狼犬(ウルフドッグ)の飼育は危ない?性格の特徴と大きさから飼い方まで解説
2022.02.08 作成

狼犬(ウルフドッグ)の飼育は危ない?性格の特徴と大きさから飼い方まで解説

PNS編集部

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「狼犬」という犬種が存在することをご存じでしょうか。狼犬は「ウルフドッグ」とも呼ばれ、オオカミにシベリアン・ハスキーやジャーマンシェパードなどの犬種を掛け合わせて作出された特大犬(超大型犬)の一種です。この記事では、狼犬(ウルフドッグ)の性格や特徴、狼犬と楽しく暮らすための飼育方法などをご紹介します。

もくじ

    狼犬(ウルフドッグ)ってどんな犬?

    狼犬(ウルフドッグ)の飼育は危ない?性格の特徴と大きさから飼い方まで解説
    (Jim Cumming/shutterstock)

    オオカミのかっこよさと、犬のかわいらしさを兼ね備えた魅力的な狼犬(ウルフドッグ)は、どのような犬なのでしょうか。

    ウルフドッグの特徴・大きさ・毛色

    特徴

    狼犬は、主にシベリアン・ハスキーやシェパードなどと、家畜化されたオオカミの交配によって誕生した犬種。なかでもオオカミの血を75%以上引き継いだ「ハイパーセント」は、外見がよりオオカミに近くなるため、人気が高い傾向があります。

    また、一言に狼犬といってもその種類はさまざまです。正式に犬種として認められている狼犬は「サーロス・ウルフホンド」と「チェコスロバキアン・ウルフドッグ」の2種類のみ。日本で販売、飼育されている「ハイブリッドウルフドッグ」は、雑種に該当します。

    狼犬は、オオカミの群れで行動する習性が強く残っているため、単頭飼育には向いていません。最低でも2頭飼うなど、多頭飼いを考えたほうが良いでしょう。また、ひとりでの留守番や狭い場所での生活は苦手で、ストレスが溜まると、破壊的な行動をとるようになるため注意が必要です。

    大きさ

    狼犬の体高は60cm~80cm、体重は41kg~70kgです。特大犬(超大型犬)らしく体高も体重もビッグサイズで、二本立ちすると人間の身長を超えるほど大型の狼犬もいます。

    ※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さ

    毛色

    狼犬の毛色は、「ウルフグレー(アグーチ)」「ブラックフェーズ」「ブルー」「チョコレート」「ホワイト」など。代表的な毛色である「ウルフグレー(アグーチ)」「ブラックフェーズ」「ブルー」の3種類について見ていきましょう。

    【ウルフグレー(アグーチ)】

    最も一般的な毛色として知られるのが「ウルフグレー」です。「アグーチ」とも呼ばれるこのカラーは、茶、黒、白が混じりあった色。アラスカン・マラミュートやシベリアン・ハスキーのように、くっきりとした眉などの模様が入ってくることもウルフグレーの毛色の特徴です。

    【ブラックフェーズ】

    狼犬は、狼度(ウルフィー)が高いとさまざまな色が混じり合った毛色になります。ブラックは「漆黒のような黒」を意味し、この黒や茶が入る毛色をブラックフェーズと呼んでいます。漆黒の個体は生まれづらいため、黒を主とした毛色の狼犬は、ブラックフェーズとして分類されます。

    【ブルー(ブルーフェーズ)】

    ブルーは、灰色でアッシュカラーのようにきれいな毛色です。ブルーのなかでも、白とブルーが複雑に混じりあった毛色は「ブルーフェーズ」と呼ばれます。ブルーは朝の太陽の光でキラキラ輝くのが特徴で、人気の毛色となっています。

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    狼犬(ウルフドッグ)の性格

    狼犬はオオカミの血を受け継いでいることもあり、用心深く内向的な性格をしています。飼い主さんには、忠実心があり優しく接してくれますが、家族以外の他人にはあまり懐きません。

    反対に、自分の仲間と認識した人や犬には深い愛情を示し、仲間が危害を加えられそうになったら勇敢に立ち向かっていく強さを持っています。飼い主さんをリーダーと思わせることができれば、凶暴になることはなく、頼もしい家族の一員として、共に過ごせることでしょう。

    狼犬(ウルフドッグ)の歴史

    狼犬は1932年、オランダのサーロースという人物が、オスのジャーマン・シェパード・ドッグとメスのオオカミを掛け合わせたことで誕生しました。

    元々は、牧羊犬や牧畜犬のほか軍用として作出された犬種でした。しかし、オオカミの持つ用心深さや群れで行動する習慣などから実用化が難しく、現在は家庭犬として飼育されています。 

    また、2020年6月1日の動物愛護管理法の改定により、オオカミと犬の交雑種(第1世代/F1)は特定動物として愛玩目的での飼育ができなくなりました。

    交雑種同士の交配で生まれた第2世代(F2)以降であれば、原則特定動物ではないとされています。

    しかし、都道府県によっては、条例で狼犬などの大型犬が「特定犬」と定められ、所定の飼育方法や標識の掲示が求められている場合がありますので、家族に迎え入れる場合は事前に確認する必要があります。

    参考:東京都福祉保健局 東京都動物愛護相談センター「特定動物の規制が変わりました」
    茨城県「特定動物(危険な動物)の飼育について」

     

    狼犬(ウルフドッグ)の飼い方のポイント

    狼犬(ウルフドッグ)の飼い方のポイント
    (ヴィンチェンツォブレスレット/shutterstock)

    狼犬は、野生のオオカミの気質を多く残しているため、しつけが極めて難しい犬種です。体が大きい狼犬は気軽に飼える犬ではありませんが、一生懸命しつけをすることで聞き分けの良い子に育ってくれるでしょう。

    狼犬(ウルフドッグ)のしつけ方

    狼犬のしつけは、子犬期に社会性を育てることが必須条件となります。この社会性を育てる期間は、3〜16週齢が理想とされており、この時期に多くの人や犬に触れて慣れさせることで成犬になった後の社会への順応性が育ちます。

    飼い主さんがリーダーであることを認識させる

    犬は、本来群れを作って生活する動物であり、上下関係が重視される世界に住んでいます。そのため、飼い主さんのことを頼りないと認識した場合には、飼い主さんのことを見下し、言うことを聞かなくなってしまいます。

    まずは飼い主さんがリーダーであることを認識させ、しっかりと「生活していくうえでのルール」を覚えてもらいましょう。

    はっきり叱って、しっかり褒める

    犬の安全を守り、人間社会のルールを教えるためには、「いけないこと」をしっかりと教えてあげることが大切です。叱るときには、「ダメ」「ノー」などの分かりやすい言葉を用いて、ハッキリと叱るようにしてください。

    また、褒めるときには「お利口だね」「良い子にできたね」などと優しく声をかけ、抱いたり撫でたりしてあげましょう。「大好きな飼い主さんに褒められるにはどのように行動したらいいのだろう?」と、犬自身が考えるきっかけを与えられます。

    狼犬(ウルフドッグ)のしつけは根気よく続ける

    犬がしつけを覚えるスピードには個体差があります。できないからといってすぐに諦めず、成長とともに賢くなっていく愛犬を温かく見守ってあげてください。

    また、狼犬のしつけは他の犬種に比べ、高度な技量を要します。ペットを飼うのが初めての方や、しつけに不安を感じる方は、ドッグトレーナーに訓練してもらうことも検討しましょう。

    狼犬(ウルフドッグ)の散歩の仕方と運動量

    狼犬の運動量はかなり多く、1日2回、朝と夕方の散歩で心や体をリフレッシュさせてあげましょう。

    ただし、激しい運動は足や関節、心臓に負担を与える可能性があるため、ハードな散歩は避け、ゆっくりと長い距離を歩かせるようにしましょう。特に1歳までの成長期に過度な運動をさせ過ぎると、関節に障害を抱えるリスクが高くなるため注意が必要です。

    また、雨やケガなどで散歩に連れていけない場合は、室内でのボール遊びや引っ張り合いっこなどで、一定の運動量を確保しましょう。

    【関連記事】
    犬の散歩を考える〜気温・天候・時間・体調によって散歩をしない選択肢を〜

    シャイな狼犬(ウルフドッグ)の散歩は周囲の環境に注意

    狼犬は、基本的に家族以外の他人にはあまり懐きません。たくさんの人や犬とすれ違う住宅街の散歩では、警戒して落ち着きがなくなってしまう可能性もあります。

    特にシャイな性格の狼犬には、周囲の環境に配慮し、なるべく人通りの少ない散歩ルートを選ぶようにしましょう。

    狼犬(ウルフドッグ)の平均寿命

    狼犬(ウルフドッグ)の平均寿命
    (Film Studio Aves/shutterstock)

    狼犬の平均寿命は12歳前後。大型犬の平均寿命は11~12歳ほどなので、平均的と言えます。日頃から健康状態に気をつけ、もし病気をしたとしても早期発見・早期治療に努めることで、さらに長生きしてくれることでしょう。

     

    狼犬(ウルフドッグ)を家族に迎える方法と費用

    狼犬(ウルフドッグ)を家族に迎える方法と費用
    (エレナ・リッツォ/shutterstock)

    狼犬の生体価格は50万円ほど(2022年2月時点)です。犬の値段は性別、血統、購入方法などによって変動します。

    ブリーダーからの紹介

    狼犬(ウルフドッグ)は非常に珍しい犬種であり、ペットショップには取り扱いがないため、家族に向かえるにはブリーダーからの紹介が主な方法となるでしょう。

    ブリーダーは、全国各地に存在する犬の繁殖を専門とする人のこと。犬種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから犬を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。犬の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。

    また、実際に親犬の様子を事前に確認することができるため、成犬時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。

    里親になる

    里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない犬、飼い主さんがいない犬を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。

    ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況の確認しなければならないケースもあります。また、狼犬は数が少ないので出会うには運やタイミングが必要です。

    家族に迎え入れるまでに準備したいもの

    犬を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。約4~5万円ほどをみておくとよいでしょう。

    【寝床の準備】
    ・ペットサークル
    ・クレート(ペット用キャリー)
    ・ベッド

    【日用品の準備】
    ・ドッグフード
    ・フードボウル
    ・水飲みボウル

    【トイレ用品の準備】
    ・トイレトレー
    ・トイレシーツ

    【ケア用品】
    ・ブラシ
    ・爪切り
    ・ペット用シャンプー
    ・歯磨きグッズ

    【その他】
    ・首輪
    ・リード

    事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。

    夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、犬が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。

    【関連リンク】
    犬を迎える前に準備しておきたいもの
    犬を迎える前に整えておきたい室内のポイント
    犬をペットとして迎える時の心構え

     その他の初期費用

    役所への登録料やワクチン接種・健康診断の費用として2万~3万円ほどがかかります。 

    1カ月にかかる飼育費用は?

    1カ月にかかる飼育費用は?
    (Film Studio Aves/shutterstock)

    特大犬(超大型犬)の平均的な飼育費用は、1カ月あたり3万~5万円になります。

    食費

    フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で1万~2万円ほどかかります。

    日用品代

    トイレシーツなどの日用品が1カ月で5,000~1万4,000円前後。

    シャンプー・トリミング代

    シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、特大犬(超大型犬)の場合1回1万円以上かかるでしょう。

    医療費

    フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で4~6万円ほど必要でしょう。1カ月にすると4,000円程度です。

    知っておきたい、ペットの医療事情

    初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。

    子犬がかかりやすい病気・ケガ

    子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。

    • 骨折の平均治療費:11万6,704円*
    • 異物誤飲の平均治療費:3万4,655円*

    ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。

    お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。

    *ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)

    ペット保険

    ペットの年齢によって保険料は変わりますが、特大犬(超大型犬)の1ヶ月の保険料は3,000~9,100円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。

    ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。

    【ペット保険選びのポイント】

    ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。

    保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。

    • その犬種が発症しやすい慢性疾患が補償されるか
    • 金銭的に負担の大きい高額な手術・入院に対応できているか
    • 1日あたりの支払い金額や年間の通院日数に上限がないか など

    *参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
    *犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
    *2024年7月時点の内容です。今後の商品改定や保険料率の見直し等により、変更となる場合があります。

    愛犬と楽しく暮らそう

    家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。

    著者・監修者

    PNS編集部

    ペットライフに新しい発見を。
    ペットニュースストレージ編集部です。

    PNS編集部

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