犬が玉ねぎを食べてはいけないことは有名ですが、なぜ食べてはいけないのでしょうか。犬が玉ねぎを食べるとどんなことが起こるのか、もし食べてしまったときの対処方法も含め、玉ねぎの危険性について学びましょう。
もくじ
犬の玉ねぎ中毒は、玉ねぎをはじめとするネギ類に含まれる、有機チオ硫酸化合物によるものです。これが赤血球の膜や内部に影響を与え、赤血球を破壊し、貧血を引き起こします。
具体的に目に見える代表的な症状としては、以下の通りです。
玉ねぎ中毒は、原因となるネギ類を食べてすぐに症状を起こすわけではなく、摂取後数時間~数日後に症状を起こすため、貧血症状の原因がネギ類の誤食によるものだと気づけないケースもあります。
誤食に気づいたら、数日は尿や可視粘膜の色に変化がないか注意しましょう。
玉ねぎ中毒の場合、中毒症状を起こす量は個体差が激しく、少量しか食べていないから大丈夫とは一概に言えません。一般的には、体重1㎏あたり玉ねぎ5~10gと言われていますが、これよりも少ない量の誤食でも中毒症状を起こす可能性があります。
ネギ類を誤食してしまったとしても、実際に何g程度食べているのか把握が難しいのが一般的です。どれくらい食べたかではなく、誤食の有無でリスクを判断したほうがよいでしょう。
玉ねぎ中毒と一般的に呼ばれますが、玉ねぎ以外の長ネギ、ニンニク、ニラなどにも有機チオ硫酸化合物が含まれます。こういったネギ類そのものに対して注意するのはもちろんですが、見逃しがちなのが「ネギ類が含まれる食事や製品」です。
例えば、肉じゃがやカレーのように玉ねぎと一緒に煮込む料理は、玉ねぎをよけて与えたとしても、玉ねぎ中毒を起こす可能性が大いにあります。加熱という調理工程を経ていたとしても、中毒のリスクに差はありません。
煮汁にも中毒を起こす成分が溶け出ているため、煮汁だけだから大丈夫と思わず、ネギ類と一緒に調理したものは絶対に避けるようにしてください。
次の食品には、ネギ類が使用されていることがあります。
市販製品を与える場合は必ず原材料表記を見て、ネギ類が使用されていないか確認しましょう。
玉ねぎと表記が無い場合でも、野菜エキスなどの調味液にはネギ類が使用されていることが多いです。犬にあげたい場合は、ネギ類の使用がないかメーカーに確認していただくことをおすすめします。
人用のサプリメントなどの健康食品にもネギ類が含まれていることがありますので、人用健康食品の誤食にも気をつけてあげてください。
BBQができる公園や施設でも、ネギ類の誤食には要注意です。自身でBBQをする際はもちろんですが、ほかの人がBBQをした際に地面に落としてしまったネギ類を誤食するケースもあります。お散歩中の拾い食いは、絶対にさせないようにしましょう。
玉ねぎを食べた際に中毒症状が起きるかどうかは個体差が非常に激しいため、一概にこの量なら大丈夫とは言えません。ネギ類を食べてしまった場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
受診の際は、どんなものをどの程度の量、いつ頃食べたのか、獣医師に伝えてください。
「食べてすぐ症状が出なかったから大丈夫だろう」と飼い主さん自身が判断するのは控えましょう。数日後に症状が出て症状が重くなる可能性があります。
また、自宅で吐かせようとして飼い主さんが愛犬に食塩を摂取させてしまうことがあるようです。この場合、食塩中毒になる可能性があり大変危険です。ネギ類を食べてしまったと分かったら、自宅で対処しようとせずに受診するようにしてください。
動物病院ではネギ類を誤食してすぐの場合は、食べてしまったものを吐かせる処置(催吐処置)をするのが一般的です。催吐処置で食べてしまったもののほとんどが除去されれば、大事に至る可能性は低くなります。
しかし、誤食して時間が経過した場合はすでに消化吸収が始まってしまい、催吐処置だけでは済まないこともあります。その場合は、輸液(点滴)治療や吸着剤の使用、最悪の場合輸血が必要になります。
重症度によっては玉ねぎ中毒が命に関わるような事態になることもあるため、ネギ類の誤食を軽視しないことが重要です。
玉ねぎをはじめとするネギ類は、人の食品では多く使用されています。普段ネギ類を意識しないような食品であっても注意が必要です。人の食べ残しを気づかないうちに食べてしまって、数日後に中毒症状が出るという事態は避けたいですよね。愛犬に辛い思いをさせないためにも、食品の管理には気をつけましょう。
誤食はいつ何時起きるか分からないため、普段受診するかかりつけ動物病院のほかに、夜間や早朝に受診できる動物病院をあらかじめ把握しておくことをおすすめします。