夏の食卓に並ぶことの多いスイカ。犬に与える時は、どういったことに気を付けるべきでしょうか。また、どのくらい与えることができるのでしょうか。犬にスイカを与える際に気をつけるべきポイントと基礎知識をご紹介します。
もくじ
スイカは、ブドウやたまねぎのように少量で中毒症状を示す物質は含まれないため、年齢は関係なく子犬や老犬にも与えることができます。
しかし、種や外皮は消化が難しいため、犬に与える時は取り除いて与えましょう。また、大きなブロックをあげてしまうと、丸呑みして食道につまったり、消化が追い付かずに嘔吐や下痢を起こしかねません。細かく切って与えるようにしてください。
スイカにはカリウムなどのミネラルやビタミンが豊富に含まれています。しかし、主食とする総合栄養食のフードには、犬が生きていくうえで必要十分な量が含まれています。
人が一食ごとに栄養価がバラバラなものを食べるのに対し、犬は毎日栄養価の整ったものを食べています。あえて、ミネラルやビタミンを補給するために積極的にスイカを与える必要はありません。主食へのトッピングやおやつとして取り入れる程度がよいでしょう。
消化器の機能が未熟な子犬や、衰えてきている老犬の場合は、一度にスイカを大量に与えると消化器症状を示す場合があります。万が一、大量に食べてしまい下痢等の消化器症状を引き起こした場合は、動物病院への受診をおすすめします。
カリウムが豊富であることから、腎臓病などの病気を持つ子の場合は、特にあげる量に注意が必要です。病気がある子の場合はかかりつけの先生に必ず相談するようにしてください。
犬のアレルギーには、大きく分けて、環境因子による犬アトピー性皮膚炎と、食物による食物アレルギーの2つがあります。
一般的に、特定の物質に対して、過剰に反応してしまうことをアレルギーと呼び、例えば、小麦アレルギーならば、小麦(アレルゲン)を食べると皮膚の赤みやかゆみ、嘔吐や下痢などの症状を起こします。
しかし中には、食べ物や環境因子の類似するタンパク質の構造に反応することがあります。これを「交差反応」と呼びます。
犬の交差反応については詳しく調べられていないため、明確なことはいえません。しかし、人の場合は、スイカにアレルギーがあると、イネ科の植物やブタクサにも反応する可能性があります。
そのため、犬もスイカ以外のアレルギーをもつ場合は、初めてスイカを食べる際に注意が必要となります。
中毒を引き起こす成分が入っていたり、消化が困難な食べ物だったりしない限り、おやつとして犬に与えることができます。しかし、カロリーや栄養を考えて与えなければ、カロリー過多で肥満になったり、お腹がいっぱいになることで、主食である総合栄養食のフード量がたべれなくなり栄養バランスを乱してしまいます。
では、犬にはどれくらいの量を与えてよいのでしょうか。目安を紹介しましょう。
一般的に一日にあたえるおやつやトッピングの量(間食)は、一日に必要なカロリーの10%程度にとどめるべきといわれています。体重1kgの犬が1日に必要なカロリーは約100kcal程度ですので、その10%だと10kcalとなります。
体重1kgの犬の場合は、1日最大でスイカ1/16等分したものの、さらに1/8程度(24g)までとなります。
(スイカ1個5kg、可食部3kg。100gあたり41kcalとして算出。参考:文部科学省の食品成分データベース)
ここで、注意したいのは、1日に必要なカロリーと体重は比例していないことです。下記の計算は目安であり、実際は現在摂取している食事のカロリーに基づき、おやつとして与えてもよい量を決定しましょう。
体重3kgの犬の標準的な1日の摂取カロリー:約220kcal
おやつとして与えるスイカの量は、1/16等分したもののさらに1/4(53g)程度
体重5kgの犬の標準的な1日の摂取カロリー:約330kcal
おやつとして与えるスイカの量は、1/16等分したもののさらに1/3(80g)程度
体重8kgの犬の標準的な1日の摂取カロリー:約460kcal
おやつとして与えるスイカの量は、1/16等分したもののさらに1/2(110g)程度
上記は、おやつとしてスイカのみを与えた場合の目安量です。他にもトッピングやおやつを与えているようであれば、カロリーを算出し、その分のカロリーを引いた上でスイカの最大摂取量を決定しなければなりません。
人の感覚だけでカロリーを正確に測るのは難しく、図ったものが実際のカロリーとは大きくかけ離れていることは少なくありません。
飼い主さんの感覚で犬におやつを与えていると、消化器症状を引き起こしたり、長期的には栄養素の過剰や欠乏になったりする可能性があります。ぜひ、愛犬の1日の摂取カロリーを計算し、安心しておやつを与えられるようにしましょう。