ブラッドハウンドという名前を知らなくても、姿を見ればピンとくるはず。そんな個性的でユニークな犬種として人気のブラッドハウンド。どんな特徴や性格の持ち主なのでしょうか。歴史やしつけ方など、詳しい飼い方も含めてブラッドハウンドの魅力を余すことなく紹介します。
もくじ
ブラッドハウンドを家族として迎え入れる前に、性格や特徴はチェックしておきたいポイント。ブラッドハウンドの特徴や性格について紹介します。
ブラッドハウンドは、ハウンド(狩猟犬)の中でも、嗅覚を活かして狩猟にあたっていた嗅覚ハウンドに分類されます。ハウンドの中で最も力が強く、どっしりとした体格は堂々とした威厳を感じさせます。
やわらかく豊富な皮膚が全身を覆っており、デューラップといわれる喉の皮膚のたるみが特徴です。
特大犬(超大型犬)に該当するブラッドハウンド。その大きさは、オスで体高64~72cm、体重46〜56kgほど。メスの場合は、体高58~66cm、体重40~48kgとされています。
※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さ
毛色は、ブラック&タン(薄い茶色)、レバー(濃い赤褐色)&タン、単色のレッドの3つが認められています。
堂々とした風貌ながら、性格は穏やかで安定しています。人が好きで、飼い主さんへの愛情が深いのも特徴。褒められることだけでなく叱られたりすることにも敏感ですが、攻撃的ではありません。ほかのペットに対して寛容なため多頭飼いもできますが、甘えん坊で頑固な一面もあるため注意が必要です。
ブラッドハウンドの歴史は古く、7世紀ごろアルデンヌ地方で飼育されていた猟犬が祖先犬だといわれています。11世紀ごろにイングランドへ持ち込まれ、嗅覚を高めながら現在の姿になったといわれています。ブラッドハウンド(血の犬)という名前は、ブラデッド・ハウンド(純血のハウンド)に由来しています。
アメリカ南部では、逃亡する奴隷を追うために使われたこともありますが、現在では警察犬などとして世界中で活躍しています。
続いて、ブラッドハウンドの飼い方について紹介しましょう。
穏やかで優しいですが、服従訓練が必要です。超大型犬のため、安全のためにもしっかりしつけを行いましょう。賢いものの頑固な面もあるため、訓練に通ってプロのアドバイスをもらいながらしつけることをおすすめします。
体力のある超大型犬のため、1日あたり数kmの散歩が必要です。1日2回、1回あたり60分以上を目安に散歩を行うようにしましょう。また、優れた嗅覚の持ち主がゆえ、散歩をしながら気になるにおいを追わせてあげると、ストレス解消にもなります。
ブラッドハウンドはよだれが多く、床やベッドなどを汚しがちです。こまめに掃除をするなど、環境に気をつけてあげましょう。
また、顔周りや、皮膚のしわの間によだれが入ったままにすると、皮膚炎につながります。垂れ耳の中も蒸れて最近が繁殖しやすいため、タオルでこまめによだれを拭き取ったり、耳の入り口をお手入れしてあげたりしてください。
元気なブラッドハウンドは、自分で長距離を歩くことができます。しかし、病気になって動物病院を受診する際は、抱きかかえて移動することは難しいです。自家用車を所有しておくなど、万が一に備えた移動手段を考えておくことをおすすめします。
ブラッドハウンドの平均寿命は10歳~12歳。比較的短命といわれる大型犬の中でも、平均的か少し長い傾向があります。できるだけ長く元気でいてもらうためにも日頃から愛情を持って接し、些細な変化にも気づいてあげられるようにしましょう。
ブラッドハウンドの注意しておきたい病気について紹介します。
股関節形成不全は、股関節が変形したり正常に形成されなくなったりする病気です。この病気になると、歩き方に異変が見られます。脚をかばったり引きずるように歩いたりするなど、気になる症状があれば動物病院を受診しましょう。
食べ物やガスで膨れ上がった胃に捻じれが起こり、胃拡張がひどくなる病気です。よだれが増えた、水をたくさん飲んでいる、吐こうとしているのに吐けない、お腹が膨れるなどの症状がみられたら、直ちに動物病院を受診するようにしましょう。
垂れ耳のブラッドハウンドは耳道内の通気が悪く、外耳炎になりやすい犬種です。耳を気にしている様子や、耳が臭うなどの症状がみられたら、すぐ病院に行きましょう。
ブラッドハウンドは、皮膚に細菌やダニが入って炎症を起こす皮膚炎や、アレルギー物質によって引き起こされるアレルギー性皮膚炎などに注意が必要です。たるんだ皮膚やしわの間に異変がないか、日ごろからチェックしておくことで、皮膚疾患を予防しましょう。
ブラッドハウンドは入手が難しく、ブリーダーもしくは輸入が主な方法になるでしょう。生体価格は40~100万円ほどかかるともいわれています。
ブラッドハウンドを迎える方法、費用について具体的に紹介していきます。
日本のペットショップで、ブラッドハウンドを見かけることは少ないです。国内のブリーダーもそう多くはありませんが、ブラッドハウンドを迎えたいと思ったらブリーダーからの紹介が主な方法となるでしょう。
ブリーダーは、全国各地に存在する犬の繁殖を専門とする人のこと。犬種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから犬を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。犬の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。
また、実際に親犬の様子を事前に確認することができるため、成犬時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない犬、飼い主さんがいない犬を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。
ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況の確認しなければならないケースもあります。また、ブラッドハウンドは数が非常に少なく、出会うにはかなりの確率になるます。運やタイミングが必要です。
犬を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。約4~5万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・ドッグフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・トイレシーツ
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
・リード
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、犬が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
【関連リンク】
犬を迎える前に準備しておきたいもの
犬を迎える前に整えておきたい室内のポイント
犬をペットとして迎える時の心構え
役所への登録料やワクチン接種・健康診断の費用として2万~3万円ほどがかかります。
特大犬(超大型犬)の平均的な飼育費用は、1カ月あたり3万~5万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で1万~2万円ほどかかります。
トイレシーツなどの日用品が1カ月で5,000~1万4,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、特大犬(超大型犬)の場合1回1万円以上かかるでしょう。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で4~6万円ほど必要でしょう。1カ月にすると4,000円程度です。
初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。
ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、特大犬(超大型犬)の1ヶ月の保険料は3,000~9,100円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
*参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
*犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。