スリムで精悍な見た目ながら、愛嬌のある性格のミニチュア・ピンシャー。大型犬にも物怖じしない見た目どおりの勇敢さがある一方、飼いやすい大きさで、子どもと遊ぶ元気な姿は室内犬としても優秀です。そんなカッコよさと可愛らしさをあわせ持つミニチュア・ピンシャーを紹介します。
もくじ
小さくて可愛らしいミニチュア・ピンシャーですが、どんな歴史があり、どんなバリエーションがあるのかご存じでしょうか。まずはミニチュア・ピンシャーの魅力である見た目や毛色、産まれた背景を紹介します。
ミニチュア・ピンシャーはスリムで手足の長い体型が特徴です。また、全身を守るための短くて硬めの被毛は、猟犬時代の名残といわれています。
平均体重は4~6㎏。オスのほうが少し大きいですが、性別による差はあまりありません。体長と体高がほぼ同じくらいの「スクエア体型」と呼ばれ、細い脚を上げて歩く「ハックニー歩行」という歩き方が特徴的です。
※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さ
毛色はレッド、ブラックタン、チョコレートタン、レディッシュブラウンなどがありますが、国内では主に先の3色がメインです。どの色も人気があり、すべての色を集めるように多頭飼いする愛好家も少なくありません。
ミニチュア・ピンシャーといえば元気で遊び好き。陽気な性格ですが、誰にでもフレンドリーというわけではなく、初対面の相手には警戒して吠えることもあります。
どんな相手にも立ち向かう勇気があり勇敢な印象のある小型犬ですが、飼い主さんにべったりと甘える一面もあります。早くから多くの人の中で育てることで、警戒心を緩和させることができます。
ミニチュア・ピンシャーはドイツ原産の犬です。ドーベルマンに似ているといわれることもありますが、歴史はミニチュア・ピンシャーのほうが古く、もともとは獣害対策で活躍していたヘルピンシェルという犬種が先祖です。
そこにダックスフンドやイタリアン・グレーハウンド、テリア種などを掛け合わせて小型化されました。長きに渡って世界中で安定した人気を誇るミニチュア・ピンシャー。
人に媚びてばかりでない性格が「トイグループ(愛玩犬)の王者」ともいわれています。
では具体的に、一緒に暮らす際のポイントをご紹介しましょう。ミニチュア・ピンシャーの特徴的な体形と性格に合わせつつ、上手くしつけながら過ごせるとお互いに快適な毎日を送れます。
活発で遊び好きな性格は、度を超すと周りの迷惑になることも。ミニチュア・ピンシャーのしつけで大切なことは「吠えぐせ」「咬みぐせ」を抑え、攻撃性や警戒心をつけさせないことです。
子犬のうちは飼い主さんへの要求のために吠えることがあります。ここで甘やかすと、成長と共に「人間は吠えれば応じる」と学習してしまいます。飼い主さんが主導権を握るよう意識してしつけをしましょう。
体は小さい犬種ですが、運動量はある程度必要です。たくさん遊んであげましょう。一日30分程度の散歩やドッグランで運動をさせると、運動不足によるストレスが解消されます。スポーツが好きな犬ですから、元気で活発な小型犬好きにはぴったりです。
運動は必要ですが、手足が細いため関節に負担をかけない工夫が必要です。まずは体重からの負担を減らすため、肥満にならないように注意しましょう。
加えて、床や階段の段差では滑らないカーペットを使うなど、飼育環境の工夫をする必要があります。関節の病気を引き起こさないよう気を付けましょう。
ミニチュア・ピンシャーは体臭がある場合が多いため、ブラッシングなど毎日のお手入れは必須です。抜け毛を減らすため、そして「飼い主さんには体を触らせる」というしつけのためにも欠かさずおこないましょう。
体臭対策のためにもシャンプーを頻繁におこないます。また体臭を減らすためのフードを食べさせることで、体の内側から対策できることもあります。
ミニチュア・ピンシャーの寿命は13~15年前後。ほかの犬種より病気になりにくいといわれていますが、長寿命の犬が多いというわけではないようです。
ミニチュア・ピンシャーの注意しておきたい病気について紹介します。
膝の関節のお皿が正しい位置に収まらず、ズレて脱臼を何度も起こす病気です。癖になるといわれており、何度も起こす可能性が高くなります。
特に細く長い脚を持つミニチュア・ピンシャーは要注意です。肥満による体重負荷や、滑りやすい環境を避けて対策をおこないましょう。
アレルギー性皮膚炎の一種であるアトピー性皮膚炎などの皮膚炎症状を起こしやすいといわれます。たとえばダニやノミ、花粉やカビなどのアレルギー源に体が過剰反応し、強いかゆみや赤い炎症が起こります。
耐え難いかゆみや不快感によって擦りつけたり搔き壊したりするため、炎症がどんどんひどくなることもあります。薬用シャンプーや投薬などで長期間を想定して治療をおこないます。
レッグ・カルベ・ペテルスとも呼ばれる、大腿骨頭が部分壊死してしまう病気です。原因は不明ですが軟骨や血管の問題だとみられています。小型犬、超小型犬に多く、ミニチュア・ピンシャーも例外ではありません。また1歳前後の若齢で起こることが多い病気です。
歩行に異常が見られたらすみやかに検査を受けさせましょう。
ミニチュア・ピンシャーは若いうちから目の病気が出やすいといわれています。白内障の症状として、「目が白く濁ってきた」「周囲の物にぶつかって歩くようになった」などがあげられます。白内障が悪化すると緑内障も引き起こす場合があります。
緑内障の症状は「目を痛がる」「充血」などがあります。早期発見によって進行を食い止めることができるので、これらの症状が出てきたら、早めに病院で治療を受けましょう。
インスリンの効きが悪くなり、血中の血糖値が上がって様々な症状が出る病気です。多飲多尿や体重減少など、見た目で分からないことが多いため症状が進んでから治療に入る場合も。早期発見が重要となる病気です。
ミニチュア・ピンシャーの子犬を迎え入れる際の費用は15~40万円程度(2024年7月現在)。価格は毛色や性別よりも、生後日数で変動することが多いようです。
ミニチュア・ピンシャーを迎える方法、費用について具体的に紹介していきます。
ペット初心者でも迎えやすいのがペットショップです。ミニチュア・ピンシャーが欲しい時、しつけで困った時にお店に行けば相談に応じてもらえるため、ペット初心者におすすめです。
月齢がある程度いった子犬ならばワクチン接種、簡単なしつけが済んでいるケースもあります。
ブリーダーは、全国各地に存在する犬の繁殖を専門とする人のこと。犬種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから犬を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。犬の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。
また、実際に親犬の様子を事前に確認することができるため、成犬時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない犬、飼い主さんがいない犬を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。
ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況の確認しなければならないケースもあります。ミニチュア・ピンシャーは人気犬種なので数が多く、探すのも難しくはないでしょう。
犬を迎え入れるまでに、準備しておきたいものは、以下の通りです。約4~5万円ほどをみておくとよいでしょう。
【寝床の準備】
・ペットサークル
・クレート(ペット用キャリー)
・ベッド
【日用品の準備】
・ドッグフード
・フードボウル
・水飲みボウル
【トイレ用品の準備】
・トイレトレー
・トイレシーツ
【ケア用品】
・ブラシ
・爪切り
・ペット用シャンプー
・歯磨きグッズ
【その他】
・首輪
・リード
事前に飼育環境を整えておく必要もあります。危険なもの、噛まれては困るものは片づけるなどしておきましょう。
夏場はクーラーなど空調設備のできるものも備えておくと安全です。余裕があれば、犬が遊べるおもちゃなども買っておきましょう。
【関連リンク】
犬を迎える前に準備しておきたいもの
犬を迎える前に整えておきたい室内のポイント
犬をペットとして迎える時の心構え
役所への登録料やワクチン接種・健康診断の費用として2万~3万円ほどがかかります。
小型犬の平均的な飼育費用は、1カ月あたり1~2万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で3,000~5,000円ほどかかります。
トイレシーツなどの日用品が1カ月で1,000~3,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、小型犬の場合1回3,000~1万円程度をみておきましょう。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で3~5万円ほど必要でしょう。1カ月にすると3,000円程度です。
初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。犬猫の骨折、異物誤飲の平均治療費は以下の通りです。
ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
*ペット&ファミリー損保調べ(2023年4月~2024年3月 保険金支払い実績をもとに算出)
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、小型犬の1ヶ月の保険料は1,500~4,400円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
*参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
* 犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合「犬種分類表」を参考に、1歳時のおおよその予測体重で加入タイプが決まります。
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。