【獣医師監修】犬のトリミングの適切な頻度とその効果とは!?
2021.12.23 作成

【獣医師監修】犬のトリミングの適切な頻度とその効果とは!?

獣医師

高良直樹

高良直樹

あなたの愛犬は、定期的なトリミングをしていますか。犬のトリミングは愛犬の見た目をきれいに保つだけでなく、皮膚の健康維持にも役立ちます。
この記事では、犬のトリミングにおけるカット、シャンプー、入浴の流れについて整理し、それぞれの効果やトリミングの頻度について解説します。トリミングによって健康で清潔な被毛と皮膚を保ち、愛犬との絆がより深くなることを願います。

もくじ

    犬のトリミングとは?

    【獣医師監修】犬のトリミングの適切な頻度とその効果とは!?
    (lev.studio/shutterstock)

    トリミングとは、ペットの毛をカットして整えることを言います。しかし、トリミングサロンなどでは、カット、シャンプー、入浴を含めてトリミングというのが一般的。

    それぞれ文字通りの意味ではありますが、その効果は我々が思うよりも犬の皮膚や毛に良い効果をもたらします。

    トリミングサロンで行う「トリミング」の内容

    トリミングの流れは、犬の皮膚や毛の状態をチェックした後、シャンプー、乾かしてからカットをするのが基本です。トリミングサロンによっては、爪を切ったり、耳掃除をしたり、肛門絞りも行います。

    犬の様子を見ながら必要なケアをしてもらえるでしょう。

     

    トリミングの頻度はどのくらい?

    トリミングの頻度はどのくらい?
    (siamionau pavel/shutterstock)

    トリミングサロンへ行かずとも、愛犬の伸びすぎた被毛を飼い主さんがカットしたり、ブラッシングをして毛のもつれをとってあげることもできます。しかし、体のケアという意味では、定期的にサロンへ足を運ぶことをおすすめします。

    トリミングの頻度は、健康な犬であればおおよそ2ヶ月に1回が推奨されますが、犬種や毛の長さ、皮膚病の有無によって頻度は異なります。具体的な頻度は、トリマーや獣医師に相談した上でトリミングの頻度を決めるようにしましょう。

    長毛のトイ種のトリミングは頻繁に

    ポメラニアン
    ヨークシャー・テリア
    プードル
    シー・ズー
    マルチーズ など

    上記のような、いわゆる長毛のトイ種と呼ばれる犬は、毛が長く汚れが付着しやすいです。2ヶ月に1回よりも短い期間(1ヶ月〜1ヶ月半に1回)でトリミングをすることをおすすめします。

    ※トイ種…ペットとして飼育することを目的とした犬種。大型犬を小型にした犬が多い。

    短毛種のトリミングは控えめに

    パグ
    フレンチ・ブルドッグ
    ミニチュア・ピンシャー など

    一方で、上記のような毛の短い犬種は頻繁なカットの必要はありません。洗浄によって皮膚が傷んでしまうことがあるため、トリミングの期間はもっと長くてもよいでしょう(2ヶ月半〜3ヶ月ほど)。

    皮膚のケアのためにトリミングがおすすめの犬種

    柴犬
    ミニチュア・ダックスフンド など

    上記の犬種は皮膚病になりやすいため、皮膚のケアという意味で頻繁な入浴やシャンプーが必要な場合があります。

    では、トリミングはなぜ必要なのでしょうか。獣医師の目線で、カット・シャンプー・入浴の効果について詳しく見ていきましょう。

    【獣医師目線で見る】犬のカットの効果

    【獣医師目線で見る】犬のカットの効果
    (Olena Yakobchuk/shutterstock)

    カットは、見た目の形を整えるだけでなく、目の周りの毛を刈ることで眼球に毛が触れて起こる結膜炎の予防もできます。皮膚炎で塗り薬を使っている犬なら、患部の毛を短くして薬を塗りやすくする効果もあります。

    また、肉球の間に生えている毛をバリカンで刈ることで、フローリングを歩く際に滑りにくくしたり、耳の中の毛を刈ったり抜いたりすることで雑菌の繁殖を防いだりもできます。

     

    【獣医師目線で見る】シャンプーの効果と注意点

    【獣医師目線で見る】シャンプーの効果と注意点
    (Roman Chazov/shutterstock)

    皮膚の汚れは皮膚の新陳代謝を妨げ、刺激となります。皮膚の表面は皮脂膜で覆われており、そこにさまざまな汚れが付きます。皮膚の汚れを効果的に落とすには、余分な皮脂を浮かせて落とさなければなりません。

    シャンプーの効果

    シャンプーは余分な皮脂を浮かせることによって、皮膚や毛にとって刺激となる汚れを除去します。特殊なシャンプーを使用することで皮膚の保湿を促したり、皮膚に感染を起こすような菌やカビなどを洗い落としたりすることも可能です。

    シャンプーの注意点

    皮脂を浮かせる成分には界面活性剤とクレンジング剤があります。

    いずれも皮脂を効率的に浮かせる効果がありますが、界面活性剤やクレンジング剤の種類や使用頻度によっては、必要な皮脂まで落としてしまい皮膚に悪い影響が出ることもあるため注意しましょう。

    犬の皮膚の厚さは人間の1/3程度といわれており、一生懸命汚れを落とそうと力を入れて洗うことで皮膚を傷つける恐れがあるので、優しく洗うことが大切です。

    【獣医師目線で見る】入浴の効果と注意点

    【獣医師目線で見る】入浴の効果と注意点
    (Stickler/shutterstock)

    シャンプーの効果

    入浴は皮膚全体のケアを簡単に行うことができ、シャンプー前のすすぎとしても利用できます。

    入浴は角質を柔らかくすることもできるため、重曹や食塩などの入浴剤、マイクロバブルなどを使用すれば、界面活性剤を使用しないため皮膚の弱い犬でも、シャンプーと同様に皮膚や毛の汚れも除去できるでしょう。

    また、入浴による血液循環の改善効果も期待でき、皮膚の生理機能も活発になります。

    入浴の注意点

    単純な入浴では、体に必要な皮脂が流れてしまい保湿効果がなくなることがあるため、入浴剤の使用がおすすめです。お湯の温度としては少しぬるいくらい(36〜38℃)がよいでしょう。

    入浴剤にはさまざまな種類があります。

    重曹泉

    重曹泉は角質を軟化させ皮脂を除去する効果があります。

    硫黄泉

    硫黄泉は角質の軟化に加え、毛穴のクレンジング、軽度な抗菌作用がありますがやや刺激性があります。

    食塩泉

    食塩泉は保湿や保温の効果が高いとされています。

    マイクロバブル

    マイクロバブルは毛よりも小さな泡を用いたソリューションで毛穴の汚れさえも低刺激に除去することができます。

    このように、皮膚や毛の状態に合わせた入浴剤を選択することでトリミングの効果をより実感することができるでしょう。

    【関連記事】
    犬にシャワーをかけても問題ない?上手なシャンプーの仕方

    著者・監修者

    高良直樹

    獣医師

    高良直樹

    プロフィール詳細

    所属 アース動物病院(北海道北見市) 副院長

    日本獣医皮膚科学会
    日本獣医がん学会

    略歴 1984年 北海道に生まれる
    2005年 筑波大学 第二学群生物学類に入学
    2009年 酪農学園大学 獣医学部獣医学科に入学
    2015年 獣医師国家資格取得
    2015年~2017年 東京都の動物病院に勤務
    2017年~2018年 北海道の動物病院に勤務
    2018年~2021年 東京農工大学附属動物医療センター皮膚科研修医
    2021年~ 現職

    資格 獣医師免許

    ページトップに戻る