ヒマラヤンは、モフモフ感のある猫や、懐きやすい猫を飼ってみたい方にぴったりの猫です。温厚で気難しいところがないので、初めてのペットにもふさわしいでしょう。毛並みのお手入れ方法や食事のあげ方などを理解しておけば、飼育は簡単です。本記事で飼い方のポイントを確認してみましょう。
もくじ
ヒマラヤンは、猫特有のそっけなさや気まぐれなところはあまり見られず、飼いやすい猫として人気があります。
ヒマラヤンは、豊かな毛並みとツートーンのカラーリングがトレードマークの猫。瞳は宝石のように青く輝き、ミステリアスな雰囲気もたっぷり。体はずんぐりと丸み帯びていて、やわらかな被毛の下にはがっしりとした筋肉が備わっています。
愛らしい丸顔も魅力のひとつです。顔型は鼻の形によって2種類に分けられ、鼻の高さが比較的高く端正な顔立ちは「ドールフェイス」、いわゆる「鼻ペチャ」の顔は「エクストリームフェイス」と呼ばれています。
日本のヒマラヤンは、ドールフェイスが主流ですが、アメリカではエクストリームフェイスのほうが人気。国によって顔立ちは異なります。
個体差はありますが、成猫時の体重は3〜7kgで、オスはメスよりも1kgほど大きい傾向にあります。
ヒマラヤンの被毛は柔らかい長毛で、上毛・下毛の二層構造になった「ダブルコート」です。
被毛の柄は、顔や手足など、体の一部分にアクセントのように色が入る「ポイント」で、毛色のバリエーションは広く、こげ茶色のシール、黒っぽい茶色のチョコレート、しま模様が入ったライラックなどがあります。
ヒマラヤンは、人懐っこくフレンドリー。人にも他の猫にも友好的なため、初めて猫を飼う人でも飼いやすいでしょう。のんびり過ごすことを好み、活発に動き回ることは少ないので、ワンルームでも飼いやすいでしょう。
ヒマラヤンは、ペルシャとシャムの交配により誕生した猫種です。1920年代にスウェーデンで交配の研究が始まり、その後イギリスやアメリカでも交配が試みられました。
研究当初は、ペルシャの長毛やシャムのポイントの柄を表現するのに苦労し、現在のヒマラヤンのスタイルを確立するには長い時間がかかりました。試行錯誤の末、1950年代にアメリカやイギリスで品種登録が行われ、現在はさまざまな地域で親しまれる猫種になりました。
かつては「クメール」「デビュタント」などの別名がつけられていましたが、現在は「ヒマラヤン」という名称が定着しています。
ヒマラヤンのような毛並みや性格を持った猫種は他にもいます。上品な雰囲気の猫が好きな方は、ヒマラヤンと合わせてチェックしておきましょう。
ラグドールは、いつまでも触っていたくなるようなフワフワの毛並みが魅力です。抱っこされるのが好きな甘えん坊で、人懐こい性格もヒマラヤンによく似ています。体の模様は個性豊かで、ヒマラヤンに近いポイントのほか、ミテッドやバイカラーなどがあります。
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バーマンは、ポイントの模様とブルーの瞳がヒマラヤンによく似た品種です。異なるのは手足の色で、バーマンは白色が条件。毛質も柔らかく、風になびくような長毛がチャームポイントです。穏やかで従順な気質で、ヒマラヤンのように飼いやすいでしょう。
ヒマラヤンとの暮らしを楽しむためのポイントと注意点を解説します。
長毛のヒマラヤンの被毛はもつれやすく毛玉になりやすいため、毎日こまめにブラッシングを行いましょう。1回にかける時間は3〜5分程度でよいので、忙しい飼い主さんでも習慣にしやすいでしょう。
ブラッシングには、コームやピンブラシ、スリッカーブラシなどを用意しましょう。耳やしっぽのまわり、脇の下は毛玉ができやすい傾向にあります。時間がない時は、毛玉ができやすい場所から優先的にお手入れしましょう。
シャンプーは基本的に必要ありませんが、被毛の汚れが特に気になる時はシャンプーで洗ってあげてください。シャンプーの頻度は、かかりつけの獣医師に相談の上、適度な頻度で行いましょう。
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ヒマラヤンは運動量が少ないため、太りやすいと言われています。キャットフードは、パッケージに記載されている量を基準にして与えましょう。食欲旺盛な場合は、1日分の量を小分けにして与え、食べ過ぎを防いでください。
また、上下運動ができるキャットタワーを用意しておくと効率的に体を動かせます。キャットタワーを置くスペースがない場合は、家具の段差なども活用できます。
食事場所を家の中のいろいろな場所に用意したり、フードを取り出して遊べるおもちゃを使ったりするなど、適度に運動させながら食事を与えるのもよいでしょう。
もともと丸みを帯びた体のヒマラヤンは、見た目だけでは太り過ぎなのか判断しにくい場合があります。定期的に体重も測るようにしましょう。
のんびり過ごすことが好きなヒマラヤンには、家でくつろげるエリアが必要です。ヒマラヤンが寝そべることができるやわらかいクッションやラグを用意したり、窓辺に落ち着ける場所を作ったりするなど、リラックスできるポイントを作ってあげましょう。
室温は、エアコンや暖房を使い一定に保ちます。夏場は27℃前後、冬は23℃前後が目安です。特に暑さは苦手なため、夏の熱中症には注意しましょう。
ただし、長毛をサマーカットする必要はありません。カットしてしまうと毛質が変わってしまう可能性があります。お部屋の温度調整や、ブラッシングで蒸れや夏バテを防いであげましょう。
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ヒマラヤンの平均寿命は12~15歳ほどです。猫全体の平均寿命は15歳前後なので、ヒマラヤンの寿命は平均的と言えるでしょう。
ヒマラヤンの注意しておきたい病気について紹介します。
目の周りが常に涙で濡れて毛が変色している状態です。涙やけとも言われ、マイボーム腺の異常や鼻涙管の閉塞、感染症や体質が原因で起こります。流涙症によって常に目の周りが濡れていると、細菌が繁殖しやすくなり皮膚炎のリスクにもつながります。
鼻の低い短頭種のヒマラヤンは、流涙症になりやすいと言われています。顔まわりがもともと黒や茶色の場合は涙やけを起こしていても気づきにくいため、日頃から瞳が過剰に潤んでいないか、気を配りましょう。
ヒマラヤンは、皮膚炎にも注意が必要です。特にかかりやすいと言われるのが、皮膚糸状菌症です。真菌(カビ)によって感染し、脱毛やフケが多くなるなどの症状が現れます。猫だけでなく、人にも感染することがあります。
過敏性皮膚炎もよく見られる症状です。花粉やハウスダストなどが原因で、皮膚のかゆみや炎症が現れます。悪化すると気管支炎などを併発することもあります。
ストレスや温度・湿度の変化によっても発症する場合があります。空気清浄機を取り入れるなど、清潔な環境を整えましょう。
鼻の低い短頭種の猫に主に起こる病気です。鼻の孔や気道が狭いことが原因で、呼吸にしにくくなる症状を指します。症状が悪化すると、呼吸困難や失神を引き起こし、命にも関わる場合があります。
眠っている時の呼吸音が目立って大きい、「ゼェ、ゼェ」などの喘息のような呼吸をしている、といった様子があれば早めに病院へ相談しましょう。
ペルシャ系の猫によく見られる遺伝性の病気です。腎臓にのう胞が発生し、腎機能を低下させていきます。
初期は目立った症状が現れないため、早期発見が肝要です。多飲多尿、嘔吐、脱水などの症状が見られたら、多発性のう胞腎を疑ってみましょう。
年齢とともに目の中にある水晶体の部分に白い濁りがみられ、視力が低下していく病気で、最悪の場合は失明に至ります。「目の中が白く濁ってきた」などの異変を感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。
ヒマラヤンの子猫の価格は15~30万円ほど(2024年7月時点)で、月齢や毛色などによって変動します。
ペット初心者でも迎えやすいのがペットショップです。ペルシャ猫が欲しい時、しつけで困った時にお店に行けば相談に応じてもらえるため、ペット初心者におすすめです。
月齢がある程度いった子猫ならばワクチン接種、簡単なしつけが済んでいるケースもあります。
ブリーダーは、全国各地に存在する猫の繁殖を専門とする人のこと。猫種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから猫を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。猫の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。
また、実際に親猫の様子を事前に確認することができるため、成猫時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない猫、飼い主さんがいない猫を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。
ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況の確認しなければならないケースもあります。また、どちらかといえばマイナーな猫種のため、出会うには運やタイミングが必要です。
猫を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。2~3万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・キャットフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・猫砂
・消臭シート
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・爪とぎ
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、子猫が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
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猫を迎える前に準備しておきたいもの
猫を迎える前に整えておきたい室内のポイント
猫をペットとして迎える時の心構え
ワクチン接種・健康診断の費用として1万円~1万5,000円ほどがかかります。
猫の平均的な飼育費用は、1カ月あたり7,000~1万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で3,000~4,000円ほどかかります。
猫砂や消臭シートなどの日用品が1カ月で800~2,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、その費用も必要になります。平均すると1回あたり、5,000~1万円ほどかかります。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で2万円ほど必要でしょう。1カ月にすると1,500円程度です。
初めて猫を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子猫は、異物誤飲や環境変化によるストレス性の軟便や下痢が多いです。
ただし、どちらも場合によっては10万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防や体調の変化に気を付けることが大切です。
お迎えしたばかりの頃は、環境変化によるストレスで軟便や風邪になりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、猫の1ヶ月の保険料は1,300~2,400円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように猫も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする猫の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。