イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、ふわふわとした長毛、垂れ耳がかわいい中型犬です。明るく元気な遊び好きで、活発な性格ですが、飼い主さんには従順なのでペットとして人気があります。これからイングリッシュ・コッカー・スパニエルを迎え入れたい人にとって、犬のしつけ方、特徴は気になるところ。本記事では、イングリッシュ・コッカー・スパニエルをペットとして迎え入れたいと考えている方向けに、特徴、性格、しつけ方などを紹介していきます。
もくじ
イングリッシュ・コッカー・スパニエルをペットとして迎え入れる前に、性格、特徴はチェックしておきたいポイント。まずは、特徴や性格について紹介します。
長毛、垂れ耳が特徴的な中型犬です。耳には美しい飾り毛があります。もともと鳥専門の猟犬だったことから、獲物をくわえて運びやすいように鼻口部が幅広くなっており、高い追跡能力も持ち合わせています。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルの体高は38~41m、体重は13kg〜14.5kg前後ほどです。
※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さ
毛色は豊富で、ブラック、タン(黄褐色、淡い茶色)、ローン(地色と混ざっていること)、レッド、オレンジ、レモン色など20色以上あるといわれています。毛色は大きく分けると単色(ソリッド・カラー)と、混合色(パーティーカラー)に分けられます。
陽気で好奇心が強く、社交的で大変活発です。飼い主さんには忠誠心が高く従順なため、ペットとしても人気。感受性が強く、寂しがり屋な一面もあるため、なるべく一緒に過ごすようにしてあげることが大切です。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、17世紀頃にイギリスで「ヤマシギ」という鳥専門の猟犬として活躍していた犬種です。コック(シギ)を狩る犬種であることから、コッカーと呼ばれるようになりました。
イギリスにあるランド・スパニエルと呼ばれる陸地での猟に使われていた犬たちの仲間が祖先ではないかと考えられています。
もともとは、同じく大きな垂れ耳が特徴である「イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル」と同じ犬種とされていました。
しかし、大きさの違いが猟における役割の違いとなっていったことから、1892年にイギリスケネルクラブは、別の犬種「イングリッシュ・コッカー・スパニエル」として分けることになりました。
その後、さらに独特のウェーブのある長毛と小型でしっかりした体つきが好まれたことから、愛玩犬らしい改良が施されています。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルの、飼い方のポイントについて紹介していきます。
聡明で訓練性も高いため、しつけはすぐに覚えます。ただし、しつけをおこたると言うことを聞かなくなる恐れがあるため、子犬のうちから上下関係をしっかりと教えることが大切です。
餌を与える前に「おすわり」「待て」をしてからにする、または他の芸をさせてから食べさせるようにするなど、上下関係を作るためにしつけを工夫しましょう。
また、スパルタな方法でしつけをするとやる気を失う可能性があります。叱るよりも褒めて教えるようにすることで、喜んでしつけを覚えてくれることでしょう。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは活発で、運動量が多い犬種のため毎日の散歩は欠かせません。毎日のお散歩は、1日2回、1回につき30分以上(合計1時間以上)行うことが好ましいです。
ただし、暑い夏でアスファルトの照り返しが心配な時期、雨や雪で足元が悪い時は、愛犬の安全を守るためにも無理をする必要はありません。真夏の散歩はできるかぎり日中を避け、朝夕の涼しい時間帯に水分補給をさせながら行いましょう。
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ダブルコートで被毛が厚く、日本の高温多湿な暑さに弱い犬種なため、室温管理は大切です。
とくに暑い時期はエアコンで室温を一定に保つなどの工夫をして、イングリッシュ・コッカー・スパニエルが過ごしやすい室内環境を整えておきましょう。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルの被毛はダブルコートで抜けやすく、換毛期にはかなりの毛が抜けます。被毛の手入れには、毎日1回のブラッシングをしましょう。
絹のように柔らかく、絹糸状の美しい被毛を美しく保つためにも、コミュニケーションを取りながらピンブラシ、またはコームでブラッシングしましょう。
被毛の美しさをキープするためにも、2週間ごとにシャンプーとトリミングを1回ずつ行うことをおすすめします。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルの平均寿命は、12~15歳です。犬全体の平均寿命は14歳なので、ほぼ寿命は平均と言えるでしょう。
より長く元気でいてもらうためにも、日頃から愛情を持って接してあげましょう。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルの注意しておきたい具体的な病気について紹介します。
耳の外耳に炎症が起きる病気です。年齢や犬種問わずに起きる病気で、耳の長い犬種に多いです。腫れやジュクジュクとした滲出液(しんしゅつえき)が出てきて、耳が臭ったり、頻繁に耳をかいたりするようになります。
症状がひどくなれば、炎症は耳の中の方まで広がり治療が長期化するため、早めの治療が必要です。
皮膚病は、皮膚に異常が起こる疾患のことです。ダニなどが原因で皮膚が炎症を起こす皮膚炎、ハウスダスト、花粉、ノミ、食べ物が原因でかかりやすいアレルギー性皮膚炎、首・わきの下に脂漏をともなうフケが出る脂漏性皮膚炎などがあります。
かゆみ、湿疹、脱毛などの症状がみられたら、病院で診てもらいましょう。
先天性激怒症候群は、突然噛みつくなど攻撃的な行動を見せてしまう病気です。別名、レイジシンドロームとも呼ばれています。
主に遺伝性疾患と考えられており、根本的な治療法はないものの投薬によって攻撃的な行動を抑えられることもあります。急に攻撃的になったなど、気になる症状がみられたら病院で診てもらうことが大切です。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、白内障や緑内障、チェリーアイ、進行性網膜萎縮症などの眼病疾患になりやすい犬種と言われています。
緑内障は、眼圧が高くなることにより視神経や網膜に変化を起こし視力障害を起こす病気です。白内障は、もともとは透明なはずの水晶体がさまざまな原因により変化を起こして不透明になった状態をいいます。
白内障は、初めのうちは症状が見つかりにくいものの、暗いところを急に怖がるようになると発症しているケースが多いです。チェリーアイは、目頭にある第三眼瞼が飛び出して赤く腫れ上がる病気です。
進行性網膜萎縮症は、網膜の機能が徐々に失われていき、最終的に失明する眼疾患です。イングリッシュ・コッカー・スパニエルの遺伝子的な病気の一つといわれており、高い確率で発症するとされています。
若くても発症する可能性があります。歩き方がまっすぐではない、目の色に変化があるなど気になる症状がみられたら、すぐ医師に相談しましょう。
全身の痙攣や意識障害などを繰り返す病気で、先天性・遺伝性の要因による特発性てんかんが最も一般的です。多くの場合は若いときに発症します。
まれに脳腫瘍などの後天的な要因により、高齢になってから発症する場合もあります。発作は投薬でコントロールすることが可能なため、医師の指示を仰ぎましょう。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルの子犬の価格は、約30~40万円ほど(2024年7月現在)。ただし、値段は性別、血統、購入方法によって変動します。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルを迎える具体的な方法は以下の通りです。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルのようにペットショップで少ない犬種の場合は、ブリーダーを探すことで見つかる可能性があります。
ブリーダーは、全国各地に存在する犬の繁殖を専門とする人のこと。犬種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから犬を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。犬の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。
また、実際に親犬の様子を事前に確認することができるため、成犬時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
ただし、イングリッシュ・コッカー・スパニエルのブリーダーも少ないため、根気強く探してみてください。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない犬、飼い主さんがいない犬を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。
ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況を確認しなければならないケースもあります。
犬を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。約4~5万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・ドッグフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・トイレシーツ
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
・リード
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、犬が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
【関連リンク】
犬を迎える前に準備しておきたいもの
犬を迎える前に整えておきたい室内のポイント
犬をペットとして迎える時の心構え
役所への登録料やワクチン接種・健康診断の費用として2万~3万円ほどがかかります。
中型犬の平均的な飼育費用は、1カ月あたり1万5,000~3万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で5,000~7,000円ほどかかります。
トイレシーツなどの日用品が1カ月で2,000~6,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、中型犬の場合1回3,000~1万円程度をみておきましょう。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で3~5万円ほど必要でしょう。1カ月にすると3,000円程度です。
初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。
ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、中型犬の1ヶ月の保険料は1,800~5,000円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
*参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
*犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。