家族の一員である愛猫が、「わたしたち人間に例えると今何歳くらいだろう」と気になる飼い主さんは多いと思います。猫の成長スピードに沿って人間だと何歳に相当するのかを考えつつ、愛猫に少しでも長く健康に過ごしてもらうにはどんな点に気を付けたらよいのかを紹介します。
もくじ
食事の内容や生活環境、品種によって個体差はありますが、猫は生まれてから最初の1年で成猫になります。猫の年齢について見ていきましょう。
猫の年齢を人間の年齢に換算する計算式があります。
(猫の年齢-2)×4+24=人間換算年齢
この計算式を使うと、2歳で24歳、3歳で28歳となります。猫は11歳で人間の還暦60歳を迎えると考えると、かなりの速さで歳を重ねていくように感じるのではないでしょうか。
猫の年齢を人間の年齢に換算すると、次のようになります。
猫の年齢 | 人間 |
1カ月 | 1歳 |
2カ月 | 3歳 |
3カ月 | 5歳 |
6カ月 | 9歳 |
9カ月 | 13歳 |
1歳 | 16歳 |
1歳半 | 20歳 |
2歳 | 24歳 |
3歳 | 28歳 |
4歳 | 32歳 |
5歳 | 36歳 |
6歳 | 40歳 |
7歳 | 44歳 |
8歳 | 48歳 |
9歳 | 52歳 |
10歳 | 56歳 |
11歳 | 60歳 |
12歳 | 64歳 |
13歳 | 68歳 |
14歳 | 72歳 |
15歳 | 76歳 |
16歳 | 80歳 |
17歳 | 84歳 |
18歳 | 86歳 |
19歳 | 90歳 |
(参考:イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科 P101)
猫の生後3~9週齢(2カ月齢くらいまで)の時期を、社会化期といいます。社会性を発達させ、猫同士で触れ合って猫の社会で生きていくためのルールを学ぶ時期です。人間だと幼稚園に入園する3~4歳くらいと考えてよいでしょう。
この社会化期のうちにたくさんの人と触れ合うことで、猫は人に対してフレンドリーに育ちやすいといわれています。人間社会でも生きやすいよう、苦手なものが少ない猫に育ててあげましょう。
社会化期は好奇心が強くいろいろなものに慣れやすい時期です。
など、新しい刺激に慣れやすい社会化期の間に、将来に向けた準備をしておくことが大切です。子猫を迎えたら、苦手が増えないよう、楽しくたくさんの経験を積み重ねさせてあげましょう。
4カ月齢になると乳歯から永久歯に生え変わり始めます。人間の年齢にすると5~6歳頃。この頃から体重の増え方も緩やかになってきます。
5~6カ月齢から発情期を迎えます。このタイミングで避妊手術や去勢手術ができるよう、お家に迎えたらまず、動物病院で今後の受診スケジュールを立ててもらっておくと安心です。人間で考えれば思春期を迎える10~14歳頃と考えられます。
こうして1歳を迎える事にはしっかり成猫の体になり、人間だと18歳頃となります。
猫は、もともと狩りをする生き物だった名残から、子猫は遊びの中で「獲物を見つける→忍び寄る→飛び掛かる→噛みつく→後ろあしで蹴る」といった捕食行動をします。その際、人を獲物にさせないようにしましょう。
人が獲物にされても、子猫のうちは「かわいい」で済みますが、成猫になって力がつくと、ケガにつながります。
狙っている様子に気づいたら、他のものに愛猫の気が行くようカサカサ音をたてたり、遊んでよい対象(ボールやぬいぐるみ)を投げたりしましょう。獲物にするものは誤食しないサイズでパーツが簡単に取れないものを選んでください。
小さなネズミのおもちゃは丸飲みしてしまう猫が多いのでおすすめできません。
成猫になっても、遊びの流れは基本的に変わりません。捕食行動の流れを取り入れた遊びをしてあげましょう。
一般社団法人ペットフード協会が発表した「令和3年全国犬猫飼育実績調査」によると、猫の平均寿命は15.66歳。2010年の同調査では、猫の平均寿命が14.36歳で、この10年で猫の平均寿命は1歳ほど延びていることが分かります。
フードや医療の発展、飼い主さんたちの予防意識の高まりによるものと考えてよいでしょう。
ちなみに、史上最も長生きした猫として、38歳3日(1967-2005)のクリーム・パフちゃんがギネス世界記録に認定されています。愛猫と少しでも長く楽しい日々を過ごせると嬉しいですね。
年齢はただの数字と頭では解っていても、愛猫とは少しでも長く一緒に生活したいもの。健康に過ごしてもらうためにお家で出来ることを紹介します。
先祖が砂漠で生活していた猫は、喉の渇きを感じにくい生き物。水をよく飲んでいるように見える猫でも、計量してみると理想より少ないケースも多いです。
しかし、水分摂取量を多めにすることで、泌尿器の病気リスクを減らせます。体重1㎏あたり50ccを1日の目安として水を与えましょう。
なかなか水を飲んでくれない場合は、離乳食のようにドライフードをふやかして与えたり、カロリー計算をしながらウェットフードを活用したりしましょう。ウェットフードに少しお湯をかけてあげると香りがたち、水分も足せるのでおすすめです。
また、水を飲もうとしても近くに水飲み場がなければ諦めてしまう猫もいるようです。お家の中の飲水場所を増やしてあげてみてもよいでしょう。
など、愛猫の好みを探ってみましょう。
年齢が進むにつれて猫も運動量が落ちてきます。
寝転びながら前あしだけでも猫じゃらしで遊んだり、一瞬だけ狙いを定めるような顔になったりすることは、心の刺激になりますが、肥満を予防するためには、ある程度しっかり運動してもらうことも大切です。
後ろあしを使って人の腰の高さまでジャンプしてもらえるよう、獲物になりきって、おもちゃで誘ったり、高い位置にジャンプ移動できたらおやつを1粒あげたりして、日頃から運動ができるように工夫しましょう。
キャットステップやキャットウォークで上下左右に移動することも、心身の健康にとって重要です。愛猫が上りたくなるよう、ときどきステップにおやつを用意したり、移動先でしか見えない景色を用意したりするといった工夫をしましょう。
ただし、肥満以外に、体調不良や痛みがあって動きが鈍くなっていることもあります。様子に変化があるときは、動物病院に相談しましょう。
健康を維持するためには、食事量をしっかり計量して管理することも大切です。毎日計量して肥満を防止し、食欲の変化がないか確認しましょう。
フードを選ぶ際は、健康診断の結果を踏まえて、かかりつけの動物病院にて相談しましょう。同系統で異なる味のものや、違うメーカーのフードを3種類ほど用意すると、愛猫が飽きずに美味しく食べてくれるでしょう。
腎疾患が心配で、若いうちから腎臓用の療法食を与えている飼い主さんを見かけることがあります。
腎臓用のフードはあくまでも腎臓の機能が低下した猫に対して、負担がかからないよう栄養バランスを変えたもの。若いうちから継続していると、タンパク質が少ないなど栄養に偏りが生じてしまいます。
また、尿路結石ケアのフードを、検査しないまま長年与え続けている飼い主さんもいらっしゃいます。そのときの尿の状態によって、適したフードを選んでいくようにしましょう。
月に1回の測定では、体重の変動に気づきにくいものです。体調変化に気づき、肥満を防止するためにも、お家でこまめに体重を測りましょう。
愛猫の体重を測定する際は、人の赤ちゃんの体重測定に使用する「ベビースケーラー」がおすすめです。まずはベビースケーラーに慣れてもらうことが大切なので、近づいたり、乗ったりしたらおやつを与え、楽しい物と認識してもらいましょう。
飼い主さんが愛猫を抱っこして体重計に乗って、飼い主の体重を引くことで愛猫の体重を測定する方法もありますが、誤差がかなり出やすいため注意してください。
猫の健康診断とは、視診・聴診・触診で一般状態の確認をし、血液検査や尿検査、超音波検査、レントゲンの撮影で異常がないかを動物病院で定期的に確認してもらうものです。
若齢のうちは1年に1回の健康診断をおすすめします。
若いうちから実施することで、経過を追っていくことが可能です。体調に変化があった際も、「突然の異常なのか以前からの異常なのか」が分かりやすく、すみやかな診断に繋げることができます。
7歳以上のいわゆるシニアの猫は半年に1回の健康診断をおすすめします。
子猫のうちはワクチン接種や避妊手術去勢手術に向けて来院頻度も多いため、問題なくキャリーに入って通院できることが多いです。しかし、年齢を重ねて久しぶりに病院に行くとなると、パニックになることも多いです。
日常的にキャリーに入ったり移動したりを続けるようにしましょう。キャリーに入っておうちの中を少し移動するだけでも十分です。
もちろん、病歴や検査結果によって通院頻度が異なります。次回はいつ頃来院すべきかを確認しておきましょう。
愛猫の外出によるストレス具合にもよりますが、1日でたくさんの我慢をして病院を苦手になるより、ちょっとずつの我慢で乗り越えてもらうほうがよいこともあります。
愛猫の様子を見ながら、受診のストレスを減らせるよう動物病院と相談しましょう。
ノミダニ予防薬の塗布のために毎月通院し、病院スタッフからおやつをもらうなど、痛い・怖い思いをしない日を設けることもおすすめです。動物病院に協力してもらいながら、愛猫がその場所に慣れていけるようにしましょう。
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猫は臆病な生き物のため、外出が苦手なことが多いです。猫を留守番させて飼い主さんだけでも相談に行けるような動物病院との関係作りも大切です。気になる事があれば、まず動物病院に相談してみましょう。
愛猫が人間でいうと何歳くらいなのかの考え方と、健康維持のためのポイントをお話ししました。猫たちが少しでも長く幸せに生活できるお手伝いになると嬉しいです。