でも黒柴は眉毛のように色が抜けている部分が目の上にあり、可愛らしいポイントとして人気があります。この眉毛模様は正式には「四ツ目」といいますが、通称「マロ眉」とも呼ばれます。
柴犬の中では一番多く、一般的な毛色です。赤毛の中でも、黒みが強いものと赤みが強いものがありますが、この色みは両親やそのまた両親の色に左右されることになります。
腹側が白い「裏白」の比率は個体差があり、白が多いもの、赤毛の比率が高いものなどさまざまなタイプがいます。子犬のうちは口や鼻の周りに黒毛が強い子犬が多くみられます。
ペットショップで購入するときは顔が黒く、イメージと違うと感じることもありますが、成長と共に黒みが抜けて、赤毛の柴になります。また、頬は白い傾向があり、すべてが赤毛というわけではないようです。
白色の割合は1割以下となるため、かなりのレアカラーとされています。
遺伝的にもレアではありますが、白毛はJKC(ジャパンケネルクラブ)や日本犬保存協会の公認色ではないため、白柴のブリーダーも少なく、一般的に数を増やす方向ではないことがレアになってしまう原因でしょう。
被毛が白であってもアルビノではないため、目の周りや口の周りは黒くなっています。黒い色素がしっかり入っていたほうが成長後の体質の異常が出にくいとされているため、子犬の価格も上がる傾向にあります。
赤毛と黒毛が全体に細かく混じっている毛色を胡麻といいます。そのうち赤毛が強いものを赤胡麻、黒毛が強いものを黒胡麻と呼んでいます。
そこに裏白が入ったり、頬の部分だけ白になったりして、個体差が個性としてみられます。子犬の時は胡麻色が出ていても、成犬になった時に子犬と同じままとは限らないため、ますますレアな毛色とされています。
柴犬は日本古来の土着犬です。日本海側の山岳地帯に広く生息しており、猟犬として飼育されていました。
明治以降、貿易が盛んになり海側の地域には西洋から連れてこられた犬が持ち込まれました。次第に柴犬と交配が始まり、それ以降は柴犬の混血種が増え、純血の柴犬は少なくなっていきました。
このままでは柴犬が絶滅してしまうため、血統の保存の観点から、社団法人日本犬保存会によって1934年に柴犬のスタンダードが制定されます。
その後1936年に柴犬は天然記念物に認定され、今のように改良されました。黒柴もこの流れの中で保存された色のひとつです。
柴犬の体高は36.5~39.5㎝。一般的にメスの方が一回り小さくなる傾向があります。体重は9~11㎏。小型化が進んだこともあり、メスは7㎏程度の犬もいます。
※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さ
飼い主に従順で、家族に忠実な性格の柴犬。子犬の頃からの習慣でフレンドリーに育てることもできますが、基本的には他人に対して多少の警戒心があります。柴犬は感覚が鋭敏なので、いわゆる番犬タイプの性格です。
柴犬にはいわゆる「キツネ系柴犬」と「たぬき系柴犬」がいます。
キツネ系の柴犬はひょろりと面長で、凛々しい顔立ちをしています。
たぬき系の柴犬は丸みがあり、全身ふっくらした印象です。柴犬のブームでたぬき系が好まれる傾向がありますが、きつね系もまだまだ人気があります。
生後まもなくはどの子犬も丸い顔をしており、その後生後7か月くらいまではおとなの筋肉がつかないので、ひょろりと細い印象が出てきます。生まれたばかりの子犬や成長期ではどちらか判断しにくいので、親のタイプから推測するとよいでしょう。
柴犬はしつけや習慣が大事な犬種です。ともに暮らすためのポイントをみていきましょう。
頑固な性格の柴犬は、子犬のうちから飼い主さんのいうことを聞くようよく訓練しましょう。頭はよいですが、頑固さからしつけを受け入れなくなると、新しい関係を築きにくくなるかもしれません。
待てや伏せなど、衝動を抑制させるようなしつけをし、犬の行動をコントロールできるようにしましょう。
怖がりな一面もあることから、反射的に攻撃性を見せることも。子犬の頃から毎日頻繁にしっぽや足先、耳、口を触っても警戒しないよう慣れさせるとよいでしょう。
柴犬は筋肉質な犬種のため、それなりの運動量が要求されます。朝晩で散歩ができることがベストですが、1日1回でも30分以上は歩いたり走ったりできるような時間を確保しましょう。思い切り走れる環境があるとなおよいでしょう。
柴犬の被毛は二層になっており、アンダーコートが特に分厚くなっています。抜け毛が多いため、毎日ブラッシングをして抜け毛を取り去る必要があります。
特に年に2回の換毛期はかなりの量が抜けるため、一日に何度もブラッシングすることもあるでしょう。
皮脂の分泌量も多く、定期的なシャンプーが必要です。家でもシャンプーはできますが、トリミングサロンや動物病院で定期的に依頼すると、プロの目で耳や爪までチェックしてもらえるでしょう。
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柴犬の平均寿命は12歳~15歳。中には18歳くらいまで長生きする犬もいます。
黒柴の子犬の価格は16~40万円ほど(2022年3月時点)。毛色によって差があり、赤毛は15万~39万、白毛は22万~30万となっています。胡麻色は滅多に登場しないので、価格が不明なことが多いようです。
黒柴を迎える方法、費用について具体的に紹介していきます。
ペット初心者でも迎えやすいのがペットショップです。黒柴が欲しい時、しつけで困った時にお店に行けば相談に応じてもらえるため、ペット初心者におすすめです。月齢がある程度いった子犬ならばワクチン接種、簡単なしつけが済んでいるケースもあります。
ブリーダーは、全国各地に存在する犬の繁殖を専門とする人のこと。犬種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから犬を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。
犬の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。
また、実際に親犬の様子を事前に確認することができるため、成犬時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない犬、飼い主さんがいない犬を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。
ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況の確認しなければならないケースもあります。
犬を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。約4~5万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・ドッグフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・トイレシーツ
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
・リード
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、犬が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
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犬を迎える前に整えておきたい室内のポイント
犬をペットとして迎える時の心構え
役所への登録料やワクチン接種・健康診断の費用として2万~3万円ほどがかかります。
中型犬の平均的な飼育費用は、1カ月あたり1万5,000~3万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で5,000~7,000円ほどかかります。
トイレシーツなどの日用品が1カ月で2,000~6,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、中型犬の場合1回3,000~1万円程度をみておきましょう。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で3~5万円ほど必要でしょう。1カ月にすると3,000円程度です。
初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。
ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、中型犬の1ヶ月の保険料は1,800~5,000円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
*参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
*犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。