柑橘類は犬の中でも好みが分かれる食べ物です。柑橘類のにおいや酸味が苦手な犬もいますが、好きな子もいます。愛犬が柑橘類を好む子の場合、与えても良いのでしょうか。また、どういったことに気を付けて与えるべきなのでしょうか。考えてみましょう。
もくじ
みかんを含む柑橘類には、中毒症状を起こす物質は含まれません。そのため、犬に与えることができます。しかし、外皮、種は消化が難しいため、与える際は取り除きましょう。
薄皮には、有り、無しで食物繊維の量に大きく差が出ます。薄皮がある場合の食物繊維量は、無い場合の約2倍で、消化できるかは個体差があります。与えることで消化不良を起こすことがあるようであれば、取り除くようにしましょう。
消化器の機能が未熟な子犬や、衰えてきている老犬の場合は、一度にみかんを大量に与えると消化器症状を示す場合があります。まずは少量から与えるようにしましょう。
誤って大量に食べてしまった場合や、皮ごと食べてしまった場合は動物病院への受診をおすすめします。
そもそも犬は酸味を感じることができるのでしょうか。味を認識できるかどうかは、その味を感知できる味蕾(みらい)という器官が備わっているかどうかによります。
味蕾とは、舌の上にある味覚をつかさどる器官のこと。犬も酸味・甘味を感知する味蕾が備わっています。
柑橘類には酸味がありますが、果糖による甘みも含まれているため、犬によっては柑橘類を好むこともあります。
柑橘類はビタミンCが多く含まれることで有名で、人では体に良いと言われることがあります。犬の場合は人と異なり、体内でビタミンCを合成することができるため、積極的にビタミンCを摂取する必要はありません。
また、過剰なビタミンCは尿路結石を引き起こす可能性が指摘されているため、主食となる総合栄養食のフードは、ビタミンCの含有量が多くなりすぎないよう栄養設計されていることが多いです。
みかんの缶詰のような加工品を与える際は注意が必要です。
長期保存ができ、取り入れやすい缶詰製品ですが、生のみかんと缶詰のみかん(シロップ漬けにしてあるみかん)では、缶詰のほうが1.4倍ほどカロリーが高くなっています。
増えたカロリーのすべてが、砂糖やブドウ糖液であることを考えると、積極的に与えるものではありません。もしあげる場合は少量にし、みかんを漬けていたブドウ糖液はあげないようにしましょう。
柑橘類に含まれる苦味の成分であるフラノクマリン類が、特定の薬の代謝を阻害し、薬の効果が増幅しすぎてしまう、もしくは、副作用のリスクを増大させる可能性があることが人間では言われています。
犬ではどんな種類の柑橘類を、どれくらい食べると影響が出るかは正確にはわかっていませんが、人で特に注意が必要だと言われている柑橘類は、以下の通りです。
これらの柑橘類は、投薬中は控えるべきです。投薬中の子たちは、今飲んでいる薬と柑橘系のとの相互作用がないか、動物病院で確認してから与えてください。
中毒を引き起こす成分が含まれるものや、消化が困難な食べ物でない限り、犬におやつとして与えることができます。
しかし、何も考えずにあげすぎてしまえば、肥満にさせてしまったり、お腹がいっぱいで主食である総合栄養食のフードが食べられなくなってしまうことで、1日の食事の栄養バランスを崩したりしてしまいます。
では、犬にはどれくらいの量を与えれば良いのでしょうか。目安をご紹介しましょう。
一般的に1日に与えるおやつやトッピングの量(間食)は、1日に必要なカロリーの10%程度にとどめるべきと言われています。体重1kgの犬が1日に必要なカロリーは約100kcal程度ですので、その10%だと10kcalとなります。
体重1kgの犬にみかんをおやつとして与える場合は、最大で1日2房程度までとなります。
(みかん1房を10g、4.9kcalとして算出。参考:文部科学省の食品成分データベース)
ここで、注意していただきたいのは、1日に必要なカロリーと体重は比例していないということです。下記の計算は目安のため、実際には現在摂取している食事のカロリーに基づいて、おやつの量を決定しましょう。
体重3kgの犬の標準的な1日の摂取カロリー:約220kcal
おやつとして与えるみかんの量は、4房程度
体重5kgの犬準的な1日の摂取カロリー:約330kcal
おやつとして与えるみかんの量は、7房程度
体重8kgの犬の標準的な1日の摂取カロリー:約460kcal
おやつとして与えるみかんの量は、9房程度
上記の目安量は、おやつとしてみかんのみを与えた場合の話です。他にもトッピングやおやつを与えているようであれば、カロリーを算出して、その分のカロリーを引いた上でみかんの最大摂取量を決定しなければなりません。
人の感覚だけでカロリーを正確に測るのは難しく、実際のカロリーとは大きくかけ離れていることが少なくありません。感覚で与えていると、消化器症状などを起こしたり、長期的には栄養素の過剰や欠乏になったりする可能性があります。
ぜひ、愛犬の1日の摂取カロリーを計算し、安心しておやつを与えられるようにしましょう。