独特の水玉模様が美しいダルメシアンは、映画やアニメでも大活躍している犬種です。明るく陽気な面と警戒心の強さがあり誤解されることも多い犬種ですが、一緒に暮らせば家族にたくさんのハッピーを与えてくれると、熱烈な愛好家が後を絶ちません。ここではダルメシアンの性格や特徴、歴史、そして飼い方について解説します。
もくじ
ディズニー映画『101匹わんちゃん』のモデルとして有名なダルメシアン。誰もが知っている犬種ながら、日本ではあまり見かけることがない大型犬です。おしゃれで聡明な雰囲気から多くの人が憧れる、ダルメシアンとはどんな犬なのでしょうか。
ダルメシアンは、独特の毛並みで有名な大型犬。耳は垂れており、硬くつやつやした短毛に覆われた筋肉質な体型をしています。目は丸く、ほとんどが黒ですがブルーやレッド、オッドアイの場合もあります。しっぽは先が細く、静止時にはピンと上を向くのが特徴です。
体高は、54~61cm、体重は24~32kgがスタンダードとされており、大型犬としては小さめです。
※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さ
誕生時には真っ白の被毛ですが、徐々に黒色またはレバー色の輪郭がはっきりした斑点が出現します。斑点は直径2〜3cmで丸く、全身に満遍なく分布されるのがよいとされています。
ダルメシアンは、いつも元気いっぱいで明るい性格をしています。飼い主さんや家族にはとても愛情深くフレンドリーに接しますが、家族以外の人や犬には強い警戒心を抱き、簡単には気を許しません。
しかし、子犬の頃からしっかりと社会化トレーニングをしておけば、小さな子どもや他の犬とも仲良く一緒に遊ぶことができる最高のパートナーになってくれるでしょう。
ダルメシアンの起源は古く、エジプトの墓やギリシャの壁画にもその姿が記されていると言われています。起源は諸説ありますが、クロアチアのダルマティア地方で生まれたことから「ダルメシアン」という名がついたという説が通説とされています。
高い運動能力と聡明さで何世紀にもわたって繁殖が続けられ、猟犬や番犬として人とともに暮らしてきました。19世紀にはその美しい姿から富裕層にも愛され、アニメの主人公として有名になってからは家庭犬としても愛されることになりました。
アメリカでは馬車の消防車の先導をしていたことから、現在ではアメリカの消防署のマスコットとされています。
遊び好きで聡明なダルメシアンは、神経質な面もあり、ストレスから問題行動を起こすことも多いため、飼い方には注意が必要です。
ダルメシアンは猟犬として働いていたこともあり、非常に賢い犬です。記憶力がよく、トレーニングをそれほど嫌がることはありません。ただし、記憶力が高いということは、嫌だと思うこともしっかり覚えているということです。
強く叱られたり叩かれたりすれば、飼い主さんに不信感を抱き、指示に従わなくなったり攻撃的になってしまうこともあります。しつけは褒めることを基本にして、ダルメシアンの「もっと褒めてもらいたい」という気持ちを引き出すようにすることが大切です。
ダルメシアンは警戒心が強いため、しつけを間違うと問題行動を起こしやすくなります。問題行動を防ぐために、まずはダルメシアンの豊富な運動欲求を満たし、ストレスを溜めないようにすることが大切です。室内でもロープのおもちゃを使った引っ張りっこなどの遊びを取り入れ、エネルギーを発散しましょう。
また、遊びを通して子犬の頃から積極的に社会化トレーニングを行っておくと安心です。
ダルメシアンは信頼した飼い主さんには非常に従順です。日々のコミュニケーションを根気よく重ね、信頼関係を築木、メリハリのあるしつけを根気よく行いたいものです。
ダルメシアンは遺伝的に聴覚障害を持っていることが多い犬種です。もしも聴こえていないのであれば、聴覚ではなく視覚を利用するハンドシグナルを活用してしつけをするとよいでしょう。教え方は言葉でのトレーニングと変わりません。
犬に教えたい行動とハンドシグナルを関連付けて、繰り返し教えていきます。この方法なら、難聴だけでなく、騒がしい場所にいるときや歳をとって耳が遠くなった犬でも、飼い主さんの意図を汲み取ることができます。
ただし、いくらハンドシグナルを出しても、飼い主さんの方を見てくれないのでは意味がありません。まずは信頼関係をしっかりと築き、ダルメシアンの注意がいつも飼い主さんにあるようにトレーニングすることが大切です。
ダルメシアンは、並外れた体力と持久力を持っているため、飼い主さんは覚悟が必要です。運動不足になるとストレスを感じるため、1日2回、最低1時間程度の散歩に出かけましょう。
平坦な道をただ歩くのでは退屈してしまうため、ジョギングをしたりコースを変えたりと工夫が必要です。またドッグランなどでボールやフリスビーで遊んだり、自由に走り回るのもよいでしょう。好奇心旺盛なダルメシアンは、ドッグスポーツにも適しています。
ダルメシアンは、非常に寒さに弱い犬種です。冬の寒さに耐えきれず、丸くなって動けなくなるダルメシアンもいるため注意してください。暖房や毛布などを活用し、暖かく過ごせる工夫をしましょう。
また、小さい頃から慣れさせれば、服を着ることも嫌がりません。散歩の際などは、防寒具として犬用のコートやセーターを着せてあげると暖かく過ごせます。
ダルメシアンの平均寿命は10~13歳と言われており、大型犬の中では平均的です。ただし、遺伝子疾患の発症リスクが高い犬種なので健康管理は注意が必要です。日頃から健康管理を欠かさず、異常を早期に発見し、早期に治療するこが大切です。
普段から注意深く観察し、ストレスを溜めないように気をつけてあげるように心がけましょう。
ダルメシアンを飼う上で、注意しておきたい病気を紹介します。
ダルメシアンは垂れ耳であること、また遺伝的なものから、聴覚障害が頻発する犬種と言われています。残念ながら先天性の場合には治療方法はありませんが、生まれつきの場合はそれほど不自由なく生活できるようです。聴覚障害が疑われる場合は、気づかれない位置から音を出して反応をチェックするとよいでしょう。
腎臓から尿道までの尿路に石がつまる病気です。石が粘膜を刺激するため、排尿の際に痛みが生じたり、最悪の場合には尿が排泄できなくなります。命に危険が及ぶ場合もあるため、普段から尿の回数や色を観察し、気を配るようにしましょう。
日本の高温多湿の気候は、皮膚病の原因となります。普段のお手入れの際には皮膚の状態をよく観察し、脱毛や出血がないか確認しましょう。体をかゆがっていたり、地面に体を擦り付けている様子が見られる場合には注意が必要です。
アレルギーによって引き起こされる皮膚炎です。皮膚の強いかゆみが主な症状で、しきりに体を舐めたり噛んだりするようになります。皮膚に炎症や脱毛が見つかり、かゆがっているようであれば、獣医師の指導のもと食事や生活環境の調整をしましょう。
加齢に伴い起こりやすい目の病気で、水晶体が白く濁って視力が落ちてしまいます。目が白くなる、壁や物にぶつかるようになったら注意が必要です。
甲状腺ホルモンの分泌が減少することで元気がなくなり、脱毛、肥満、低体温など、様々体調不良が見られるようになります。
ダルメシアンの子犬の価格は30〜40万円(2021年1月時点)です。費用は性別、血統、購入方法によって変動します。人気の高いチャンピオン犬の子となれば、非常に高額になることもあります。
ペットショップでダルメシアンを取り扱っているケースはあまりありません。迎え入れる際は、ブリーダーを利用しましょう。
ブリーダーは、全国各地に存在する犬の繁殖を専門とする人のこと。犬種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから犬を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。犬の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。
また、実際に親犬の様子を事前に確認することができるため、成犬時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない犬、飼い主さんがいない犬を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。
ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況を確認しなければならないケースもあります。また、ダルメシアンは飼育数が少ないために数が少なく、出会うには運やタイミングが必要です。
犬を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。約4~5万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・ドッグフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・トイレシーツ
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
・リード
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、犬が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
【関連リンク】
犬を迎える前に準備しておきたいもの
犬を迎える前に整えておきたい室内のポイント
犬をペットとして迎える時の心構え
役所への登録料やワクチン接種・健康診断の費用として2万~3万円ほどがかかります。
大型犬の平均的な飼育費用は、1カ月あたり2万~4万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で5,000~1万2,000円ほどかかります。
トイレシーツなどの日用品が1カ月で5,000~1万4,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、大型犬の場合1回1万円以上かかるでしょう。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で4~6万円ほど必要でしょう。1カ月にすると4,000円程度です。
初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。
ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、大型犬の1ヶ月の保険料は2,300~5,900円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
*参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
*犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。